保健サービスの効果測定等の評価に関する研究

文献情報

文献番号
199800713A
報告書区分
総括
研究課題名
保健サービスの効果測定等の評価に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
上村 隆元(慶応義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤千史(東京医科歯科大学医学部保健衛生学科)
  • 森口尚史((財)医療経済研究機構)
  • 大前和幸(慶応義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国でのQOL測定に関する基盤研究の一貫として、カナダマクマスター大学開発のHUI(Health Utilities Index)MarkⅢおよびHUIⅡⅢSU15Qの邦訳版を開発し、一般健康集団および疾病集団におけるフィールド調査を施行して判別妥当性(discriminative validity)、評価妥当性(evaluation validity),反応妥当性(responsiveness)の検証を行なう。集団健康調査環境を整備しわが国での医療政策上、費用効用分析に繋がる環境を整えることを目的とする。
研究方法
推奨される翻訳手順に従い文化適合させた質問票を開発する。地域一般健康 集団と疾病集団を対象に邦訳版のHUI質問票を用いて健康状態調査を行なう。同時に説明変数となる臨床指標を調査し効用値との相関を検討する。
結果と考察
3年計画の初年度として、疾病集団(大動脈疾患手術6ヶ月後の患者)425 症例(64.9±13.6歳、17~90歳、♂314名♀111名)に自己記入方式で邦訳HUI MarkⅢで調査を行なった。質問主旨の理解度は概ね良好だった。理解不能、重複回答などの無効票は全体の3.4%、内的整合性も高くVAS(visual analogue scale)-QOLとの相関はr2=0.76と高かった。ただし臨床的重篤度の指標とHUIカナダ版Tariffによる多属性効用値とは相関度は低く(r2=0.0019)臨床状態をゴールデンスタンダードとするならば判別妥当性と評価妥当性は低いと言わざるを得なかった。しかしこの乖離は対象疾患の場合、切迫する死の危険性の回避による主観的健康感の向上が寄与すると考えられ更に異なった疾患に於いて同様の検討を要すると思われた。Vision, Hearing, Speech, Ambulation, Dexterity, Emotion, Cognition, Painの各8領域ごとのシングルスコアでは年齢階級別で見ると十分な判別妥当性が得られた。
結論
マクマスター大学HUI(Health Utilities Index)MarkⅢ邦訳版を用いて測定した効用値は、大動脈疾病患者群では客観的臨床状態と乖離がみられた。しかしVAS(visual analogue scale)-QOLとは高い相関を示した。言語構成や寄与領域(Attributes)などの基本構造に問題は無いと考えられ、一般集団および他疾患群での調査結果を経て充分実用性が検証されるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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