文献情報
文献番号
201918006A
報告書区分
総括
研究課題名
総合支援法の見直しに向けたサービスの実態の把握及びその効果の検証のための研究
課題番号
H30-身体・知的-一般-004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
櫻井 久雄(独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園)
研究分担者(所属機関)
- 口分田 政夫(びわこ学園医療福祉センター草津)
- 大塚 晃(日本発達障害支援ネットワーク)
- 谷口 泰司(関西福祉大学 社会福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
6,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成30(2018)年度に国立のぞみの園が厚生労働科学研究で実施した「総合支援法の見直しに向けたサービスの実態の把握及びその効果の検証のための研究(2年計画1年目)」では、新設されたサービスとして「日中サービス支援型共同生活援助」、「自立生活援助」、サービスの対象が拡大となった「重度訪問介護」、基本報酬及び加算等の見直しが行われた「重度障害者等包括支援」について、現状での実態把握のための調査を行った。
この結果に基づき令和元(2019)年度は、「就労定着支援」に関する実態把握を加え、新たな類型として実施された障害福祉サービス及び支給決定状況として拡大されるサービス等の利用実態および今後の課題を明らかにすると共に、次期報酬改定の見直しに向けた基礎資料とすることを目的に、以下の5つの調査・研究を行った。
この結果に基づき令和元(2019)年度は、「就労定着支援」に関する実態把握を加え、新たな類型として実施された障害福祉サービス及び支給決定状況として拡大されるサービス等の利用実態および今後の課題を明らかにすると共に、次期報酬改定の見直しに向けた基礎資料とすることを目的に、以下の5つの調査・研究を行った。
研究方法
(1)日中サービス支援型共同生活援助の指定事業所における運営状況および利用実態に関する調査、(2)自立生活援助に関する自治体の指定状況及び指定事業所の状況等についての実態調査、(3)重度訪問介護の訪問先拡大に関する支援と利用者の状況等について-事業所、関係機関、利用者を対象とした実態調査-、(4)就労定着支援に関する支援と利用者の状況等についての実態調査、(5)重度障害者等包括支援事業の実施方法及び運営方法に関する研究、の各研究を、それぞれアンケート調査、ヒアリング調査等の方法により行った。
結果と考察
日中サービス支援型共同生活援助、自立生活援助、就労定着支援、重度障害者等包括支援の全国の指定状況と、重度訪問介護の入院時支援を行っている事業所の情報を得るため、指定権限がある全国の都道府県、指定都市、中核市125自治体を対象としたアンケート調査を実施し、125自治体から回答を得た(回収率100%)。結果として、指定事業所数(令和元(2019)年8月1日現在)は、日中サービス支援型共同生活援助は104事業所、自立生活援助は274事業所、就労定着支援は1,275事業所、重度障害者等包括支援は20事業所であることがわかった。
(1)現状での日中サービス支援型共同生活援助は、高齢者よりも重度障害者の多い事業所の指定取得が多く、従来の介護サービス包括型の延長線上に位置し、重度の障害がある在宅者および旧類型のグループホーム利用者が、高齢化を迎える準備として、利用しているケースが多いことが明らかになった。また、当面は、高齢化を見据えた、「心身の健康管理等に対応するための医療機関との連携」、「機能低下に合わせた日中活動のプログラム化」の2点が今後の課題であると考えられた。
(2)自立生活援助の利用者は、年齢は40歳代から50歳代が多く、障害種別は精神障害者、知的障害者が大半を占めており、家庭や病院、施設から単身生活への移行のために活用していることが明らかになった。また、「報酬と標準利用期間の妥当性の検証」と「指定事業所の拡大に向けた働きかけ」の2点が今後の課題であると考えられた。
