高齢者の役割の創造による社会活動の推進及びQOLの向上に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200400257A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の役割の創造による社会活動の推進及びQOLの向上に関する総合的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
芳賀 博(東北文化学園大学大学院 健康社会システム研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 崎原 盛造(沖縄国際大学)
  • 安村 誠司(福島県立医科大学)
  • 新野 直明(桜美林大学大学院)
  • 高田 和子(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
8,775,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 全国から地域特性の異なる5地域を選び、在宅高齢者が担っている役割及び今後担ってみたい役割の実態を整理すること、さらに役割の遂行と高齢者の健康度、QOLとの関連性を分析、整理することを目的とした。
研究方法
 調査地区(対象高齢者数)は、①北海道(今金町、916名)、②東北(福島県S市723名)、③関東(群馬県嬬恋村1472名)、④東海(愛知県A町3,679名)、⑤沖縄(沖縄県全地区 700名)である。調査方法は、自記式による留置き法によった。
結果と考察
 収入をともなう仕事に従事する者は、男性では27.6%(沖縄)~40%(関東)、女性では6.7%(沖縄)~17.6%(関東)の範囲であり、いずれの地区でも男性が女性より多かった。
また、仕事の内容では、どの地区でも「農林水産関係」が最も多く、高齢者が担える職業の特性ともいえる。シルバー人材センター・高齢者事業団での仕事の経験を有する者は、どの地区でも極めて低かった。家庭内の役割については、女性は家事全般を担っている割合が高く、男性は、大工仕事のような力仕事を担う割合が高かった。「食事の支度」「洗濯」「掃除」「留守番・電話番」等はある程度介助が必要な高齢者でもその半数以上が担っていたこと(北海道)、沖縄の高齢者では「神棚・仏壇の管理」や「留守番・電話番」の実施率が高齢になるほど高かったことなどから考えて家庭内には高齢でも、虚弱でも担える何らかの役割があることが示唆された。ボランティア活動では、「地域の美化・環境整備活動」の割合が地区を問わず最も高く、「農作業」「地域や河川清掃」「社会福祉の活動」が主なものであった。また、今後実施したい役割については、「農林水産関係」の仕事(北海道、沖縄)、「庭・菜園の管理」(北海道)、「地域美化・環境整備活動」及び「高齢者福祉」(北海道、東北、沖縄)が主なものであった。また、これらの役割の遂行と健康度、QOLとの間には多面的で密接な関連が見られることも確認された。これらの結果を踏まえた、高齢者が担える役割の発掘と創造が今後に期待されている。
結論
 多くの高齢者が担っている役割、介助が必要な者でも、また、高齢になっても担える役割が明らかにされたが、今後担ってみたい役割等も踏まえながら「虚弱高齢者」から「元気な高齢者」までを視野に入れた役割メニューづくりとそれを支援するための環境づくりが次年度の課題である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-