文献情報
文献番号
201906007A
報告書区分
総括
研究課題名
2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等に向けた包括的なCBRNEテロ対応能力構築のための研究
課題番号
19CA2007
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構災害医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
- 富永 隆子(量子科学技術研究開発機構 量子医学・医療部門・高度被ばく医療センター)
- 水谷 太郎(茨城県西部医療機構)
- 齋藤 智也(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
- 阿南 英明(藤沢市民病院)
- 本間 正人(国立大学法人鳥取大学 救急災害医学)
- 高橋 礼子(愛知医科大学 災害医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
7,752,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、シミュレーションを用いた国家備蓄の最適化、有事の際に活用する医療従事者向けアウトリーチツールの開発と検証、包括的な行政対応の検証を行い、本邦における公衆衛生・医療分野の包括的かつ実践的なCBRNEテロ対応能力の向上を図ることを目的とする。
研究方法
下記参照
結果と考察
・シミュレーションモデルに基づいた化学テロ対応医薬品国家備蓄の最適化に関する研究
2020年オリンピック・パラリンピック東京大会(以下、オリパラ)期間中やその前後ではCBRNEテロの発生に備えて、オリパラ特有の状況を踏まえた備えと対応が必要となる。本研究ではテロ対応のシミュレーションモデルを構築し、テロ発生時における傷病者に対して十分に医療を届けることが出来るよう、医療品備蓄の配置や総量の最適化を行う。具体的には、エージェントベースのアプローチでシミュレーションを行い、人のいる場所や傷病の割合などを変更して検証する。シミュレーションを通じて複数の備蓄シナリオを評価することを可能にした。
・CBRNEテロ発生時の傷病者対応アウトリーチツール作成に関する研究
1)放射線・核物質テロ対応
CBRNEテロ傷病者の診断・治療に関する情報に対し、一般医療従事者が迅速かつ簡便にアクセス可能となるように、医療者向けのガイダンスを検索・閲覧出来るアウトリーチツールを作成した。
2)生物テロ対応
生物テロ対応は発生機会が非常に稀な事象であり、その知見を維持することは広く関係者に日常から維持することは困難である。そのため、素早く必要な情報提供を行うことができるアウトリーチツールの存在が不可欠である。本研究では生物テロに関して、発生時に求められる必要な知見と既存のコンテンツを検討し、アウトリーチツールのコンテンツの構成案を作成した。
3)化学テロ対応
第4世代神経剤(FGA)に関し、物性、中毒時の病態、治療方針等を中心に、現時点における適切な方略および手法を検討した。FGA中毒は他の神経剤と比べ、物性、発症様式等に相違があり、患者は長期に及ぶ薬物治療と集中的な支持療法を必要とする可能性があるので、多数傷病者が発生した場合、地域の医療現場に重大な負荷を与える可能性がある。
4)爆弾テロ対応
CBRNEテロ傷病者の診断・治療に関する情報に対し、医療者向けのガイダンスを検索・閲覧出来るアウトリーチツールを作成するため、銃創・爆傷テロ対応のコンテンツとして、医療機関での治療に関する手順およびマニュアルを作成した。作成にあたっては、銃創・爆傷テロ等の分野における文献・既存資料等の収集・精査等を行った。
5)総合調整およびツールの利便性評価
有事の際に一般医療従事者が迅速かつ簡便にテロ傷病者の診断・治療を行うことが出来るよう、先行研究で蓄積された医療者向けのCBRNEテロ対応の各種資料を収集・整理し、CBRNEテロ発生時の傷病者対応アウトリーチツールを作成した。今後は、一般医療従事者に向けた本ツールの周知やコンテンツの更なる拡充・改訂を図る。
・CBRNEテロ発生時の多数傷病者対応に関する研究
1)病院前対応
前年度の成果として「化学テロ等発生時の多数傷病者対応(病院前)活動に関する提言~被害者の救命率の向上と対応者の安全確保の両立を目指して~」を策定した。これを受けて化学テロに限らず、CBRNE災害全般に汎用性のある対応の改変を病院前及び病院対応に関して実施した。さらに、現場で早期の医療介入実現のために神経剤解毒剤自動注射器を消防職員、警察官、海上保安官、自衛隊員が使用できる教育研修を構築した。
2)病院対応
