文献情報
文献番号
200300184A
報告書区分
総括
研究課題名
介護報酬改定が地域における介護サービスの質に与える影響に関する統計的研究(総括研究報告書)
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
筒井 孝子(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
6,760,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成15年から実施される介護報酬改定では、施設に関しては、報酬の引き下げがなされ、一方、ケアプランの作成やモニタリング等の活動を行う介護支援専門員に対する居宅介護支援の報酬については、約17%引き上げられる。これは介護保険制度の理念である在宅福祉の推進のためには居宅サービスにおけるモニタリング業務の明確化や記録の整備がとくに重要と考えられていることを示している。
これらの一連の改定が、結果として、要介護高齢者や介護支援専門員の計画作成にどのような影響を与えるかは、今後の介護保険制度の運営や介護サービスの質の向上にとって重要である。
本研究の目的は、介護報酬の改定が地域における居宅介護支援に与える影響を、要介護高齢者、介護支援専門員の両者の行動の変化や要介護高齢者の状態像の変化として把握し、この改定が介護サービスの質にどのような影響を及ぼしたかを明らかにすることである。
平成15年度の目的は、平成15年度の介護報酬の改定が要介護高齢者の介護サービスの購入やその状態像の変化に影響を及ぼしたか否かを明らかにすることである。
この影響を明らかにするためには、平成15年度3月までのデータと同年4月以降のデータとの比較をすることが必要となる。ただし、サービス消費行動における変化を観察できるようになるためには、一般に、6ヶ月程度を必要とすることから、平成15年度以降の介護給付に関するデータ収集は、平成16年度に実施することとした。
これらの一連の改定が、結果として、要介護高齢者や介護支援専門員の計画作成にどのような影響を与えるかは、今後の介護保険制度の運営や介護サービスの質の向上にとって重要である。
本研究の目的は、介護報酬の改定が地域における居宅介護支援に与える影響を、要介護高齢者、介護支援専門員の両者の行動の変化や要介護高齢者の状態像の変化として把握し、この改定が介護サービスの質にどのような影響を及ぼしたかを明らかにすることである。
平成15年度の目的は、平成15年度の介護報酬の改定が要介護高齢者の介護サービスの購入やその状態像の変化に影響を及ぼしたか否かを明らかにすることである。
この影響を明らかにするためには、平成15年度3月までのデータと同年4月以降のデータとの比較をすることが必要となる。ただし、サービス消費行動における変化を観察できるようになるためには、一般に、6ヶ月程度を必要とすることから、平成15年度以降の介護給付に関するデータ収集は、平成16年度に実施することとした。
研究方法
調査は、介護報酬改定前の①要介護高齢者の状態情報調査と②提供された介護サービス提供実態および費用、利用料に関する調査、③これらの介護サービスを受けていた要介護高齢者の家族の生活実態、介護者の意識に関する調査、④A市(人口約30万人)の地域としての特徴に関する3種類の調査を実施し、その結果を分析した。
<倫理面での配慮>
本研究のテーマは、要介護者者やその介護を行う家族らに深く関わる調査であるため、調査目的の趣旨を十分理解されるよう文書等で説明すると共に被調査者名は匿名で統計的処理をすることなどの説明会を実施し、調査時の説明においても配慮し、十分に理解されるよう努めた。
<倫理面での配慮>
本研究のテーマは、要介護者者やその介護を行う家族らに深く関わる調査であるため、調査目的の趣旨を十分理解されるよう文書等で説明すると共に被調査者名は匿名で統計的処理をすることなどの説明会を実施し、調査時の説明においても配慮し、十分に理解されるよう努めた。
結果と考察
結果の概要としては、まず要介護高齢者の状態情報に関しては、平成12年4月~15年3月までの要介護認定データを基礎とした解析を実施した。36か月間に、要介護認定を受けたのべ30,870人月、このうちの実人数は、9,944人となるが、この36ヶ月の間、どのような何回目の認定の状態で過したかを集計した結果、1回の認定を受けた者から、8回の認定を受けたものまでいた。どの年齢階層においても、要介護1や要介護2のような、比較的介護の必要量が少ないと思われる高齢者が多いことが見受けられる。男性と女性を比べてみると要支援や要介護度1など、比較的介護の必要量が少ない高齢者群ではその要介護度をうけた男性と女性の間に年齢構成に違いはあまりみられず、男性においては、どの要介護度においてもその年齢構成の割合はあまり変化が見られない。一方、女性は、要介護度が高くなるにしたがって、年齢構成の割合が変化し、年齢の高い高齢者の割合が増えていることがわかる。