文献情報
文献番号
200400059A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物代謝系の制御機構の解明と薬剤に対する生体側の感受性決定因子の探索
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山本 雅之(筑波大学人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
38,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、薬物代謝に関わる酵素群の遺伝子発現制御機構を転写因子レベルで包括的に解明すること、また、その制御に関与する因子群のヒトにおける機能と遺伝子多型を解析して、個人ごとの薬剤に対する感受性を予測し、投薬量の最小化や薬剤急性毒性の発症を最小限にくい止める方策を開発することを目指している。
研究方法
薬剤の急性毒性・晩発性毒性の発症におけるNrf2-Keap1制御系の関与を明らかにするために、以下の実験を行った。1)Nrf2欠損マウスの易発がん性の検討、2)肝臓特異的keap1遺伝子欠損マウスに対するアセトアミノフェン投与実験、3)ヒトnrf2遺伝子とkeap1遺伝子の多型解析。また、Nrf2-Keap1制御系におけるNrf2活性化機構を解明するために以下の実験を行った。4)Nrf2による転写活性化機構の解析、5)Keap1による毒物刺激の感知機構の解析、6)マウス個体におけるNrf2活性化分子機構の解析。
結果と考察
Nrf2欠損マウスは、化学発癌がおこりやすく、化学発癌剤の解毒にはNrf2が重要であることが確認された。また、肝臓特異的keap1遺伝子欠損マウスは薬剤毒性に対して顕著な抵抗性を獲得しており、肝細胞でのNrf2の活性化が薬剤抵抗性の獲得をもたらすことを実証した。さらに、Nrf2とKeap1の構造機能連関を解析し、Keap1によるNrf2機能抑制とその解除、それに引き続くNrf2の強力な転写活性化能発現の分子機構の一端を明らかにした。Nrf2-Keap1制御系のマウス個体を用いた機能検証系を確立し、生理的条件に近い環境で分子機能を評価することに成功した。
結論
薬剤の急性・慢性毒性発症の防御におけるNrf2-Keap1システムの重要性を明らかにした。また、Nrf2-Keap1制御系の分子機構の解析から、親電子性試薬がKeap1に直接作用することを証明し、Keap1がセンサー分子として機能し得ることを明らかにした。さらに、マウス個体を用いたNrf2-Keap1制御系の機能検証システムを確立し、生理的条件でNrf2-Keap1制御系の機能評価を行うことに成功した。
公開日・更新日
公開日
2005-04-27
更新日
-