(3)重度訪問介護・入院時支援の利用者は、障害種別は身体障害者、難病者が大半を占めており、「日常的な支援を行っているヘルパーが付き添うことの安心感が利用者に有ること」、「医療機関に必要な支援や介助方法などを適切に伝えられることでのケアの向上」、「円滑な入院と治療が可能となったことでの重症化の予防」の三つの効果があることが明らかになった。また、「遠方の医療機関への入院時支援」、「医療機関の対応と事前の役割の整理」の2点が今後の課題であると考えられた。
(4)就労定着支援の利用者は、年齢は20歳代から30歳代が多く、障害種別は知的障害者、精神障害者、発達障害者が大半を占めており、就労定着率7割以上の事業所が全体の約8割と多くの事業所が高い就労定着率を達成していることが明らかになった。また、「報酬等制度の検討」、「支援が必要な者へのサービスの提供」、「生活場面も含めた支援の遂行」、「支援終了後の切れ目ない支援」の4点が今後の課題であると考えられた。
(5)現状での重度障害者等包括支援は、「重度障害者に暮らしやすい支援ができる」といった利点があることが明らかになった。また、「自治体、事業所および重度障害者の家族等に、この制度を広く認知してもらうことを目的に、制度の内容、対象者像を分かりやすく解説したリーフレット、好事例集等のツールを活用して情報を広めること」、「利用者、事業者双方に利点のある制度とすることを目的に、対象条件の緩和と報酬改定の検討を行うこと」の2点が今後の課題であると考えられた。
(1)現状での日中サービス支援型共同生活援助は、高齢者よりも重度障害者の多い事業所の指定取得が多く、従来の介護サービス包括型の延長線上に位置し、重度の障害がある在宅者および旧類型のグループホーム利用者が、高齢化を迎える準備として、利用しているケースが多いことが明らかになった。また、当面は、高齢化を見据えた、「心身の健康管理等に対応するための医療機関との連携」、「機能低下に合わせた日中活動のプログラム化」の2点が今後の課題であると考えられた。
(2)自立生活援助の利用者は、年齢は40歳代から50歳代が多く、障害種別は精神障害者、知的障害者が大半を占めており、家庭や病院、施設から単身生活への移行のために活用していることが明らかになった。また、「報酬と標準利用期間の妥当性の検証」と「指定事業所の拡大に向けた働きかけ」の2点が今後の課題であると考えられた。
(3)重度訪問介護・入院時支援の利用者は、障害種別は身体障害者、難病者が大半を占めており、「日常的な支援を行っているヘルパーが付き添うことの安心感が利用者に有ること」、「医療機関に必要な支援や介助方法などを適切に伝えられることでのケアの向上」、「円滑な入院と治療が可能となったことでの重症化の予防」の三つの効果があることが明らかになった。また、「遠方の医療機関への入院時支援」、「医療機関の対応と事前の役割の整理」の2点が今後の課題であると考えられた。
(4)就労定着支援の利用者は、年齢は20歳代から30歳代が多く、障害種別は知的障害者、精神障害者、発達障害者が大半を占めており、就労定着率7割以上の事業所が全体の約8割と多くの事業所が高い就労定着率を達成していることが明らかになった。また、「報酬等制度の検討」、「支援が必要な者へのサービスの提供」、「生活場面も含めた支援の遂行」、「支援終了後の切れ目ない支援」の4点が今後の課題であると考えられた。
(5)現状での重度障害者等包括支援は、「重度障害者に暮らしやすい支援ができる」といった利点があることが明らかになった。また、「自治体、事業所および重度障害者の家族等に、この制度を広く認知してもらうことを目的に、制度の内容、対象者像を分かりやすく解説したリーフレット、好事例集等のツールを活用して情報を広めること」、「利用者、事業者双方に利点のある制度とすることを目的に、対象条件の緩和と報酬改定の検討を行うこと」の2点が今後の課題であると考えられた。
結論
研究結果より、事業所および利用者のサービス利用実態等が明らかとなった。また、収集されたデータの分析等により、より効果的なサービスとするための課題を抽出することができた。
公開日・更新日
公開日
2020-11-16
更新日
-