介護サービスを利用していた高齢者は、235,531人月[月平均6,542.5人]であった。介護サービスの利用については、平成12年4月から平成15年4月までの36か月分のデータを各サービス別に要介護度別、性別、年齢階層別にサービスの利用回数について、集計を行った。各種サービスの総利用料の比較について見てみると、総利用料の中で最も多い割合を占めているのが、利用総回数と同様「施設系サービス」で10,741,408,100円(55.9%)であった。次は、「訪問系サービス」で3,725,929,620円(19.4%)、「通所系サービス」が3,639,813,690円(18.9%)、「短期入所系サービス」が1,014,826,270円(5.3%)、「その他」が99,344,560円(0.5%)であった。施設系サービス利用料が全体の5割を超え、他のサービスに比較して、かなり大きいことがわかる。次いで多いのは、訪問系のサービスであるが、全体の20%にしかあたらなかった。A市の給付額においては、ほとんどが施設系サービスによって占められていることが明らかになった。A市の特徴は、近畿地区で今後、人口増加が予測されている地域であるが、高齢者介護サービスの利用者、サービス量ともに順調に増加しており、要介護高齢者の保健医療・福祉の向上についても積極的に取り組みがなされている。
また本来、介護保険制度は、「介護の社会化」をめざして発足した制度であり、要介護者のQOLの向上だけでなく、その介護者が介護によって、自らの生活を犠牲にすることがないように、介護者のQOLの向上も同時に達成されることも目標としており、今回、はじめて、要介護高齢者と在宅で生活している、その家族との生活がいかなる状況にあるかを把握する調査を実施した。この結果、高齢者の状態の変化と介護負担感や老親扶養についての意識等との関連性は、見出せなかった。介護者の調査は、平成15年度も実施しており、介護報酬改定が与えた影響については、来年度の研究において、さらに詳細な分析をする予定である。
また本来、介護保険制度は、「介護の社会化」をめざして発足した制度であり、要介護者のQOLの向上だけでなく、その介護者が介護によって、自らの生活を犠牲にすることがないように、介護者のQOLの向上も同時に達成されることも目標としており、今回、はじめて、要介護高齢者と在宅で生活している、その家族との生活がいかなる状況にあるかを把握する調査を実施した。この結果、高齢者の状態の変化と介護負担感や老親扶養についての意識等との関連性は、見出せなかった。介護者の調査は、平成15年度も実施しており、介護報酬改定が与えた影響については、来年度の研究において、さらに詳細な分析をする予定である。
結論
今回の介護報酬の改定では、複数種類のサービスに対する加算やモニタリングを義務付ける改定がなされた。本研究では、今回の改定が高齢者に介護サービスの利用にどのような影響を与えるかを明らかすることを目的としている。この研究において重要なことは、介護報酬の改定によって、要介護高齢者の介護サービスの利用状況に影響を与えるか否かを、過去3年間における高齢者の認定データと介護サービス給付データを相互的に分析した結果を基に、この影響が現れるのに、どの程度の時間を要すのかといったことを明らかにしようとしていることであろう。初年度の成果としては、第一に、介護報酬改定前の要介護高齢者の状態と介護サービスの種類と回数等の基礎データの解析により、高齢者の状態別の介護サービスの利用実態が明らかにされた。第二に、要介護高齢者の状態の変化に影響を及ぼす介護サービスの種類と量が明らかになった。とくに要介護状態の改善に影響を与える介護サービスとしては、要介護度が低い、要支援や要介護1などにおいては、訪問介護(家事援助)の効果が示された。しかし、現時点では、介護サービスの種類の多さと改善との間には影響は示されなかった。第三に、今回の研究では、介護者の生活の質を測定するために、介護者の精神的健康度やバーンアウト、介護に対する工夫など、13分野にわたる評価尺度を開発した。介護サービス利用パターンが明らかにされたことで来年度に調査を実施する平成15年度4月以降のデータによって示される利用パターンとの差異がわかることになる。また、高齢者の状態の改善に影響をしている介護サービスの内容が高齢者の状態毎にモデル化されたことによって、平成16年度は、介護支援専門員に対して、要介護度毎に改善に影響するサービスについての理解をするための研修が予定されている。さらに介護者の生活やその介護に関する評価尺度が示されたことで、現状の介護の実態をよりわかりやすく把握することが可能となった。すでに、これらの結果については、介護支援専門員らが、自らの介護サービス計画の作成にあたって大いに参考になったとの意見を得ている。
公開日・更新日
公開日
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更新日
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