サーベイランスの機能強化に資する病原体の適切な管理と検査体制に関する研究

文献情報

文献番号
201919005A
報告書区分
総括
研究課題名
サーベイランスの機能強化に資する病原体の適切な管理と検査体制に関する研究
課題番号
H29-新興行政-一般-005
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
森川 茂(国立感染症研究所ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 石井 孝司(国立感染症研究所 品質保証部)
  • 棚林 清(国立感染症研究所 バイオセーフティ管理室)
  • 花木 賢一(国立感染症研究所 動物管理室)
  • 森田 公一(長崎大学 熱帯医学研究所)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
3,027,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
BSL4やBSL3病原体等の検査・実験室診断や研究において、不活化した検体の取扱いはBSL2レベルにおいて行われるが、海外でしばしば不活化不十分な処理後に検体等が実験室から持ち出されている事例が問題となった。そこで、本研究では、高病原性の病原体等を取扱う施設やその検査を行う施設をISO17025に準拠するための方策と査察体制の構築、国内のバイオセーフティマニュアル等の標準化を目指す。科学的知見に基づいた不活化法の再評価と安全な不活化法を確立する。これらの成果をガイドラインとして取りまとめ、感染症サーベイランスや研究を担う、国立感染症研究所、地方衛生研究所、長崎大学等の機能強化を図ることを目的とする。また、感染症法では、一種及び二種病原体等の取扱者に対して定期的な教育訓練が定められているが、三種及び四種病原体所持者種及び取扱者に対する教育訓練は定められていない。三種及び四種病原体等にはバイオセーフティレベル3に該当する病原体も含まれていることから、国立感染症研究所や地方衛研で共通の教材による定期的な訓練システムを構築することを目的とする。
研究方法
第3年度は、これまでの2年間の研究成果に基づき以下の研究を行った。
1)地方衛生研究所等におけるサーベイランス機能強化のため、病原体取扱い施設管理事項についてSOP作成ガイドライン案を作成する
2)ABSL3施設/実験室の使用及び管理に係るSOPの作成ガイドラインを作成する
3)幾つかの三種及び四種病原体所持者種及び取扱者に対する教育訓練用の教育教材案を作成する。
4)特定病原体の検査、研究にかかる病原体の適切な不活化方法を検討する。
5)国立感染症研究所の公的認定試験検査機関としてのISO/IEC 17025認定について必要条件を検討する。
6)国立感染症研究所のBSL4施設における病原体取り扱いや検査における追加のSOPを作成し、作業者への教育プログラムを作成する
7)長崎大学に設置計画が進んでいるスーツ型BSL4施設に必要な施設運用に関する安全管理体制、規則・指定・SOPの素案を作成する
結果と考察
1)国立感染症研究所のバイオリスク管理にかかる各種SOPを見直し、これをもとに地方衛生研究所等におけるサーベイランス機能強化のため、病原体取扱い施設管理事項についてSOP作成ガイドライン案を作成した。
2)ABSL3施設/実験室の使用及び管理に係るSOPの作成ガイドラインを策定した。
3)三種及び四種病原体所持者種及び取扱者に対する教育訓練に関して、国立感染症研究所や地方衛研等で統一した教育教材案を作成した。
4)幾つかの特定病原体の検査、研究にかかる病原体の適切な不活化方法を検討した。
5)国立感染症研究所の公的認定試験検査機関としての適合性の確認のため、おたふくかぜワクチンおよびBCGワクチンの国家検定についての調査を受け、適合性の確認を受けた。検査あるいは実験室診断を行う公的機関のISO/IEC 17025認定について必要条件を検討した。
6)国立感染症研究所のBSL4施設における病原体取り扱いや検査において、安全な作業を作業者が等しく実施するためのSOPを作成した。また、作業者への教育プログラムを作成した。
7)長崎大学に設置計画が進んでいるBSL4施設は、国内初のスーツ型であるため国内に参考例が存在しない。そのため、海外の高度安全実験施設の情報を基に、長崎大学BSL4施設に必要な施設運用に関する安全管理体制、規則・指定・SOPの素案を作成した。
結論
本研究は、研究目的に沿って実施され、地方衛研などが必要なSOPを作成するためのガイドライン案を作成し、教育訓練プログラム案を作成し、ほぼ目的を達成した。しかし、病原体等の不活化に関しては一部の病原体の不活化の科学的知見を得るにとどまったことから、今後逐次対象病原体の不活化にかかる科学的知見を蓄積する必要がある。特に新興ウイルス感染症のCOVID-19の臨床検体を用いた検査の検体数が非常に多くなっていることから、検査に関する各処理過程でのウイルス不活化の程度を科学的に明らかにしておくことが求められる。

