健康効用値を用いた政策評価に関する研究

文献情報

文献番号
200400147A
報告書区分
総括
研究課題名
健康効用値を用いた政策評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
上村 隆元(杏林大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 森口尚史(東京大学先端科学技術研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康効用値はQALYS;質で調整した生命年数を算出する際の調整係数であるが、HUIは間接測定方法として有用と認められている。妥当性の検証を終えた日本語版HUIは、医療行為、診療技術、診療機能、予防対策などの保健サービスのアウトカムを測定・評価する際の指標として使用環境が整ってきた。これはQOLの向上を評価する上で大変重要な進歩である。臨床的指標だけでは限界がある患者の主観的な健康感を数値評価できるかは、費用効用分析をする上でも重要となり、医療政策を選択する上での有用なエビデンスを供与する。
研究方法
群馬県榛名町倉渕村全人口4600名を対象に調査を行う。 HUI質問票およびEQ5D質問票、VAS(Visual Analogue Scale)によって効用値とValueを同時測定して、個人属性に関する調査を行う。コホート集団の設定を行い、この群においてベースライン調査を平成15年に開始し、経時的推移を追跡調査する。
結果と考察
群馬県倉渕村全人口4886名をコホート集団とした。老人健康保健法による基本診査のタイミングに併せて研究にリクルートする対象者らに研究の趣旨を説明し全員から対面式でインフォームドコンセントを得た。次に行政所轄の住民台帳より居住区、年齢、性別などの基本的個人属性項目が一致するよう分類した上でコホート集団を確定した。1年目にこれを終了した。研究組織内でHUI質問票およびEQ5D質問票、VAS(Visual Analogue Scale)などの健康効用測定用具の有効活用方法に関する議論を重ね効用値を測定したうえでこの経時的変化が何を意味するかの解釈あるいは生活習慣病予防政策の介入によって個人属性がどのように変化し、健康効用値がどのような相関をもつのか解析準備を整えた。
結論
村の事業である“けんこう倉渕21”の学術面でのサポート活動を行う。官学共同研究は政策科学推進研究としては理想的な研究の枠組みといえる。調査員が現地に出向き対面で得たインフォームドコンセント取得率は95.8%。検診を計画する上で最もQOLに影響を与える指標を集中的に調査できるものとしこれらの個人属性に関する調査を経時的に追跡できるようにした。平成17年からはHUI質問票およびEQ5D質問票、VAS(Visual Analogue Scale)によって効用値とValueを同時測定して、個人属性調査との関連を評価できる。同村におけるベースライン調査からの個人属性の変化と健康効用値の変化との相関を解析し、経時的推移を追跡調査する。平成18年の中間評価に向けた生活習慣病予防への介入策を行う。

公開日・更新日

公開日
2005-05-23
更新日
-