高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施推進のための後期高齢者の質問票活用に向けた研究

文献情報

文献番号
201906004A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施推進のための後期高齢者の質問票活用に向けた研究
課題番号
19CA2004
研究年度
令和1(2019)年度
研究代表者(所属機関)
津下 一代(公益財団法人 愛知県健康づくり振興事業団 あいち健康の森健康科学総合センター)
研究分担者(所属機関)
  • 飯島 勝矢(国立大学法人 東京大学高齢社会総合研究機構)
  • 石崎 達郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター)
  • 岡村 智教(慶応義塾大学医学部)
  • 鈴木 隆雄(桜美林大学 老年学総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
5,846,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
後期高齢者に対する保健事業を効果的・効率的に実施するためには、高齢者のニーズを捉え、健康状態を適切に把握することが求められる。本研究の目的は、厚生労働省が作成した「後期高齢者の質問票」のフィージビリティ調査、信頼性・妥当性の検証、「解説と留意事項」を作成することである。
研究方法
1)質問票の10類型、15項目それぞれについてガイドラインおよび重要文献等を精査、活用に役立つ情報を整理する。2)活用可能性等の検討:通いの場、健診、郵送での回答状況と結果を分析する。3)信頼性・妥当性の検証:本質問票の回答と確立したフレイルチェックや体力、認知機能の関連を調べる。本質問票の因子構造を分析する。4)以上をもとに質問票の「解説と留意事項」を作成する。
結果と考察
1)10類型について31本の文献レビュー、ガイドラインを整理、「解説と留意事項」に提示した。
2)活用可能性等の検討:回答時間は117.2±59.2秒で回答に迷った質問は少なかった。
3)信頼性・妥当性の検証:本質問項目のうち「問題あり」重複数は中央値(四分位範囲)2.0(1.0-3.0)であり、重複数と握力や口腔関連QOLと負の相関がみられた。重複数が3個以上の場合にフレイルチェック総合赤信号数8個以上に対して感度87.5%、特異度72.5%で判別可能であった。自覚的な歩行速度の低下、日常生活における身体活動レベルの低下、20歳時に比べた大幅な体重の増加、不規則な食生活などが、TUG結果が遅いこと、握力低下、MoCA-J得点が低いといったリスクが高くなる傾向が認められた。多変量ロジスティック回帰分析で客観的体力指標との関連を分析すると、握力や歩行速度低下と有意に関連していた項目が検出された。歩行速度低下の予測能はROC曲線下面積0.743(P<0.001)。622人の回答について、因子構造と構成概念妥当性の検討をおこなったところ適合度が十分なモデルが構築できた。15項目のクロンバックのα係数は0.546であった。
4)以上の研究をもとに、①質問票の役割、②質問票の構成、③質問票を用いた健康状態の評価、④質問票の活用場面について、⑤質問票を活用した面談、⑥各項目の解説・ポイント、⑦質問票、KDBを活用した保健事業対象者抽出の参考例、⑧参考事例(活用場面、面談事例)の各項からなる「解説と留意事項」を作成した。
結論
本質問票は後期高齢者の健康特性に配慮し、「基本チェックリスト」の優れた点も生かした、現時点におけるエビデンスに基づく質問票であり、通いの場や健診の機会、郵送においても負担なく実施できた。回答は既存のフレイル指標や体力との関連がみられ、保健事業の対象者選定等の目的に活用できると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2024-05-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-05-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201906004C

収支報告書

文献番号
201906004Z