栄養素及び食品の適切な摂取のための行動変容につながる日本版栄養プロファイル策定に向けた基礎的研究

文献情報

文献番号
201909035A
報告書区分
総括
研究課題名
栄養素及び食品の適切な摂取のための行動変容につながる日本版栄養プロファイル策定に向けた基礎的研究
課題番号
19FA1019
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
石見 佳子(東京農業大学総合研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 多田 由紀(東京農業大学 応用生物科学部栄養科学科)
  • 瀧本 秀美(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部)
  • 吉崎 貴大(東洋大学 食環境科学部食環境科学科)
  • 横山 友里(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
4,623,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の健康・栄養施策の一つに厚生労働省が実施している「健康日本21(第二次)」がある。このような健康・栄養政策のもと、人びとが健康な食生活を営むためには、適切な食品の選択が求められる。我が国には、消費者が適切な食品の選択ができるよう栄養表示制度が定められているが、諸外国ではこれに加えて、食品の栄養価を総合的に判断することができるよう、その栄養価に応じてランク付けする「栄養プロファイル(NP)」が活用されている。
世界保健機関(WHO)は、栄養プロファイルの定義を「疾病予防及び健康増進のために、栄養成分に応じて、食品を区分またはランク付けする科学」としている。一方、我が国においては、このような「栄養プロファイル」が策定されていない。そこで本研究では、日本版栄養プロファイルの試案の作成に向けた情報収集、課題整理、試案の作成を行うことを目的とした。
研究方法
令和元年度は、栄養プロファイルの策定状況及び活用方法について国際的な調査研究を行うとともに、日本の公衆栄養の状況について国民健康・栄養調査を基に把握した。
栄養プロファイルの調査研究では、第41回コーデックス栄養・特殊食品用途部会の議題「NPモデル策定のための一般ガイドラインの策定」で共有された既存のNPモデルの一覧表(97件)を用いた。本調査の対象モデルの抽出にあたり、開発主体が政府系組織であることを採択条件とした。そのうち栄養プロファイルの開発・活用の主目的が「ヘルスクレイムに対する制約」「食品あるいは商品の包装前面の表示(Front-of-Pack Nutrition Labelling、以下FOPNL)」「食品あるいは商品の広告規制」である栄養プロファイルモデルに絞って調査した。調査項目は、モデル名、国、発表年、対象集団、目的、モデルタイプ(カテゴリーまたはスコアリング)、対象栄養素・食品群、食品カテゴリー数、参照単位、モデルの活用方法とした。抽出された22件の諸外国における栄養プロファイルのフィージビリティスタディの検索には、米国国立医学図書館が提供する文献データベース(PubMed)を使用した。
日本人の食事摂取状況の調査では、食事摂取基準において目標値が示された栄養素摂取量に対し、食品の寄与率を算出した。既に公表されている平成28年国民健康・栄養調査報告書より、第9表の2を参照した。栄養素摂取量は、脂質、飽和脂肪酸、食物繊維、食塩相当量を対象に、国民健康・栄養調査食品群別表に基づき、大分類および中分類の食品の寄与率を求めた。また、次年度の計画として、食塩摂取源分析の方法を検討した。
結果と考察
コーデックス委員会第41回栄養・特殊用途食品部会(CCNFSDU;2019年11月;デュッセルドルフ)に参加し、栄養プロファイルに関する国際的な情報収集を行なった。議題の「NPモデル策定のための一般ガイドラインの策定」で整理された既存のモデル(97件)から、本研究の目的に即した対象モデル22件を抽出した。22件の栄養プロファイルの目的は、FOPNLを目的としたモデル(11件)、子供を対象とした広告規制を目的としたモデル(6件)、ヘルスクレイムに対する制約(5件)であった。対象栄養素のうち、制限栄養素の上位項目は、飽和脂肪酸、ナトリウムまたは食塩、糖類、脂質あるいはコレステロールであった。
さらに、諸外国における栄養プロファイルモデルの活用に関する研究について調査を実施した。諸外国におけるFOPNLでは、検証のための研究デザインを組んで参加者を募集する形式で研究が行われていたものの、ヘルスクレイムの制約を目的としたモデルでは、既存の食事調査データを用いてスコアを算出するなど参加者募集を伴わないデザインの研究が多くみられた。我が国における機能性表示食品制度や健康食品に関する消費者の認知等においても、フォーカス・グループ・インタビューならびに大規模な定量的検証が行われていた。
日本の公衆栄養に係る状況調査では、既に公表されている平成28年国民健康・栄養調査結果を用いて、食事摂取基準において目標値が示された脂質、飽和脂肪酸、食塩相当量、食物繊維に対する食品の寄与率を求めた。特に、食塩相当量は約7割が調味料からの摂取であったことが特徴的であった。今後は、これらの調査結果を基に、日本版栄養プロファイルの試案を作成する。
結論
コーデックス栄養・特殊用途食品部会での議論のとりまとめ、各国の栄養プロファイルの調査を行い、基礎資料を得たこと、また、国民健康・栄養調査の結果を活用し、日本人の栄養素摂取量の実態を把握したことは、日本版栄養プロファイルの試案の作成及び活用資料を作成する上での基盤となった。

公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-02-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201909035Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,500,000円
(2)補助金確定額
5,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,793,696円
人件費・謝金 791,733円
旅費 528,889円
その他 971,784円
間接経費 877,000円
合計 4,963,102円

備考

備考
研究分担者(瀧本秀美先生)の人件費が、雇い入れできず、執行されなかったため。

公開日・更新日

公開日
2023-06-22
更新日
-