cDNAアレイを用いた新しい乳癌治療体系の構築

文献情報

文献番号
200400220A
報告書区分
総括
研究課題名
cDNAアレイを用いた新しい乳癌治療体系の構築
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 康弘(国立がんセンター中央病院)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 正志(国立がんセンター中央病院)
  • 木下 貴之(国立がんセンター中央病院)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 関島 勝((株)三菱化学安全科学研究所 )
  • 西尾 和人(国立がんセンター研究所)
  • 竹内 正弘(北里大学大学院 薬学研究科)
  • 長谷川 匡(国立がんセンター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
44,584,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳癌の手術前治療において治療前後の腫瘍組織及び正常組織の網羅的遺伝子発現解析をおこない、効果・副作用予測因子を同定すること。
研究方法
原発性乳癌の術前治療の効果と副作用を予測するマーカー遺伝子の探索、検定をおこなった。
対象は(A)原発性乳癌に対する5FU/エピルビシン/シクロフォスファミドに引き続くパクリタキセル週1 回投与(±トラスツズマブ)併用による術前化学療法の第Ⅱ相試験(登録90例)(B)ホルモン高感受性の閉経後乳癌に対するアナストロゾール投与による術前内分泌療法の第Ⅱ相試験(登録22例)(C)高齢者の原発性乳癌に対するパクリタキセル週1回±トラスツズマブ投与による術前化学療法の第Ⅱ相試験(登録11例)
術前療法施行前、及び手術時に静脈血、乳癌組織、正常乳腺組織を採取。検体からRNAを抽出、本研究で作製した約千遺伝子からなる新カスタムフィルターを作成し、遺伝子発現をおこなった。遺伝子発現解析データと毒性、効果に関連する遺伝子マーカーの選択を統計学的に実施した。
結果と考察
(1)ホルモン療法の効果に関連する167種の遺伝子を選択した。ホルモン関連遺伝子群は乳がん組織特異的に治療後の変動が観察された。
(2)各種臨床検体、新カスタムアレイの品質管理をおこなった。
(3)新カスタムアレイを用い遺伝子発現解析をおこない、乳癌に過剰発現を示す遺伝子(estrogen-responsive gene等)を得た。
(4)乳がん術前化学療法による有害事象予測因子の同定をおこなった。臨床試験(A)における170データをトレーニング-セット、残りのサンプルをテスト-セットとして解析した。パクリタキセル投与による神経障害の早期検出のための遺伝子発現プロファイルおよび病理学的完全寛解と相関を示す遺伝子マーカー58遺伝子が得られた。
(5)針生検と治療前末梢血単核球サンプルを用いた病理学的評価との相関する遺伝子42が選択された。同治療予測マーカー遺伝子を用い、乳がん治療予測簡易アレイの作製が可能になった。投与前後の末梢血単核球のデータを用いた。患者負担が少ない採血にてデータを採取し、治療法を評価、予測が可能であることが示され、負担の少ない検査法により、治療の個別化ができる可能性を示唆していると考える。
結論
乳癌治療(癌化学療法、内分泌療法、抗体療法)において、腫瘍部および末梢血で測定が可能な病理学的効果・副作用を予測できる、マーカー遺伝子を同定した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-09
更新日
-

文献情報

文献番号
200400220B
報告書区分
総合
研究課題名
cDNAアレイを用いた新しい乳癌治療体系の構築
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 康弘(国立がんセンター中央病院)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 正志(国立がんセンター中央病院)
  • 木下 貴之(国立がんセンター中央病院)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 関島 勝((株)三菱化学安全科学研究所)
  • 西尾 和人(国立がんセンター研究所)
  • 竹内 正弘(北里大学大学院 薬学研究科)
  • 長谷川 匡(国立がんセンター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
乳癌の手術前治療において治療前後の腫瘍組織及び正常組織の網羅的遺伝子発現解析をおこない、効果・副作用予測因子を同定すること。
研究方法
原発性乳癌の術前治療の効果と副作用を予測するマーカー遺伝子の探索、検定をおこなった。
対象は(A)原発性乳癌に対する5FU/エピルビシン/シクロフォスファミドに引き続くパクリタキセル週1 回投与(±トラスツズマブ)併用による術前化学療法の第Ⅱ相試験(登録90例)(B)ホルモン高感受性の閉経後乳癌に対するアナストロゾール投与による術前内分泌療法の第Ⅱ相試験(登録22例)(C)高齢者の原発性乳癌に対するパクリタキセル週1回±トラスツズマブ投与による術前化学療法の第Ⅱ相試験(登録11例)
術前療法施行前、及び手術時に静脈血、乳癌組織、正常乳腺組織を採取。検体からRNAを抽出、本研究で作製した約千遺伝子からなる新カスタムフィルターを作成し、遺伝子発現をおこなった。遺伝子発現解析データと毒性、効果に関連する遺伝子マーカーの選択を統計学的に実施した。
結果と考察
(1)ホルモン療法の効果に関連する167種の遺伝子を選択した。ホルモン関連遺伝子群は乳がん組織特異的に治療後の変動が観察された。
(2)各種臨床検体、新カスタムアレイの品質管理をおこなった。
(3)新カスタムアレイを用い遺伝子発現解析をおこない、乳癌に過剰発現を示す遺伝子(estrogen-responsive gene等)を得た。
(4)乳がん術前化学療法による有害事象予測因子の同定をおこなった。臨床試験(A)における170データをトレーニング-セット、残りのサンプルをテスト-セットとして解析した。パクリタキセル投与による神経障害の早期検出のための遺伝子発現プロファイルおよび病理学的完全寛解と相関を示す遺伝子マーカー58遺伝子が得られた。
(5)針生検と治療前末梢血単核球サンプルを用いた病理学的評価との相関する遺伝子42が選択された。同治療予測マーカー遺伝子を用い、乳がん治療予測簡易アレイの作製が可能になった。投与前後の末梢血単核球のデータを用いた。患者負担が少ない採血にてデータを採取し、治療法を評価、予測が可能であることが示され、負担の少ない検査法により、治療の個別化ができる可能性を示唆していると考える。
結論
乳癌治療(癌化学療法、内分泌療法、抗体療法)において、腫瘍部および末梢血で測定が可能な病理学的効果・副作用を予測できる、マーカー遺伝子を同定した。

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-