細胞機能・組織修復・再生のナノ・マニピュレーション:生体機能材料のナノ設計・ナノ加工技術および医療応用

文献情報

文献番号
200400199A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞機能・組織修復・再生のナノ・マニピュレーション:生体機能材料のナノ設計・ナノ加工技術および医療応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松田 武久(九州大学大学院医学研究院医用工学)
研究分担者(所属機関)
  • 下川 宏明(九州大学大学院医学研究院循環器内科)
  • 片山 佳樹(九州大学大学院工学研究院応用化学)
  • 新名主 輝男(九州大学先導物質化学研究所)
  • 木戸秋 悟(九州大学大学院医学研究院医用工学)
  • 新海 征治(九州大学大学院工学研究院生体機能化学)
  • 高原 淳(九州大学先導物質化学研究所)
  • 高松 洋(九州大学大学院工学研究院機械科学)
  • 岩本 幸英(九州大学大学院医学研究院整形外科)
  • 田中 雅夫(九州大学大学院医学研究院臨床腫瘍外科)
  • 森田 茂樹(九州大学大学院医学研究院循環器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
47,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
革新的な設計概念・精密制御による分子設計と加工技術によって作製したデバイスによる生体組織の反応性の制御、および細胞内シグナルに応答して細胞機能を制御する生体機能材料、ナノカプセル・ナノ超分子構造体による組織修復・再構築技術を開発し、これらを統合したデバイス化および医療システム化を進める。
研究方法
光反応性・感温性・生分解性等を有する種々の機能生体材料を新規に合成し、それらについてナノカプセル・超らせん構造等の超分子ナノ複合体構造化、および電界紡糸法・マイクロ立体光造形法等のナノ・マイクロ成型加工技術を応用した医用デバイス化を行うとともに、医療への応用を検討した。
結果と考察
(1)ナノ・マイクロレベルでの細胞外マトリックス・人工骨格設計:下限臨界温度の異なる三種類のモノマーからなるトリブロック共重合体の新規合成、生分解性エラストマーpoly(L-lactide-co-e-caprolactone)(PLCL)および生分解性セグメント化ポリウレタンのナノ・マイクロファイバーメッシュ化を行い、細胞外マトリックス・人工骨格の機能的ナノ・マイクロ設計を可能とした。(2)超微細ナノ加工技術:生体力学場に感応するmechano-active人工骨格の開発のため、電界紡糸式PLCLナノファイバーメッシュチューブのコンプライアンス特性を調べ、生体力学場負荷条件下での血管内皮細胞の接着・機能発現等の応答を解析した。(3)ナノカプセルの創製および多糖・核酸の共らせん複合体の創製:細胞内伝達系の異常細胞にのみ選択的に薬剤・遺伝子を送達するナノカプセルとして今年度新たに、プロテインキナーゼCおよびHIVプロテアーゼ応答型キャリアの開発に成功した。また、熱応答性シゾフィランを合成しmRNAの選択的分離・回収を可能とする新しい核酸分離剤を開発した。(4)医療への応用:抗癌剤含有ナノカプセルの動脈硬化病変形成の予防・治療への適用、細胞を担体としたタンパク質輸送システムの開発、新しく開発した液状ウレタンポリマー組織接着剤の止血剤への応用を行った。
結論
以上の細胞機能・組織再構築のnano-manipulationの要素材料と要素加工技術は新しい再生医療のplatform又はscaffoldを提供する独創的技術を提供し、それらを組み合わせることによりシステムとしてのナノ医療の基盤の構築と医療応用への展開が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200400199B
報告書区分
総合
研究課題名
細胞機能・組織修復・再生のナノ・マニピュレーション:生体機能材料のナノ設計・ナノ加工技術および医療応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松田 武久(九州大学大学院医学研究院医用工学)
研究分担者(所属機関)
  • 下川 宏明(九州大学大学院医学研究院循環器内科)
  • 片山 佳樹(九州大学大学院工学研究院応用化学)
  • 新名主 輝男(九州大学先導物質化学研究所)
  • 木戸秋 悟(九州大学大学院医学研究院医用工学)
  • 新海 征治(九州大学大学院工学研究院生体機能化学)
  • 高原 淳(九州大学先導物質化学研究所)
  • 高松 洋(九州大学大学院工学研究院機械科学)
  • 岩本 幸英(九州大学大学院医学研究院整形外科)
  • 田中 雅夫(九州大学大学院医学研究院臨床腫瘍外科)
  • 森田 茂樹(九州大学大学院医学研究院循環器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
革新的な設計概念・精密制御による分子設計と加工技術によって作製したデバイスによる生体組織の反応性の制御、および細胞内シグナルに応答して細胞機能を制御する生体機能材料、ナノカプセル・ナノ超分子構造体による組織修復・再構築技術を開発し、これらを統合したデバイス化および医療システム化を進める。
研究方法
光反応性・感温性・生分解性等を有する種々の機能生体材料を新規に合成し、それらについてナノカプセル・超らせん構造等の超分子ナノ複合体構造化、および電界紡糸法・マイクロ立体光造形法等のナノ・マイクロ成型加工技術を応用した医用デバイス化を行うとともに、医療への応用を検討した。
結果と考察
3カ年の研究を通じ、(1)可視光照射による硬化と生分解性の表面制御可能な液状光反応性生体適合材料、感温性人工細胞外マトリックス用材料、生分解性セグメント化ポリウレタンの各新規材料の合成・開発、(2)マイクロ光造形技術および電界紡糸法を用いた生体高分子・合成高分子のナノ・マイクロファイバーメッシュ式組織工学骨格基材の作製、それらを積層・混合・配向制御した三次元化による小口径人工血管チューブプロトタイプの開発、再生軟骨用人工細胞外マトリックスの開発、(3)組織特性(透過性の亢進、内皮剥離、プロテインキナーゼ活性化、等)を感知するナノカプセル式新型キャリアの開発、任意の薬剤や遺伝子を組み込んで動脈硬化組織のみへの送達、抗増殖薬を選択的に送達することによるバルーン傷害後の再狭窄病変の著明な抑制、天然多糖シゾフィランを用いた新しい遺伝子導入剤・核酸分離剤・RNA検出試薬の開発、(4)感温性ゼラチン人工細胞外マトリックスを用いた軟骨組織再生、組織工学的手法による局所薬剤持続投与システムの開発、血管内皮前駆細胞を組み込んだ小口径人工血管と病変血管壁の内張技術の開発、新しい組織接着剤の前臨床試験の開始等の数多くの成果が得られた。これらは全く新しい機能的生体材料とそのナノ・マイクロ加工技術を提供するものである。
結論
以上の細胞機能・組織再構築のnano-manipulationの要素材料と要素加工技術は新しい再生医療のplatform又はscaffoldを提供する独創的技術を提供し、それらを組み合わせることによりシステムとしてのナノ医療の基盤の構築と医療応用への展開、産業応用および製品化による産業活性化を促進できると期待できる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-