管理的立場にある市町村の保健師の人材育成に関する研究

文献情報

文献番号
201826005A
報告書区分
総括
研究課題名
管理的立場にある市町村の保健師の人材育成に関する研究
課題番号
H29-健危-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
成木 弘子(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉岡 京子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 丸谷 美紀(国立保健医療科学院 統括研究官)
  • 永吉 真子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 高橋 秀人(国立保健医療科学院 統括研究官)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
3,967,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「市町村の管理的立場にある保健師(以下、市町村管理保健師)」の研修機会の確保は、地域保健活動推進上、喫緊の課題であるが、研修は十分に実施されていない。都道府県が市町村管理保健師の能力強化を推進するために、各都道府県が市町村保健師管理者人材育成研修を主体的に実施できる体制整備と方法論の確立が急務である。そこで本研究では、管理的立場にある市町村保健師の人材育成の推進をめざし「都道府県のための『町村保健師管理者人材育成研修』ガイドライン(以下、本ガイドライン)」を開発し、全国47都道府県の保健師研修担当部署等へ配布し普及することを目的とした。
研究方法
平成30年度は平成29年度に開発した「本ガイドライン(試作)」を5つの県で用いてのモデル研修の開催を支援しながら7つの分担研究に取り組み本ガイドライン(試作)を評価した。7つの分担研究は「研究1.市町村保健師管理者能力育成研修ガイドラインの課題の検討」「研究2.市町村保健師管理者能力育成研修演習プログラムおよびファシリテーター用手引きの開発」「研究3.市町村管理者能力育成に関する研修プログラム研修プログラムの開発」「研究4.市町村保健師管理者能力育成 研修の評価ツールの開発」「研究5.モデル県での研修効果の推定および全国への汎用性に関する研究」「研究6.研修のアウトカム評価尺度の開発」「研究7.県による市町村管理期保健師研修の実調査と実施体制モデルの構築」である。
結果と考察
研究1:本研修の企画運営者16名へガイドラインに関するアンケート調査やヒアリングの結果、ガイドラインの構成や内容および資料に関する38項目の全てにおい非常に高い評価結果であった。改善点として「第Ⅰ章~第3章の内容:分かりやすい解説、適切な評価水準の設定など」であった。研究2:演習Ⅰ・Ⅱは参加者の知識と技術の向上に寄与しており、手引きと心得も円滑な演習の運営に役立っていることが明らかとなった。「手引き」と「心得」の改善点として「受講生向けに、プレゼンをもっと意識できるような内容を書いてほしい」といった意見などがあり、これらを踏まえた完成版演習プログラムを作成した。また、これらの内容を反映した手引きと心得を完成させた。研究3:研究1と同様の者に対してモデル研修プログラムに関するアンケートとヒアリングを行った結果、両者ともに高い評価結果であった。改善点として「グループワークⅠとグループワークⅡの時間配分」などがあげられた。研究4:受講者の研修前・終了時・2か月の能力評価結果を元に分析ツールを開発し、ガイドラインと共に全国47都道府県に配布した。研究5:研究4と同様の調査結果を分析した結果、研修の効果を確認するとともに全国に敷衍できるものであると考えることができた。研究6:受講者計110人に対してSBOsとGIOの変化を測定した結果、研修前後での改善は、GIOの改善と中等度の相関が認められた。研修7:人材育成に関して先駆的に取り組んでいる5つの県における保健師人材育成担当部署職員に各県1回のヒアリング調査を実施した。その結果、今後ますます,人材育成体制の充実・強化が求められ,それには,都道府県と市町村との連携,教育機関,自治体組織間との連携,予算やマンパワーの確保が重要な要因であることが明らかになった。研究1~7の結果から、本ガイドライン(試作)の評価は高く大幅な修正は行わないで良いと考えられた。改善点としては、「分かりやすい解説、適切な評価水準の設定、調査票のコンパクト化など」であると考えられた。
 これらの研究の結果を踏まえて本ガイドラインを完成させ、全国の47都道府県における保健師研修担当部署および全国保健師長会など配布し普及を図った。令和元年度から本本研修は本ガイドラインを活用しながら各都道府県単位での開催が開始されたり、地域保健総合推進事業として全国5つの県で開催したりされることとなった。今後は、市町村保健師管理者の方々の人材育成が推進する為にこれらの取り組みを通して、本ガイドラインの有効性と改善点を探求し、ガイドラインのさらなる改善を重ねていくことが必要であえると考えられる。
結論
5つの県においての本ガイドライン(試作)を用いての本モデル研修の支援をしながら、本ガイドライン(試作)を多角的に評価した結果、高い評価を得ることができた。改善点を踏まえて本ガイドラインを完成し、全国47都道府県の保健師研修担当部署等へ配布し普及に努めた。令和元年度からは本ガイドラインを使っての本研修が、全国の都道府県で順次開催される。今後は、市町村保健師管理者の方々の人材育成が推進する為にこれらの取り組みを通して本ガイドラインの評価を重ねながら、本ガイドラインのさらなる改善を重ねていくことが必要であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2019-09-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-09-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201826005B
報告書区分
総合
研究課題名
管理的立場にある市町村の保健師の人材育成に関する研究
課題番号
H29-健危-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
