診療ガイドラインへの「Choosing Wisely」の導入に向けた研究

文献情報

文献番号
201922052A
報告書区分
総括
研究課題名
診療ガイドラインへの「Choosing Wisely」の導入に向けた研究
課題番号
19IA2022
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
北澤 京子(京都薬科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 徳田 安春(群星沖縄臨床研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
4,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、診療ガイドラインを通して、日本の診療現場にChoosing Wisely(以下、CWと略)を普及および実装することにより、医療者と患者の対話を通じた共有意思決定(shared decision making)を促進し、医療の質を高めることである。
研究方法
(課題1:Choosing Wiselyに関する先行研究の文献調査)CWに関する先行研究を、文献データベース(英文:PubMed、和文:医学中央雑誌)を用いて系統的に検索した。検索された論文の参考文献から関連性の高い文献を抽出した。(課題2:Choosing Wiselyに関する海外実態調査(国内実施分))Iona Heath医師(元英国GP学会会長)の参加協力を得、2019年5月18日に「<公開フォーラム@ Kyoto> Choosing Wisely:持続可能な医療をめざして」、2019年5月19日に「<公開フォーラム@ Tokyo> 患者と医療者のための医薬品情報~くすりの適正使用に向けたChoosing Wisely~」を実施した。さらに、CWに賛同して活動している韓国、台湾の研究者の参加協力を得、2019年8月9日に「Choosing Wisely 東アジア円卓会議」を京都で実施した。(課題3:Choosing Wiselyに関する海外実態調査(海外実施分))International Forum on Quality & Safety in Healthcare(9月、台北)、Choosing Wisely International(11月、ベルリン)、Preventing Over-diagnosis(12月、シドニー)で発表およびワークショップを行い、CWに関する各国の実施状況を知ると同時に、各国で活動を牽引するキーパーソンとの意見交換を通じて今後の方向性を探った。
結果と考察
(課題1)CWに関する論文数は2010年代に入って順調に増えている。CWは2012年に米国で発足した後、すぐに各国に広がり、2014年には12カ国の代表が集い、国際的なネットワークであるChoosing Wisely International(以下、CWIと略)が誕生した。CWIは医療従事者および一般市民への啓発活動を行うと同時に、CWの効果の測定、CWへの患者・一般市民のエンゲージメント、医療行為の脱実装(de-implementationを)を進めるためのフレームワークの開発など重要な課題に次々に取り組みんでいる。(課題2)「<公開フォーラム@ Kyoto> Choosing Wisely:持続可能な医療をめざして」では、CWが誕生した経緯を振り返ると同時に、現代の医療提供体制における意義と普及と実装に向けての課題を検討した。CWの基本原則は①医師主導、②患者中心、③EBMに準拠、④多職種協働、⑤透明性、であることが確認された。「<公開フォーラム@ Tokyo> 患者と医療者のための医薬品情報~くすりの適正使用に向けたChoosing Wisely~」は、患者・消費者向けの医薬品情報やポリファーマシー(多剤併用)に焦点を当ててCWを検討し、CWの基本原則に含まれる「患者中心」が、患者向け医薬品情報においても重要であることが再認識された。「CW東アジア円卓会議」では韓国、台湾、日本は医療制度や医師患者関係に類似点が多く、過剰診断・過剰治療につながりかねない要因が医師側にも患者側にもあることが考察され、CWを普及・実装するにあたっての課題であることが理解された。(課題3)International Forum on Quality & Safety in Healthcare、Choosing Wisely International、Preventing Over-diagnosisで発表およびワークショップを行った。CWIでの議論を通じて、①CWをさらに前進させるためのアイデア・イノベーション・質改善戦略を共有する、②CWを新たに開始した国々を支援する、③CWの研究・測定・評価を国際的に促進する、を今後さらに推進することが確認された。
結論
課題1~3を通じて、CWが誕生した経緯とこれまでの経過、さらには今後の方向性について全体像を把握することができた。次年度はこれらの成果を土台に、日本における不必要・不適切医療の実態調査をさらに進めると同時に、CWを診療ガイドラインに普及・実装するための具体的な方策について提言をまとめる予定である。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201922052Z