公開日・更新日

公開日
2022-01-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-01-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201919005B
報告書区分
総合
研究課題名
サーベイランスの機能強化に資する病原体の適切な管理と検査体制に関する研究
課題番号
H29-新興行政-一般-005
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
森川 茂(国立感染症研究所ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 篤(国立感染症研究所 品質保証部)
  • 石井 孝司(国立感染症研究所 品質保証部)
  • 棚林 清(国立感染症研究所 バイオセーフティ管理室)
  • 花木 賢一(国立感染症研究所 動物管理室)
  • 森田 公一(長崎大学 熱帯医学研究所)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
BSL4やBSL3病原体等の検査・実験室診断や研究において、不活化した検体の取扱いはBSL2レベルにおいて行われるが、海外でしばしば不活化不十分な処理後に検体等が実験室から持ち出されている事例が問題となった。そこで、本研究では、高病原性の病原体等を取扱う施設やその検査を行う施設をISO17025に準拠するための方策と査察体制の構築、CDC等の海外のバイオセーフティマニュアル等の改訂に伴い、国内の当該マニュアルの適切な改訂を行い、国内の当該マニュアルの標準化を目指す。また、病原体輸送に関するガイドラインの適切な改訂作業を行う。これらにより、バイオセーフティ、バイオセキュリティー上の安全確保をより確実なものとする。また、本研究では病原体の適切な保管と記録法、科学的知見に基づいた不活化法の再評価と安全な不活化法の確立を行い、SOPを作成する。BSL-4 施設などの病原体等を取り扱う施設における安全性、一類感染症の検査体制、BSL-4 施設基準などを適切に担保するために、各種SOPを作成、改訂する。これらの成果をガイドラインとして取りまとめ、感染症サーベイランスや研究を担う、国立感染症研究所、地方衛生研究所、長崎大学等の機能強化を図ることを目的とする。また、感染症法では、一種及び二種病原体等の取扱者に対して定期的な教育訓練が定められているが、三種及び四種病原体所持者種及び取扱者に対する教育訓練は定められていない。三種及び四種病原体等にはバイオセーフティレベル3に該当する病原体も含まれていることから、国立感染症研究所や地方衛研で共通の教材による定期的な訓練システムを構築することを目的とする。
研究方法
1)地方衛生研究所等におけるサーベイランス機能強化のため、病原体取扱い施設管理事項についてSOP作成ガイドライン案を作成する
2)ABSL3施設/実験室の使用及び管理に係るSOPの作成ガイドラインを作成する
3)幾つかの三種及び四種病原体所持者種及び取扱者に対する教育訓練用の教育教材案を作成する。
4)特定病原体の検査、研究にかかる病原体の適切な不活化方法を検討する。
5)国立感染症研究所の公的認定試験検査機関としてのISO/IEC 17025認定について必要条件を検討する。
6)国立感染症研究所のBSL4施設における病原体取り扱いや検査における追加のSOPを作成し、作業者への教育プログラムを作成する
7)長崎大学に設置計画が進んでいるスーツ型BSL4施設に必要な施設運用に関する安全管理体制、規則・指定・SOPの素案を作成する
結果と考察
1)国立感染症研究所のバイオリスク管理にかかる各種SOPを見直し、これをもとに地方衛生研究所等におけるサーベイランス機能強化のため、病原体取扱い施設管理事項についてSOP作成ガイドライン案を作成した。
2)ABSL3施設/実験室の使用及び管理に係るSOPの作成ガイドラインを策定した。
3)三種及び四種病原体所持者種及び取扱者に対する教育訓練に関して、国立感染症研究所や地方衛研等で統一した教育教材案を作成した。
4)幾つかの特定病原体の検査、研究にかかる病原体の適切な不活化方法を検討した。
5)国立感染症研究所の公的認定試験検査機関としての適合性の確認のため、おたふくかぜワクチンおよびBCGワクチンの国家検定についての調査を受け、適合性の確認を受けた。検査あるいは実験室診断を行う公的機関のISO/IEC 17025認定について必要条件を検討した。
6)国立感染症研究所のBSL4施設における病原体取り扱いや検査において、安全な作業を作業者が等しく実施するためのSOPを作成した。また、作業者への教育プログラムを作成した。
7)長崎大学に設置計画が進んでいるBSL4施設は、国内初のスーツ型であるため国内に参考例が存在しない。そのため、海外の高度安全実験施設の情報を基に、長崎大学BSL4施設に必要な施設運用に関する安全管理体制、規則・指定・SOPの素案を作成した。
結論
本研究は、研究目的に沿って実施され、地方衛研などが必要なSOPを作成するためのガイドライン案を作成し、教育訓練プログラム案を作成し、ほぼ目的を達成した。しかし、病原体等の不活化に関しては一部の病原体の不活化の科学的知見を得るにとどまったことから、今後逐次対象病原体の不活化にかかる科学的知見を蓄積する必要がある。特に新興ウイルス感染症のCOVID-19の臨床検体を用いた検査の検体数が非常に多くなっていることから、検査に関する各処理過程でのウイルス不活化の程度を科学的に明らかにしておくことが求められる。

公開日・更新日

公開日
2022-01-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201919005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
1)地方衛研などでBSL3施設の管理などのSOPを作成するためのガイドライン案を作成した。
2)幾つかの特定病原体の検査や研究にかかる不活化方法の検討を行い、安全な検査に資する情報を得た。
3)三種、四種病原体使用者の教育プログラム案を作成し地方衛研等が共通の教材で定期的な教育を行う教材として使用可能にした。
4)国立感染症研究所がISO/IEC 17025取得が可能であることを確認した。
臨床的観点からの成果
該当しない
ガイドライン等の開発
地方衛研などでBSL3施設の管理などのSOPを作成するためのガイドライン案を作成した。
その他行政的観点からの成果
特になし
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
6) Azaki M, Uda A, Tian D, et al.
Effective methods for the inactivation of Francisella tularensis
PLoS One , 14 (11) , e0225177-e0225177  (2019)

公開日・更新日

公開日
2021-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201919005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,027,000円
(2)補助金確定額
3,027,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,541,579円
人件費・謝金 0円
旅費 72,868円
その他 412,553円
間接経費 0円
合計 3,027,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-01-05
更新日
-