文献情報
文献番号
201911035A
報告書区分
総括
研究課題名
好酸球性消化管疾患、重症持続型の根本治療、多種食物同時除去療法の診療体制構築に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H29-難治等(難)-一般-042
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
野村 伊知郎(国立成育医療研究センター 好酸球性消化管疾患研究室)
研究分担者(所属機関)
- 石村 典久(島根大学 第二内科)
- 八尾 建史(福岡大学筑紫病院 内視鏡部)
- 山田 佳之(群馬県立小児医療センター アレルギー感染免疫・呼吸器科)
- 大塚 宜一(順天堂大学 医学部 小児科学講座)
- 工藤 孝広(順天堂大学 医学部 小児科学講座)
- 小林 佐依子(国立成育医療研究センター 栄養管理部)
- 新井 勝大(国立成育医療研究センター 消化器科、消化管アレルギー科)
- 大矢 幸弘(国立成育医療研究センター アレルギーセンター)
- 松本 健治(国立成育医療研究センター 免疫アレルギー感染研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
5,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
好酸球性消化管疾患(EGID)には、食道のみに炎症が限局した好酸球性食道炎(EoE)と、それ以外に広く炎症が見られる好酸球性胃腸炎(EGE)がある。本研究の目的は、現在根本治療が存在せず、生涯にわたって治療継続が必要な持続型EGEについて、日本における、患者数を推定し、臨床像を調査すること。そして根本治療とも考えられる多種食物同時除去治療を世界に先駆けて開発し、プロトコールを作成、診療体制を構築することである。
研究方法
EGIDの自然歴、ステロイド治療結果の全国調査の解析を行った。医師向けの多種食物同時除去療法、実施マニュアル作成、栄養士向けの多種食物同時除去療法、実施マニュアル作成を行った。EGIDの診療体制構築を行った。
結果と考察
全国調査、二次調査の解析結果を示す。自然歴ついては、EoEもEGEも持続型が最も多かった。この型は生涯にわたって炎症が続くと思われ、治療介入なしに寛解を望むことは難しい。持続型のEGEは、標準治療であるステロイド内服を行っていることが多く、各主治医は最少量のステロイド内服にて症状寛解維持できるよう努力されていると思われる。しかし、ステロイド長期内服も、患者重症度によっては維持量を増やさざるを得ず、糖尿病、骨粗鬆症、うつ状態などを起こす場合もある。このため、新たな根本的治療法開発が必要であろうと考える。
持続型EGEに対する、多種食物除去の3基幹施設(成育医療研究センター、島根大学第二内科、群馬県立小児医療センター)の結果を示す。持続型好酸球性胃腸炎患者65名のうち、28名が、多種食物除去、もしくは6種食物除去を行って以後一年以上経過し、評価を行えた。60.7%が食事除去治療のみで寛解状態を維持できた。28.6%は経口ステロイドなどの抗炎症治療を必要とした。10.7%は、重度炎症が持続、抗IL13抗体が使用された。
多種食物除去期間中は、全員速やかに、症状スコアおよび検査所見が正常化することが確かめられた。これまで原因不明とされてきた持続型好酸球性胃腸炎の炎症の増悪因子が、食物の中にあることが証明された。ただし、この時点の食事内容は、シンプルなものであり、2週間程度が限度である。その後の各種食物の長期負荷試験を行って、摂取できる食物を増やすとともに増悪原因食物を同定する。しかし40%近くの患者が原因不明のまま、増悪した。EGEは難治性疾患であり、食餌除去のみで、すべての患者の長期寛解を果たすことは困難である。
食餌療法によって長期寛解が可能な患者と、そうでない患者は、疾患のendotypeが異なる可能性がある。血清や消化管組織のバイオマーカーで区別できるか否か、検討すべきである。治療前に、効果が見込めるタイプを予測できれば、患者にとって非常にメリットが大きい。
食餌治療は今後、増加の可能性あるブデソニド局所治療、抗IL13抗体治療の前に行うべき標準治療であり、根本治療と位置づけられる。特に抗体医薬による医療費高騰抑制が期待できる。EGEは未だ、ベストの実施方法は定まっていない。ひとりひとりの患者さんに丁寧な診療を行い、効果を見て、不便や副作用を最小限に抑える方法を見出す時期にある。観察研究を実施し、論文を公表してゆく。観察研究の結果から、最有力な実施方法が固まった段階で、RCTなどの介入研究を行う。
持続型EGEに対する、多種食物除去の3基幹施設(成育医療研究センター、島根大学第二内科、群馬県立小児医療センター)の結果を示す。持続型好酸球性胃腸炎患者65名のうち、28名が、多種食物除去、もしくは6種食物除去を行って以後一年以上経過し、評価を行えた。60.7%が食事除去治療のみで寛解状態を維持できた。28.6%は経口ステロイドなどの抗炎症治療を必要とした。10.7%は、重度炎症が持続、抗IL13抗体が使用された。
多種食物除去期間中は、全員速やかに、症状スコアおよび検査所見が正常化することが確かめられた。これまで原因不明とされてきた持続型好酸球性胃腸炎の炎症の増悪因子が、食物の中にあることが証明された。ただし、この時点の食事内容は、シンプルなものであり、2週間程度が限度である。その後の各種食物の長期負荷試験を行って、摂取できる食物を増やすとともに増悪原因食物を同定する。しかし40%近くの患者が原因不明のまま、増悪した。EGEは難治性疾患であり、食餌除去のみで、すべての患者の長期寛解を果たすことは困難である。
食餌療法によって長期寛解が可能な患者と、そうでない患者は、疾患のendotypeが異なる可能性がある。血清や消化管組織のバイオマーカーで区別できるか否か、検討すべきである。治療前に、効果が見込めるタイプを予測できれば、患者にとって非常にメリットが大きい。
食餌治療は今後、増加の可能性あるブデソニド局所治療、抗IL13抗体治療の前に行うべき標準治療であり、根本治療と位置づけられる。特に抗体医薬による医療費高騰抑制が期待できる。EGEは未だ、ベストの実施方法は定まっていない。ひとりひとりの患者さんに丁寧な診療を行い、効果を見て、不便や副作用を最小限に抑える方法を見出す時期にある。観察研究を実施し、論文を公表してゆく。観察研究の結果から、最有力な実施方法が固まった段階で、RCTなどの介入研究を行う。
結論
好酸球性消化管疾患は全国に6000名近く存在し、うち、2300名程度が、持続型EGEと推定され、生涯炎症が持続すると考えられた。小児期患者がより重症であり、成長障害などが見られた。多種食物除去療法とその後の原因食物特定は、持続型EGE患者60%において長期寛解を達成した。今後は本療法を全国に広め、増悪原因食物の全国調査を行うとともに、食餌療法によって寛解が達成できなかった患者について、新規治療薬の臨床研究、保険収載を求めてゆく。以上により、本症患者の社会復帰、学業復帰を可能し、人生の展望が開けるよう、診療体制構築を続ける。
公開日・更新日
公開日
2021-05-27
更新日
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