個々人におけるモルヒネ作用強度のゲノム解析による予測

文献情報

文献番号
200400208A
報告書区分
総括
研究課題名
個々人におけるモルヒネ作用強度のゲノム解析による予測
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
池田 和隆(財団法人東京都医学研究機構(東京都精神医学総合研究所)(分子精神医学研究部門))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
疼痛は医療現場で極めて頻繁に見られる深刻な病態であるとともに、広く国民のQOLを低下させる重大な要因である。モルヒネ治療を緊急に普及させる必要があるが、モルヒネ作用強度の大きな個人差が、臨床上、効果的な疼痛治療を妨げている。本研究では、ゲノム科学の急速な進展を踏まえ、モルヒネ作用における個人差の遺伝子メカニズムを解明し、個々人に合ったモルヒネ治療を迅速・効率的に行うための基盤技術の確立を目的とした。
研究方法
モルヒネの生体内標的であるμオピオイド受容体(μOR)に関して、この遺伝子多型がモルヒネ作用強度と関連するという作業仮説を立てて研究を進め、次の4つの具体的な目標を定めた。
1) μOR遺伝子塩基配列における個人間での多様性の解明。
2) モルヒネ鎮痛効果と副作用強度を簡便かつ定量的に評価するシステムの構築。
3) μOR遺伝子塩基配列多様性とモルヒネ作用強度との相関解明。
4) テーラーメイドモルヒネ処方を可能とする遺伝子検査キットの開発準備。
結果と考察
1) 前年度までに見出した100箇所以上のμOR遺伝子多型が、少なくとも4つの完全連鎖不平衡ブロックを形成することを見出した。
2) 形成手術を対象とすることで健常者の鎮痛効果測定を可能とし、また、患者自らがモルヒネ投与できるPCAポンプを導入することで、モルヒネ鎮痛効果・副作用の新たな臨床評価システムを構築した。
3) 研究実施の倫理審査承認が得られた3つの協力病院において、開腹手術を受けた100名以上の元患者から口腔粘膜または末梢血の提供を受け、代表的な3箇所のμOR遺伝子多型の解析を終了した。また、50名近くの元患者の診療情報の提供を受け、遺伝子多型との相関を解析した。
4) 昨年度出願した特許に関してPCT出願した。また、民間企業と共同研究契約を締結し、迅速で安価な検査キットの開発を開始した。
結論
当初の計画通り研究を推進し、ヒトμOR遺伝子多型間の連鎖解析を行い、開腹手術を受けた100例以上の患者において遺伝子多型解析を行い、臨床データとの相関を解析した。研究成果をPCT出願し、企業とも連携して、キット開発の準備を開始した。従って、テーラーメイドモルヒネ治療に向けて着実に研究が進んだ。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200400208B
報告書区分
総合
研究課題名
個々人におけるモルヒネ作用強度のゲノム解析による予測
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
池田 和隆(財団法人東京都医学研究機構(東京都精神医学総合研究所)(分子精神医学研究部門))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
疼痛は医療現場で極めて頻繁に見られる深刻な病態であるとともに、広く国民のQOLを低下させる重大な要因である。モルヒネ治療を緊急に普及させる必要があるが、モルヒネ作用強度の大きな個人差が、臨床上、効果的な疼痛治療を妨げている。本研究では、ゲノム科学の急速な進展を踏まえ、モルヒネ作用における個人差の遺伝子メカニズムを解明し、個々人に合ったモルヒネ治療を迅速・効率的に行うための基盤技術の確立を目的とした。
研究方法
モルヒネの生体内標的であるμオピオイド受容体(μOR)に関して、この遺伝子多型がモルヒネ作用強度と関連するという作業仮説を立てて研究を進め、次の4つの具体的な目標を定めた。
1) μOR遺伝子塩基配列における個人間での多様性の解明。
2) モルヒネ鎮痛効果と副作用強度を簡便かつ定量的に評価するシステムの構築。
3) μOR遺伝子塩基配列多様性とモルヒネ作用強度との相関解明。
4) テーラーメイドモルヒネ処方を可能とする遺伝子検査キットの開発準備。
結果と考察
1) 100箇所以上のμOR遺伝子多型を同定し、μOR遺伝子領域において4つの完全連鎖不平衡ブロックを見出した。
2) モルヒネ鎮痛効果・副作用の臨床評価システムを構築した。このシステムを用いることで患者への負担および医療関係者への過度の負担をさけることができ、効率的かつ的確にモルヒネ作用強度が評価できるようになった。
3) 研究実施の倫理審査承認が得られた3つの協力病院において、開腹手術を受けた100名以上の元患者から口腔粘膜または末梢血の提供を受け、代表的な3箇所のμOR遺伝子多型の解析を終了した。また、50名近くの元患者の診療情報の提供を受け、遺伝子多型との相関を解析した。
4) 検査キットの開発準備を行うために、本研究成果を元に薬物感受性の遺伝子検査法に関する特許を出願した。また、民間企業と共同研究契約を締結し、迅速で安価な検査キットの開発を開始した。
結論
当初の計画通り研究を推進し、100箇所以上のヒトμOR遺伝子多型を同定し、開腹手術を受けた100例以上の患者において遺伝子多型解析を行い、臨床データとの相関を解析した。研究成果を特許出願し、これを元に企業との連携体制を築いて、キット開発の準備を開始した。従って、テーラーメイドモルヒネ治療に向けて着実に研究が進んだ。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-