文献情報
文献番号
201910002A
報告書区分
総括
研究課題名
保健・医療・教育機関・産業等における女性の健康支援のための研究
課題番号
H30-女性-一般-002
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
荒田 尚子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター病院 周産期・母性診療センター母性内科)
研究分担者(所属機関)
- 高松 潔(東京歯科大学 市川総合病院 産婦人科)
- 村嶋幸代(公立大学法人大分県立看護科学大学)
- 片井みゆき(東京女子医科大学 医学部)
- 辻 真弓(産業医科大学 医学部)
- 井ノ口美香子(慶應義塾大学 保健管理センター)
- 小宮 ひろみ(福島県立医科大学 医学部)
- 西岡 笑子(防衛医科大学校 医学教育部看護学科)
- 前田 恵理(秋田大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
10,767,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、生涯を通じた女性の健康の保持増進を図れるような環境整備を進めるために、すでに各分野で実施されている女性の健康支援の取組を調査・分析し、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点等を重視しつつ、女性がその健康状態に応じて的確に自己管理を行うことができるようになるための健康教育、相談体制を確立することを目的としている。
研究方法
昨年度の調査の結果、より早い時期からの横断的・予防医学的な女性の健康を包括的に教育するプログラムがライフステージに応じた女性の健康の実現に不可欠であること、および我が国の女性の健康支援において、幼い時期からの段階的な国際標準の性と生殖に関する教育が不足していることが明らかになったことから、女性の健康寿命の延伸のみならず、次の世代の子どもたちの健康のために、UNESCO作成の指針である「International technical guidance on sexuality education 2018」、および「プレコンセプションケア」の国際標準の基本的な理念や方針に基づき、日本の現状に合わせた小児・思春期から更年期までのライフステージの女性を教育・支援するための教育プログラムを作成することが適切と考えられた。したがって、令和元年度は、「国際標準となるInternational technical guidance on sexuality education 2018のコンセプトを取り入れた性教育を含めた女性のライフステージを考慮した健康教育の検討(研究分担者:西岡・荒田・井ノ口)」および、国際標準の海外のプレコンセプションケアを取り入れながら日本の諸問題を解決するのに望ましい「日本におけるプレコンセプションケアの定義案と目標案の検討(研究分担者:前田・荒田)」の研究結果をとりいれて、「国際標準の性や生殖に関する教育カリキュラムを取り入れた包括的女性の健康支援のための教育プログラムおよびテキストブック・教材の作成(研究分担者:荒田・高松・辻・片井・小宮・西岡・井ノ口・前田)」および「保健・医療・教育機関・産業等における女性の包括的健康支援体制のガイドライン骨子の検討(研究分担者:荒田)」を行った。また、最終年度での実証に用いるヘルスリテラシー尺度を「5.プレコンセプションケア・ヘルスリテラシー尺度作成に関する研究(研究分担者:村嶋・荒田)」にて作成した。
結果と考察
1.国際標準の性や生殖に関する教育カリキュラムを取り入れた包括的女性の健康支援のための教育プログラム案、支援者のためのテキストブックおよび支援対象者への教材のα版を作成した。
2.性教育に関する国際ガイダンスと比較し、文部科学省学習指導要領における日本の女性のための健康教育は国際基準より開始時期および内容ともに大きく遅れをとっていることが明らかになった。また、レベル1(5~8歳)の教材を、同ガイダンスに即した内容で母性内科医師、小児科医師、助産師、看護師、心理士らにより作成した。
3.パネルディスカッションで9名の各分野の専門家のよるパネラーで議論を行い、日本での「プレコンセプションケア」を「前思春期から生殖可能年齢にあるすべての人々の身体的、心理的および社会的な健康の保持および増進」と定義し、「現在から将来にわたる自らの健康のみならず次世代の健康の保持及び増進を図り、国民全体の健康を向上すること」を目標とすることが提案された。
4.保健・医療・教育機関・産業等における女性の包括的健康支援体制のガイドライン骨子
して、①本ガイドラインの必要性、②本ガイドラインの作成の背景、③各ライフステージ毎の女性の包括系健康支援、④保健・医療・教育機関・産業等における女性の包括的健康支援と各分野の連携の方法(計画・実践・指標と評価・改善)、⑤有効な行動変容を引き起こす支援法、⑥女性の包括的健康支援テキストブック、リーフレットの利用、⑦健康支援の実施例、⑧国際標準の包括的な性と生殖に関する教育ガイダンスをとりいれた小児から思春期の子どもたちを対象とした健康教育の実際、⑨今後の課題、⑩参考資料が提案された。
5.2000名を対象としたウェブ調査の因子分析の結果、6因子・25項目からなる行動尺度と13項目からなる知識尺度を完成させた。また、25項目の行動尺度から、17項目の短縮版を作成せ、実用的なプレコンセプションケア・ヘルスリテラシー尺度を作成した。
2.性教育に関する国際ガイダンスと比較し、文部科学省学習指導要領における日本の女性のための健康教育は国際基準より開始時期および内容ともに大きく遅れをとっていることが明らかになった。また、レベル1(5~8歳)の教材を、同ガイダンスに即した内容で母性内科医師、小児科医師、助産師、看護師、心理士らにより作成した。
3.パネルディスカッションで9名の各分野の専門家のよるパネラーで議論を行い、日本での「プレコンセプションケア」を「前思春期から生殖可能年齢にあるすべての人々の身体的、心理的および社会的な健康の保持および増進」と定義し、「現在から将来にわたる自らの健康のみならず次世代の健康の保持及び増進を図り、国民全体の健康を向上すること」を目標とすることが提案された。
4.保健・医療・教育機関・産業等における女性の包括的健康支援体制のガイドライン骨子
して、①本ガイドラインの必要性、②本ガイドラインの作成の背景、③各ライフステージ毎の女性の包括系健康支援、④保健・医療・教育機関・産業等における女性の包括的健康支援と各分野の連携の方法(計画・実践・指標と評価・改善)、⑤有効な行動変容を引き起こす支援法、⑥女性の包括的健康支援テキストブック、リーフレットの利用、⑦健康支援の実施例、⑧国際標準の包括的な性と生殖に関する教育ガイダンスをとりいれた小児から思春期の子どもたちを対象とした健康教育の実際、⑨今後の課題、⑩参考資料が提案された。
5.2000名を対象としたウェブ調査の因子分析の結果、6因子・25項目からなる行動尺度と13項目からなる知識尺度を完成させた。また、25項目の行動尺度から、17項目の短縮版を作成せ、実用的なプレコンセプションケア・ヘルスリテラシー尺度を作成した。
結論
包括的女性の健康支援教育プログラムおよび支援者用のテキストブック、支援対象者の教材のα版を作成し、同ガイドラインの骨子を明らかにした。最終年度には、同ガイドライン案を作成し、これらのプログラム、教材、ガイドラインを各種研修などで検証を行い、完成させる予定である。
公開日・更新日
公開日
2021-02-09
更新日
-