成木 弘子(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉岡 京子 (国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 丸谷 美紀(国立保健医療科学院 統括研究官)
  • 永吉 真子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 佐伯 和子(北海道大学 大学院)
  • 高橋 秀人(国立保健医療科学院 統括研究官)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 奥田 博子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 森永 裕美子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 川崎 千恵(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 堀井 聡子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 大澤 絵里(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
【研究の目的】「市町村の管理的立場にある保健師(以下、市町村管理保健師)」の研修機会の確保は、地域保健活動推進上、喫緊の課題であるが、研修は十分に実施されていない。市町村保健師への研修実施は都道府県の役割とされており、各都道府県が市町村保健師管理者人材育成研修を主体的に実施できる体制整備と方法論の確立が急務である。そこで本研究では、管理的立場にある市町村保健師の人材育成の推進をめざし「都道府県のための『町村保健師管理者人材育成研修』ガイドライン(以下、本ガイドライン)」を開発し、全国47都道府県の保健師研修担当部署等へ配布し普及することを目的とした。
研究方法
【方法】平成29年度は、本ガイドライン(試作)開発に必要な様々な要素を分担研究として探求し、その結果を参考にして本ガイドライン(試作)開発した。平成30年度は平成29年度に開発したものを5つの県で用いてのモデル研修の開催を支援しながら7つの分担研究に取り組み本ガイドライン(試作)を評価した。分担研究は「研究1.市町村保健師管理者能力育成研修ガイドラインの課題の検討」「研究2.市町村保健師管理者能力育成研修演習プログラムおよびファシリテーター用手引きの開発」「研究3.市町村管理者能力育成に関する研修プログラム研修プログラムの開発」「研究4.市町村保健師管理者能力育成 研修の評価ツールの開発」「研究5.モデル県での研修効果の推定および全国への汎用性に関する研究」「研究6.研修のアウトカム評価尺度の開発」「研究7.県による市町村管理期保健師研修の実調査と実施体制モデルの構築」である。
結果と考察
【結果と考察】研究1:本研修の企画運営者16名へガイドラインに関するアンケート調査やヒアリングの結果、ガイドラインの構成や内容および資料に関する38項目の全てにおい非常に高い評価結果であった。改善点として「第Ⅰ章~第3章の内容:分かりやすい解説」であった。研究2:演習Ⅰ・Ⅱは参加者の知識と技術の向上に寄与しており、手引きと心得も円滑な演習の運営に役立っていることが明らかとなった。改善点として「受講生向けに、プレゼンをもっと意識できるような内容を書いてほしい」といった意見などがあり、これらを踏まえた「完成版演習プログラム」「手引き」「心得」を完成させた。研究3:研究1と同様の者に対してモデル研修プログラムに関するアンケートとヒアリングを行った結果、両者ともに高い評価結果であった。研究4:受講者の研修前・終了時・2か月の能力評価結果を元に分析ツールを開発し、ガイドラインと共に全国47都道府県に配布した。研究5:研究4と同様の調査結果を分析した結果、研修の効果を確認するとともに全国に敷衍できるものであると考えることができた。研究6:受講者計110人に対してSBOsとGIOの変化を測定した結果、研修前後での改善は、GIOの改善と中等度の相関が認められた。研修7:人材育成に関して先駆的に取り組んでいる5つの県における保健師人材育成担当部署職員に各県1回のヒアリング調査を実施した。その結果、今後ますます,人材育成体制の充実・強化が求められ,それには,都道府県と市町村との連携,教育機関,自治体組織間との連携,予算やマンパワーの確保が重要な要因であることが明らかになった。研究1~7の結果から、本ガイドライン(試作)の評価は高く大幅な修正は行わないで良いと考えられた。改善点としては、「分かりやすい解説、適切な評価水準の設定、調査票のコンパクト化など」であると考えられた。
 これらの研究の結果を踏まえて本ガイドラインを完成させ、全国の47都道府県における保健師研修担当部署および全国保健師長会など配布し普及を図った。令和元年度から本本研修は本ガイドラインを活用しながら各都道府県単位での開催が開始されたり、地域保健総合推進事業として全国5つの県で開催したりされることとなった。今後は、市町村保健師管理者の方々の人材育成が推進する為にこれらの取り組みを通して、本ガイドラインの有効性と改善点を探求し、ガイドラインのさらなる改善を重ねていくことが必要であえると考えられる。
結論
【結論】平成29年度に開発した本ガイドライン(試作)を平成30年度に5つの県において用いて、本モデル研修の支援をしながら、本ガイドライン(試作)を多角的に評価した結果、高い評価を得ることができた。改善点を踏まえて本ガイドラインを完成し、全国47都道府県の保健師研修担当部署等へ配布し普及に努めた。令和元年度からは本ガイドラインを使っての本研修が、全国の都道府県で順次開催される。今後は、市町村保健師管理者の方々の人材育成が推進する為にこれらの取り組みを通して本ガイドラインのさらなる改善を重ねていくことが必要であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2019-09-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2019-09-03
更新日
2019-12-04

