疾患関連遺伝子の機能解明のための実験動物研究資源の基盤整備に関する研究

文献情報

文献番号
200400056A
報告書区分
総括
研究課題名
疾患関連遺伝子の機能解明のための実験動物研究資源の基盤整備に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松田 潤一郎(国立感染症研究所獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 葛西 孫三郎(高知大学農学部)
  • 横山 峯介(新潟大学脳研究所動物資源開発支援研究部門)
  • 中潟 直己(熊本大学動物資源開発研究センター)
  • 鈴木 治(国立感染症研究所獣医科学部)
  • 小倉 淳郎(理化学研究所バイオリソースセンター)
  • 加藤 秀樹(浜松医科大学医学部附属動物実験施設)
  • 山田 靖子(国立感染症研究所動物管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
252,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
疾患モデル動物を中心として、ゲノム医学、ゲノム創薬などの研究にスムーズに有効に利用されるための実験動物研究資源の基盤整備のための総合的研究を行うことを目的とした。
研究方法
マストミスの精子凍結保存法開発には精巣上体精子を用い、過排卵誘起法の開発には成熟個体を用いた。2細胞期胚の細胞膜透過性の検討には、ICR系マウスを用いた。マウスの卵巣移植条件の検討にはGFP-Tgメスから摘出した卵巣などを用いた。透明帯穿孔卵子の作出システムの開発には、レーザーを用いた。卵巣内卵子の有効活用による新規発生工学技術の開発には、凍結保存マウス卵巣由来卵胞を用いた。顕微授精技術と核移植クローン技術の開発にはピエゾドライブマイクロマニピュレータを用いた。コモンマーモセットのマイクロサテライトマーカー開発研究のためマーモセット5個体の皮膚から核DNAを精製し、PCRを行った。各種実験動物の血清抗体検査-ELISA法による抗LCMV抗体検出には、マストミス、スナネズミなどを用いた。
結果と考察
(1)保存に関しては、①マストミスの精子凍結保存液の遠心処理が有効であることを示し、新たな過排卵誘起法を開発した。②マウス2細胞期胚の割球の、体積、固形分含量、水透過性、エチレングリコール透過性などの低温生物学的特性値には、大きな偏差があることがわかった。③マウス卵巣を2分割して移植し産仔が得られた。④レーザーによる透明帯穿孔卵子作出システムを開発した。(2)新規生殖工学技術として、①卵巣内卵子の有効活用を検討し、培養液組成の改良を行った。②精巣および精巣上体の丸ごとの凍結および保存が可能であり、顕微授精で産子を作出できることを示し、さらに体細胞核移植クローン技術がマウスバンク事業に有用であることを示した。(3)遺伝学的及び微生物学的品質管理については、①マーモセット集団を遺伝育種学的に管理する目的で指標となるマーカー開発を行い、マイクロサテライトジェノタイピングが可能となった。②マストミス、スナネズミなど各種実験動物の血清抗体検査-ELISA法による抗LCMV抗体検出法を開発した。
結論
実験動物研究資源の基盤整備のための多様な研究が進展し、ゲノム医学、ゲノム創薬などの研究が飛躍的に進むことが期待される

公開日・更新日

公開日
2005-06-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200400056B
報告書区分
総合
研究課題名
疾患関連遺伝子の機能解明のための実験動物研究資源の基盤整備に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松田 潤一郎(国立感染症研究所獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 葛西 孫三郎(高知大学農学部)
  • 横山 峯介(新潟大学脳研究所動物資源開発支援研究部門)
  • 中潟 直己(熊本大学動物資源開発研究センター)
  • 鈴木 治(国立感染症研究所獣医科学部)
  • 小倉 淳郎(理化学研究所バイオリソースセンター)
  • 加藤 秀樹(浜松医科大学医学部附属動物実験施設)
  • 山田 靖子(国立感染症研究所動物管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
疾患モデル動物を中心として、ゲノム医学、ゲノム創薬などの研究にスムーズに有効に利用されるための実験動物研究資源の基盤整備のための総合的研究を行うことを目的とした。
研究方法
精子凍結法の開発のため、マストミス及びスナネズミの精巣上体精子を用いた。マウスの簡便な授受のために、2細胞期胚を卵管ごと効率的に冷蔵保存する条件等をしらべた。マウス卵巣の凍結保存法として、簡易ガラス化法を修正した方法を応用した。遺伝子改変マウスのデータベース(CARD R-BASE)の構築などを行った。凍結保存マウス卵巣由来卵胞の発育培養,体外成熟,体外受精などを行った。ピエゾを用いた顕微授精および体細胞核移植クローン作成などを行った。マウス初期胚と精子細胞からDNAを精製し、胚・配偶子を用いた遺伝的品質検査法の開発を行った。マストミス、スナネズミなど各種実験動物の血清抗体検査-ELISA法を検討した。
結果と考察
(1)保存に関しては、①マストミスとスナネズミの精子凍結保存法を開発、改良し、マストミスの過排卵誘起法を開発した。②マウスの2細胞期胚を卵管ごと48時間保存する方法を開発し、マウス卵母細胞に水チャンネルを発現させることで耐凍性の向上に成功した。③マウス卵巣凍結法を開発し、各週齢の雌から摘出した凍結卵巣から産仔が得られた。④マウスのデータベースの構築を行った。レーザーによる透明体穿孔卵子作出システムを開発した。(2)新規生殖工学技術として、①ガラス化保存卵巣由来卵胞から胚盤胞が得られ,卵胞発育培養の有用性が示された。②マウスの顕微授精技術および核移植クローン技術を改善あるいは開発することにより、マウス系統の安定的な保存方法などを確立した。(3)遺伝学的及び微生物学的品質管理については、①少数の胚および精子を用いたジェノタイピング法を開発した。②マストミス、スナネズミ、ハムスターなどについて、適切な二次抗体を選択することで、ウイルス、細菌の血清抗体検査をELISA法により実施可能であることが示唆された。
結論
疾患モデル動物を中心とした実験動物研究資源の基盤整備の総合的な研究が着実に進み、多くの成果が得られた。今後、これらの成果をもとに、実験動物研究資源の基盤整備が継続的安定的に進められることで、ゲノム医学等の発展をもたらし、国民の健康、福祉の一層の向上に寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-06-28
更新日
-