国土強靭化計画をふまえ、地域の実情に応じた災害医療提供体制に関する研究

文献情報

文献番号
201922044A
報告書区分
総括
研究課題名
国土強靭化計画をふまえ、地域の実情に応じた災害医療提供体制に関する研究
課題番号
19IA2014
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構災害医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
17,423,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、国土強靭化基本計画の変更を踏まえ、災害医療全体の改善を図ることである。
研究方法
下記参照
結果と考察
令和元年度大規模地震時医療活動訓練が、「首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画」等に基づき行われ、当該活動に係る組織体制の機能と実効性に関する検証が行われた。主な成果としては、DMATの指揮系統、運用の検証、巨大な医療ニーズへの対応方法の検証、搬送調整に関わる検証、インフラ支援、医療物資支援の検証、保健医療福祉分野との連携検証ができたことである。
災害医療コーディネートに関しては、台風19号における状況について検討した。それぞれのレベル階層の拠点において、保健医療に関する調整本部が設置されていたが、災害発生直後から運用できる体制を整えることが難しく、DMAT本部や保健所との役割分担、保健医療調整会議や事務局の設置に関する事前の打ち合わせ無しでの運用は難しいことが示唆された。
EMISに関する研究では、大阪府北部地震、平成30年北海道胆振東部地震における医療情報の課題を抽出し、EMISの機能改善ならびに拡張を行う方向性や具体的な項目などについて検討した。課題への対策として、i) ユーザーインターフェースの強化、EMIS訓練機能の強化とe-Learningの導入、医療機関のAPIの開発、ii) 病院の基礎情報管理ならびに緊急時入力、詳細入力に、ライフライン情報項目を追加、 iii)スマートフォン用アプリの開発を提案した。
ロジスティックに関しては、DMATの運用と指揮についての検討、DMATのロジスティクスを強化する検討、医療機関における水及び自家発電機用燃料の供給に関する検討、被災地内における通信環境の確保に関する検討、ロジスティック要員の研修のあり方に関する検討等を行った。成果としては、大規模地震時医療活動訓練等におけるDMATの指揮及び運用について検証を行ったこと、水及び燃料の供給に関する検討を行ったことが主なものである。
災害医療の将来戦略に関しては、災害時において予後の悪化が想定される重篤な循環器疾患を対象に、発症から治療に至る状況の飛躍的な改善を目的とするイノベーションの意義及び実施要領を検討した。その結果、有望な科学技術に求められる要件や具体的な候補技術例の特定、特異的なニーズを多角的に追求するイノベーションの推進要領について、一定の見解を得ることができた。
DMATの効果的な運用に関しては、「病院行動評価群ver2」の実用性評価を行った。実災害である2016年熊本地震での評価、大規模地震時医療活動訓練での活用、そして近年増加している気象災害での有用性と課題を検討し、実災害、訓練での有用性が確認できた。
医療搬送に関する研究では、広域医療搬送調査結果より、SCUの指定が完了している都道府県が87%、訓練状況は81%と増加していた。一方、資器材の整備状況は50%前後、SCUを担当する医療機関の明示は23%に留まった。制度的にも確立していない理由も考えられた。
一般病院等へのBCP策定に関する研究においては、今年度は医療機関における受援計画策定をテーマとした。地方自治体職員の相互応援体制に伴う応援・受援計画のガイドラインを参考として、「医療機関のための災害時受援計画作成の手引き」を作成した。
災害時における地域包括ケアシステムに関する研究においては、これまでの先行研究および災害対応の事例をベースに検討を行った。その結果、広範な環境変化への対応、急激な環境変化への対応、および外部支援者との連携が重要であることが示唆された。
周産期・小児医療提供体制に関する研究においては、特に大都市圏における、災害時小児周産期リエゾンの活動における課題の抽出を行った。その結果、特に長期にわたる停電時の在宅の医療的ケア児への対応、複数の活動拠点を設置し、リエゾン活動を行う場合の課題が明らかになった。
IoT、AIを活用する災害医療に関する研究においては、関係計画・施策・技術調査と社会実装課題調査を実施した。最新の情報通信関連技術を社会実装するうえでの7つの構造的な課題が明らかになった。
DMAT/DPAT先遣隊隊員のメンタルヘルスの状態を平時からチェックするシステムの構築すること等を目的に、隊員を対象にした調査を開始した。また新型コロナウイルスに関連した活動に従事したDMAT/DPAT隊員の調査も新たに実施し、救援活動中においてもセルフケアのための十分な時間を確保できること等の重要が示唆された。
国際災害医療チームの受援に関する研究では、国内計画等調査、国際標準等調査、そして国際受援訓練に分けて研究を推進した。米国DMATとの合同訓練はコロナ禍で延期となった。


結論
上記参照

公開日・更新日

公開日
2021-06-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
その他

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201922044Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,606,000円
(2)補助金確定額
15,446,000円
差引額 [(1)-(2)]
3,160,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,890,794円
人件費・謝金 817,573円
旅費 936,997円
その他 5,508,406円
間接経費 4,293,000円
合計 15,446,770円

備考

備考
自己資金770円

公開日・更新日

公開日
2022-06-23
更新日
-