介護予防サービスの新技術開発とシステム構築に関する研究

文献情報

文献番号
200400252A
報告書区分
総括
研究課題名
介護予防サービスの新技術開発とシステム構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
辻 一郎(東北大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 権藤 恭之(東京都老人総合研究所痴呆介入グループ)
  • 芳賀 博(東北文化学園大学健康社会システム研究科)
  • 高田 和子(独立行政法人国立健康・栄養研究所健康増進研究部)
  • 粟田 主一(東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、要介護ハイリスク群の同定方法を解明するとともに、うつ高齢者への地域ケア・談話ボランティアなどの新しい介護予防サービス技術を開発し、そのうえで総合的な介護予防サービス提供システムを提言することである。
研究方法
 虚弱高齢者に対する運動訓練が医療費に及ぼす影響、抑うつ度とその後2年間の医療費との関連について検討した。宮城県S町で、地域全体に転倒予防事業(運動・キャンペーンなど)を実施して、非介入地区との間で、その効果を比較した。
 うつ病の高齢者に対して、看護師による訪問ケアやケアマネジメントなどの包括的地域介入プログラムを実施して、その効果を検証した。都市部在住の超高齢者に談話ボランティア「自分史くらぶ」を実施して、1年後の効果を検証した。地域高齢者約2万人の自立度を3年間追跡して、自立度低下の危険因子を検討した。
 なお本研究では、各分担研究者の所属施設の倫理委員会の承認のもと、対象者からの同意取得や個人情報の厳重な保管などで適正な措置を講じており、倫理面の問題は存在しない。
結果と考察
 虚弱高齢者に運動訓練を実施した結果、性・年齢・機能レベルのマッチした訓練非参加者に比べて、訓練開始から22月間の医療費は、訓練参加群で(男性8.2%、女性4.8%)低かった。地域全体に転倒予防の運動事業やキャンペーンを展開した結果、転倒発生率や運動習慣などで良好な結果が得られた。うつ高齢者に対して訪問などによる地域ケアを実施した結果、抑うつ症状の程度や自殺念慮などで有意な改善があった。
 超高齢者に談話ボランティア活動を行ったところ、高次生活機能や認知機能などで良好な結果が得られた。地域高齢者に対する長期縦断研究の結果、脳卒中・がん・骨折の発症、不活発な生活行動、食欲不良、歩行速度の低下、抑うつなどが自立度低下のリスク要因であり、緑茶摂取には認知機能障害の発生を抑止する効果が示唆された。
結論
 本研究では、要介護発生に関する新たなリスク因子を解明するとともに、うつ病高齢者に対する地域ケア、超高齢者に対する談話ボランティア活動「自分史くらぶ」、ポピュレーション戦略としての転倒予防介入などに関する技術を開発し、その効果を実証できた。
 今後さらに介入・追跡を継続することにより、上記の介入による介護予防効果やその費用対効果について検討を深めるものである。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-