医療機器の内外価格差に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400116A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器の内外価格差に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
南部 鶴彦(学習院大学経済学部)
研究分担者(所属機関)
  • 上塚 芳郎(東京女子医科大学医学部)
  • 菅原 琢磨(国際医療福祉大学医療福祉学部)
  • 坂巻 弘之(医療経済研究機構)
  • 山崎 学(医療経済研究機構)
  • 今野 広紀(医療経済研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機器の内外価格差問題は、依然として解消されておらず、保険財政を圧迫する一つの要因となっている。医療機器の開発と技術進歩が、患者健康改善と共に、結果として、医療費削減効果に寄与することに鑑みれば、資源の効率的配分の視点からその費用と便益を詳細に分析する必要がある。本研究では、機器の価格形成について、需要と供給の側面から実証的な研究を行い、非効率性の発生要因とメカニズムを経済分析によって明らかにすることを目的とした。
研究方法
2年目の本年度研究事業においては、医療機器の購入主体である病院・医師へのヒアリング、メーカーからのヒアリングに加えて、医療機関に対してCTスキャナー・MRI装置の利用実態・購入実態に関するアンケート調査を行った。
結果と考察
機器の導入では、多くの医療機関が「購入」による導入を図り、その理由は「償却期限がきたこと」や「臨床上の理由」によることが主であった。機種選定にあたり「最も強く意見が反映された」のは、「放射線科の医師」「診療放射線技師」の回答が多かった。「導入にあたって重視した点」では、多くの医療機関が「性能・操作性」であった。サポート体制は、「免責額ありのサポート契約」を結ぶ医療機関が圧倒的に多かった。購入価格は、平均値ではCTスキャナーで8,700万円、MRI装置で1億200万円との結果であった。
計量分析では、機器の購入価格の決定要因を解析した。本体購入価格を被説明変数とすると、CTスキャナーでは「国立」「公立」「公的」「医育機関」である医療機関が、「医療法人」医療機関よりも高く購入していた。MRI装置では、「医育機関」である医療機関は「医療法人」医療機関よりも約1億8、000万円高く購入していた。価格を重視する医療機関は、CTスキャナーで約4,900万円、MRI装置で7,900万円安く購入していた。リース料については、共にリース契約により導入する際に「価格を最も重視する」医療機関は年間経費を引き下げている結果となった。
結論
本調査研究の結果から、医療機関における医療機器の購入慣行として、「自院単独での購入」、「製品銘柄の選定への医師の影響力」、メーカー・卸等の「附帯的サービス」といった要因が価格引き上げ要因であり、医療機関側が機器の購入時により価格交渉力を持つ必要性が示唆された。また、本調査での対象機器の市場占有率等の特性に鑑みれば、内外価格差については、国内市場での有力な競争的国内企業の存在が価格差解消の一要因になるものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200400116B
報告書区分
総合
研究課題名
医療機器の内外価格差に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
南部 鶴彦(学習院大学経済学部)
研究分担者(所属機関)
  • 上塚 芳郎(東京女子医科大学 医学部)
  • 菅原 琢磨(国際医療福祉大学 医療福祉学部)
  • 坂巻 弘之(医療経済研究機構 研究部長)
  • 山崎 学(医療経済研究機構 主任研究員)
  • 今野 広紀(医療経済研究機構 研究員)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機器の価格については、かつて内外価格差問題として取り上げられて以来、その差がどのような要因によるものかについて未だ十分に明らかにされていない状況にある。本研究は、設備として購入され償却の対象となるCTスキャナーと磁気共鳴診断装置(MRI)について、現実の購入実態をアンケート及びインタビューによって調査し、それらの価格形成に与える要因を摘出する作業をおこなった。
研究方法
対象とした医療機器の購入実態を把握する為、以下の調査を実施した。
【アンケート調査】
1)対象品目:CTスキャナー、磁気共鳴診断装置(MRI)
2)対象施設:日本放射線科専門医会の会員が所属する医療機関 1,756施設
3)実施時期:平成17年2月21日-平成17年3月7日
4)回収状況:257施設(回収率14.6%)
【インタビュー調査】
インタビュー調査として東京女子医科大学、聖マリアンナ医科大学へのヒアリング調査を行い、医療機器購入行動の特徴や問題点等の把握を試みた。
結果と考察
CTスキャナー・MRIの「導入」については、多くの医療機関が「卸業者・販売代理店から購入」による導入を図っており、その理由は「償却期限がきたこと」や「臨床上の理由」が主であった。また購入の機種選定にあたり「最も強く意見が反映された」のは、「放射線科の医師」、「病院長・理事長」の順であった。「導入にあたって重視した点」では、多くが「性能・操作性」を挙げ、「本体価格」と「サポート体制」がそれに続いた。「購入価格」については、回答数を十分得られなかったが、回答価格の平均値は、CTスキャナーで8,700万円、MRIで1億200万円であった。ただしかなりばらつきがあり、より詳細な分析が必要である。我が国では、医療機関ごとに独立して医療機器を購入する傾向が強いが、欧米では医療機器を一括購入することで、メーカーや販売店、卸売業者に対する価格交渉力を持ち、大きな値引率を実現していることも判った。
結論
上記調査により、「結果と考察」で示した結果を得た。またアンケート調査に対する計量分析によると、CTについては購入時の選択において「サポート体制」、「購入決定者」、「価格性能比較」等の要因が有意であり、「開設者区分」も非常に重要な要因であることが検出された。一方、MRIについては、CTのような明白な変数を見出すことはできなかった。

公開日・更新日

公開日
2005-06-15
更新日
-