研修医マッチング初年度参加主体の意識調査とその行動分析

文献情報

文献番号
200400135A
報告書区分
総括
研究課題名
研修医マッチング初年度参加主体の意識調査とその行動分析
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
和光 純(学習院大学経済学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
2,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成16年度施行の新医師臨床研修制度を支援する研修医マッチング事業は、我国の臨床研修体制の改革と新労働市場創設の観点から早期定着が望まれる。そこで、研修医マッチング初回参加主体の意識・行動を調査分析する。
研究方法
研修医マッチングの定着には、それが、研修希望者(研修医)と研修病院からなる労働市場におけるジョブマッチングの自由度、公正さ、負担軽減(効率性)、情報供給を向上させることが重要である。そこで、平成15年の初回研修医マッチングに参加した全研修病院851件と、そこに勤務する1年目研修医2名ずつにアンケートを依頼し、この4要素を調査した。
結果と考察
研修病院より依頼数の38.2%、325件、研修医より依頼数の28.9%、492件の回答があり、主に次の結果を得た。
1.自由度.約50%の研修医が出身大学病院でも関連病院でもない研修病院に勤務していた。給与水準は、年俸240-480万円の研修病院の比率が、制度開始前に比べ、上昇していた。研修先決定の自由度が高く、そのため給与水準は上昇したと考えられる。
2.公正さ.約90%の研修医が真の希望順位を申告し、約70%の研修医がその合理性を認識していた。研修病院は、平均して、定員の約2倍を採用希望順位表に登録し、定員以上の採用は強制されないことを理解していた。マッチング・アルゴリズムは信頼を得ていると思われる。
3.負担軽減.研修医マッチング事業がないと仮想すると、約80%の研修病院が青田買い発生、約60%が採用業務増を予想した。約40%の研修医が研修先決定の負担増を予想した。本事業は、ジョブマッチングの負担を軽減すると認識されている。
4.情報供給.研修医は、研修医マッチングの平成15年開始に関する情報不足を挙げ、初回特有の困惑を示した。研修病院は、約30%が中間公表を有用、約40%はどちらでもないと評価した。中間公表後に追加採用試験を受けた者は3%だった。情報供給の向上は必要である。
結論
研修医マッチング事業は、ジョブマッチングの自由度を増加させ、公正さを維持する分かり易い手続きにより、研修医・研修病院の負担を軽減すると認識されていた。初回は情報供給が十分ではなかったが、十分に改善可能である。事実、医師臨床研修マッチング協議会の精力的な改善は目覚しい。本調査は、時間を経ると採取困難な初回時の記録である。これを留意すれば、今後の調査との比較材料となろう。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-