「一般医療機関における化学テロ対応標準初動マニュアル」を作成した。配慮した点として①対象となる化学剤に関する最低限の知識をCHEMMで呈示されているような最低限の内容を盛り込んだこと②基本的な考え方をポイントとして明示し、さらにチェックリストとして盛り込んだこと③基本的な手順やポイントを呈示し、施設毎の都合に応じて対応可能なこと④災害の早期認識、患者の早期脱衣と汚染の可能性のある衣服・靴・持ち物等のビニール袋での被包が重要であることを強調した。
・CBRNEテロ発生時の包括的行政対応に関する研究
本研究では、厚生労働省が発出したCBRNEテロ対策関連の通知・事務連絡等を中心に収集・整理・分析を行い、CBRNテロに対する行政対応に関する包括的文書の作成及び行政対応の課題点の整理を行った上で、机上演習シナリオ(案)を作成した。今後は抽出課題の解決に向け、関係者間での課題検討を行うと共に、新型コロナウイルス感染症対応での新規行政文書による応用対応についても検討する必要がある。
2020年オリンピック・パラリンピック東京大会(以下、オリパラ)期間中やその前後ではCBRNEテロの発生に備えて、オリパラ特有の状況を踏まえた備えと対応が必要となる。本研究ではテロ対応のシミュレーションモデルを構築し、テロ発生時における傷病者に対して十分に医療を届けることが出来るよう、医療品備蓄の配置や総量の最適化を行う。具体的には、エージェントベースのアプローチでシミュレーションを行い、人のいる場所や傷病の割合などを変更して検証する。シミュレーションを通じて複数の備蓄シナリオを評価することを可能にした。
・CBRNEテロ発生時の傷病者対応アウトリーチツール作成に関する研究
1)放射線・核物質テロ対応
CBRNEテロ傷病者の診断・治療に関する情報に対し、一般医療従事者が迅速かつ簡便にアクセス可能となるように、医療者向けのガイダンスを検索・閲覧出来るアウトリーチツールを作成した。
2)生物テロ対応
生物テロ対応は発生機会が非常に稀な事象であり、その知見を維持することは広く関係者に日常から維持することは困難である。そのため、素早く必要な情報提供を行うことができるアウトリーチツールの存在が不可欠である。本研究では生物テロに関して、発生時に求められる必要な知見と既存のコンテンツを検討し、アウトリーチツールのコンテンツの構成案を作成した。
3)化学テロ対応
第4世代神経剤(FGA)に関し、物性、中毒時の病態、治療方針等を中心に、現時点における適切な方略および手法を検討した。FGA中毒は他の神経剤と比べ、物性、発症様式等に相違があり、患者は長期に及ぶ薬物治療と集中的な支持療法を必要とする可能性があるので、多数傷病者が発生した場合、地域の医療現場に重大な負荷を与える可能性がある。
4)爆弾テロ対応
CBRNEテロ傷病者の診断・治療に関する情報に対し、医療者向けのガイダンスを検索・閲覧出来るアウトリーチツールを作成するため、銃創・爆傷テロ対応のコンテンツとして、医療機関での治療に関する手順およびマニュアルを作成した。作成にあたっては、銃創・爆傷テロ等の分野における文献・既存資料等の収集・精査等を行った。
5)総合調整およびツールの利便性評価
有事の際に一般医療従事者が迅速かつ簡便にテロ傷病者の診断・治療を行うことが出来るよう、先行研究で蓄積された医療者向けのCBRNEテロ対応の各種資料を収集・整理し、CBRNEテロ発生時の傷病者対応アウトリーチツールを作成した。今後は、一般医療従事者に向けた本ツールの周知やコンテンツの更なる拡充・改訂を図る。
・CBRNEテロ発生時の多数傷病者対応に関する研究
1)病院前対応
前年度の成果として「化学テロ等発生時の多数傷病者対応(病院前)活動に関する提言~被害者の救命率の向上と対応者の安全確保の両立を目指して~」を策定した。これを受けて化学テロに限らず、CBRNE災害全般に汎用性のある対応の改変を病院前及び病院対応に関して実施した。さらに、現場で早期の医療介入実現のために神経剤解毒剤自動注射器を消防職員、警察官、海上保安官、自衛隊員が使用できる教育研修を構築した。
2)病院対応
「一般医療機関における化学テロ対応標準初動マニュアル」を作成した。配慮した点として①対象となる化学剤に関する最低限の知識をCHEMMで呈示されているような最低限の内容を盛り込んだこと②基本的な考え方をポイントとして明示し、さらにチェックリストとして盛り込んだこと③基本的な手順やポイントを呈示し、施設毎の都合に応じて対応可能なこと④災害の早期認識、患者の早期脱衣と汚染の可能性のある衣服・靴・持ち物等のビニール袋での被包が重要であることを強調した。
・CBRNEテロ発生時の包括的行政対応に関する研究
本研究では、厚生労働省が発出したCBRNEテロ対策関連の通知・事務連絡等を中心に収集・整理・分析を行い、CBRNテロに対する行政対応に関する包括的文書の作成及び行政対応の課題点の整理を行った上で、机上演習シナリオ(案)を作成した。今後は抽出課題の解決に向け、関係者間での課題検討を行うと共に、新型コロナウイルス感染症対応での新規行政文書による応用対応についても検討する必要がある。
結論
上記参照
公開日・更新日
公開日
2020-10-08
更新日
-