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201826005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
・本ガイドラインの開発に伴って研修の受講効果を測定し、研修前と研修修了後2か月の時点では90%以上の評価項目で有意差が見いだされ、研修効果が確認された研修プログラムが開発されたと考えられる(研究修了時:2018年度)。
・研究終了後の2019年度は、地域保健総合推進事業の一環として全国5県で本ガイドラインに基づいて研修を開催し、研究終了年度と同様の効果を得ることができ、本研修プログラムの有効性が確認できた。
臨床的観点からの成果
・研修受講者への効果を測定することが目標の一つであり、それは上記とおり成果を確認できた。本研究は、狭義の臨床的観点は該当しない(2018年度、2019年度)。
ガイドライン等の開発
・本研修の成果物である「都道府県の為の『市町村保健師管理者能力育成研修』ガイドライン」を開発した(研究修了時:2018年度)。
・研究終了後の2019年度上記ガイドラインを加筆修正し、2019年度は全国の都道府県の担当部署へ送付し普及啓発に努めた。
その他行政的観点からの成果
・研究修了時:本研究で開発したガイドラインを活用して、2019年度から全国の都道府県が主体となって本研修の開催が開始される予定となった。
・研究終了後1年目の2019年度は、地域保健総合推進事業の一環として本ガイドラインを活用した研修を「福島県」など5つの県で開催し、101名が受講した。また、前年度まで、あるいは県独自でに2019年度も本ガイドラインに基づいて研修を開催した県は「山形県」など4つの県であった。本ガイドラインに基づく研修の開催と定着が確認できた。
その他のインパクト
・2019年5月6日付「週刊保健衛生ニュース」において本ガイドラインに関して4頁に渡って紹介された。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
・成木弘子:都道府県のための「市町村保健師管理者能力育成研修ガイドライン」の開発(保健師ジャーナル2019年3月)
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
・2018年度、2019年度の日本公衆衛生学会において本研究の結果を「県が主催した市町村保健師管理者能力育成モデル研修の効果」として発表した。
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
本研究で開発したガイドラインを用いて、2019年度から全国の都道府県において本研修の開催が開始された。
その他成果(普及・啓発活動)
1件
本研究で開発したガイドラインを全国47都道府県の研修担当者や関係機関など約160か所へ配布した。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2019-06-18
更新日
2020-06-10

収支報告書

文献番号
201826005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,967,000円
(2)補助金確定額
3,856,000円
差引額 [(1)-(2)]
111,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 205,799円
人件費・謝金 915,073円
旅費 811,222円
その他 1,924,130円
間接経費 0円
合計 3,856,224円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2020-05-18
更新日
-