文献情報
文献番号
201826006A
報告書区分
総括
研究課題名
広域大規模災害時における地域保健支援・受援体制構築に関する研究
課題番号
H29-健危-一般-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
木脇 弘二(熊本県菊池保健所)
研究分担者(所属機関)
- 藤内 修二(大分県福祉保健部)
- 田上 豊資(高知県中央東福祉保健所)
- 宇田 英典(鹿児島県伊集院保健所)
- 山中 朋子(青森県弘前保健所)
- 角野 文彦(滋賀県健康医療福祉部)
- 劔 陽子(熊本県御船保健所)
- 服部 希世子(熊本県天草保健所)
- 山田 全啓(奈良県中和保健所)
- 尾島 俊之(浜松医科大学)
- 永井 仁美(大阪府富田林保健所)
- 白井 千香(枚方市保健所)
- 松本 珠実(大阪市阿倍野区保健福祉センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
7,412,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
昨年度は、災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)制度化に必要な応援調整の仕組み、フェーズ毎の業務具体化、保健所設置市課題の整理等について取り組み、成果を反映したDHEAT活動要領が平成30年3月厚労省から発出された。平成30年度は、DHEAT稼働に資することを目的に、医療救護調整支援や避難所の保健衛生対策等フェーズ毎の支援と受援の各論強化、実務的なマネジメント各論を示すこと、IT化を想定したDHEAT等の調整システム整理、受援体制整備のためのガイドライン作成、被災市町村業務を自己点検する簡易チェックシート作成等に取り組む。また、組織横断的な情報伝達ライン図の充実や情報の共有等のための作業を行う。さらに、都道府県と保健所設置市の関係を整理し、連携においてDHEATにおける役割を明らかにする。
研究方法
昨年度と同じく、研究班を4つの班内班に分け1)派遣調整、2)支援・受援業務、3)情報共有・情報処理、4)保健所設置市課題のテーマで分担した。成果物を厚労省、都道府県等、保健所における行政政策として活用することを念頭に、全国衛生部長会標準化委員会委員長と全国保健所長会長が研究代表者を補佐する体制とし各グループが連携し進めた。
結果と考察
1) 派遣調整:応援調整において実働に使用できる各種様式を作成・整理、「保健衛生職員応援調整マニュアル(案)」としてまとめた。対になる「保健衛生職員受援マニュアル(案)」を、内閣府の「地方公共団体のための災害時受援体制に関するガイドライン」も参考に提案した。ICT化について、基盤となるプラットフォームの構築に至っていないため紙ベースでの運用となるが、プラットフォームが構築されれば、その上でファイルとして共有できるものである。
2) 支援・受援業務:i)「DHEAT活動ハンドブック」はタイムラインとチェックリストを柱に、心構えや活動内容等を詳述、保健所設置市での活動の注意点や、地震以外の災害事例等も加えた。多様な支援チームの体制や災害時の活動について調査・整理し、掲載した。都道府県庁保健医療調整本部の役割について、熊本県庁健康福祉部関係課からヒアリングし内容を反映した。ii)「フェーズ毎の業務自己点検簡易チェックシート」は、「保健所における指揮調整業務」、「市町村における指揮調整業務」、「災害時保健医療対策-医療対策」、「〃-保健衛生対策」、「〃-生活環境衛生対策」、「広報・渉外業務」、「職員の安全確保・健康管理」の7項目で構成した。連携する関係機関等の情報やどのフェーズで行うのか等を一覧にまとめた。
3)情報共有・情報処理 i) 情報伝達ライン:業務別の実施・情報共有機関を整理、食料・水・燃料・感染症・食中毒・要配慮者支援・メンタルヘルス・愛玩動物・保健医療調整に係るライン図を作成・補完し「ハンドブック」に掲載した。ii) 避難所アセスメントシートをスマホ端末のカメラで撮影・送信、OCRによりデータベース化するツールを検討した。データベースから避難所をトリアージするシステムを検討した。一連の流れを、奈良県の防災訓練において試験運用し正確性や所要時間等を検証した。現場の負担軽減に有効な可能性が示されたが、一定のトレーニングが必要なこと等、課題も示された。
4)保健所設置市課題:保健所設置市へのアンケート調査では、6割超が都道府県保健医療調整本部と市保健所間で連携体制が「協議されている、または予定」と回答したが、確認した体制図からは、多くが初動の医療体制を主とするものであり、保健分野を含めた体制構築の検討がされている市が少ないという結果であった。今後の参考に、望ましいと考えられる体制図を作成した。保健所設置市-都道府県関係には、市単独で医療圏を形成する場合、都道府県型保健所と同一圏内にある場合等パターンが複数あり、それぞれ体制図を作成した。協議・確認しておくことが望ましい内容を併せて提案した。
2) 支援・受援業務:i)「DHEAT活動ハンドブック」はタイムラインとチェックリストを柱に、心構えや活動内容等を詳述、保健所設置市での活動の注意点や、地震以外の災害事例等も加えた。多様な支援チームの体制や災害時の活動について調査・整理し、掲載した。都道府県庁保健医療調整本部の役割について、熊本県庁健康福祉部関係課からヒアリングし内容を反映した。ii)「フェーズ毎の業務自己点検簡易チェックシート」は、「保健所における指揮調整業務」、「市町村における指揮調整業務」、「災害時保健医療対策-医療対策」、「〃-保健衛生対策」、「〃-生活環境衛生対策」、「広報・渉外業務」、「職員の安全確保・健康管理」の7項目で構成した。連携する関係機関等の情報やどのフェーズで行うのか等を一覧にまとめた。
3)情報共有・情報処理 i) 情報伝達ライン:業務別の実施・情報共有機関を整理、食料・水・燃料・感染症・食中毒・要配慮者支援・メンタルヘルス・愛玩動物・保健医療調整に係るライン図を作成・補完し「ハンドブック」に掲載した。ii) 避難所アセスメントシートをスマホ端末のカメラで撮影・送信、OCRによりデータベース化するツールを検討した。データベースから避難所をトリアージするシステムを検討した。一連の流れを、奈良県の防災訓練において試験運用し正確性や所要時間等を検証した。現場の負担軽減に有効な可能性が示されたが、一定のトレーニングが必要なこと等、課題も示された。
4)保健所設置市課題:保健所設置市へのアンケート調査では、6割超が都道府県保健医療調整本部と市保健所間で連携体制が「協議されている、または予定」と回答したが、確認した体制図からは、多くが初動の医療体制を主とするものであり、保健分野を含めた体制構築の検討がされている市が少ないという結果であった。今後の参考に、望ましいと考えられる体制図を作成した。保健所設置市-都道府県関係には、市単独で医療圏を形成する場合、都道府県型保健所と同一圏内にある場合等パターンが複数あり、それぞれ体制図を作成した。協議・確認しておくことが望ましい内容を併せて提案した。
結論
初のDHEAT出動となった平成30年7月豪雨では、帳票やタイムライン等を全国保健所長会の活動を介し提供、使用され意見等を得た。出動により課題も明確となった。平成31年3月「DHEAT活動ハンドブック」を製本、全国の保健所、都道府県等に配布、全国保健所長会ホームページ等にも掲載し活用できる状態とした。今後「保健衛生職員応援調整マニュアル(案)」「保健衛生職員受援マニュアル(案)」も、様式等の確認後、全国保健所長会ホームページ等に掲載する。DHEAT稼働に資することを目的に作成した成果物は、各自治体の保健医療部局が取り組む体制整備にも役立つものであり、支援・受援の体制構築に寄与することが期待できる。
公開日・更新日
公開日
2019-09-02
更新日
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