文献情報
文献番号
201824019A
報告書区分
総括
研究課題名
「専ら医薬品」たる成分本質の判断のための調査・分析及びその判断基準・範囲の整備に関する研究
課題番号
H30-医薬-指定-005
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
袴塚 高志(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
- 合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所 )
- 丸山 卓郎(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
- 内山 奈穂子(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
- 大塚 英昭(安田女子大学 薬学部)
- 西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所)
- 小川 久美子(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
無承認無許可医薬品は,医薬品としての承認や許可がないにもかかわらず,医薬品としての目的性を持たせた製品であり,これらの流通により,適正な医療機会の喪失等,様々な健康被害が予想される為,医薬品医療機器等法により,その製造,販売,授与,広告が禁止されている.本研究は,専ら医薬品たる成分本質を適切に判断するための調査・分析を行い,また,量的概念を含む判断基準の社会実装を実現し,同時に,既存の例示リストの見直し・整備を行うことで,無承認無許可医薬品の流通を防止し,国民の健康と安全を確保する目的で行われる.
研究方法
「食薬区分の判断に関する検討」では,1) 名称,他名等,部位等,備考,2) 学名,基原植物和名等,生薬名,英名等,3) 医薬品としての使用実態,4) 毒性データ,5) アルカロイド,毒性タンパク,毒薬劇薬指定成分等の含有,等の調査項目について検討した.「カツアバ製品の含有成分について」では,カツアバ製品中のドラーゲンドルフ試液陽性成分について単離,同定を行った.「イチイ属植物由来植物製品の鑑別に関する研究」では,日本国内にて流通していた商品『紅豆杉』及び比較植物より主として横切片を作成し,光学顕微鏡下にて観察した.「リュウキュウガキの化学成分に関する研究」では,先島諸島で採集したリュウキュウガキの葉をMeOHで抽出し,含有化合物の単離構造決定を行った.「ハクシュウの成分研究」では,ハクシュウまたはイヨウイケマのMeOH抽出液を用い,TLCによる分析条件ついて検討した.「健康食品中から見出された新規 ED 治療薬類縁体の文献調査について」では,Google Scholar を用いて2017 年以降の報告を抽出した.「センナ茎およびハネセンナ含有健康食品におけるSennosideの定量分析」では,市販の日局センナ,ハネセンナ葉,センナ茎含有健康食品およびハネセンナ含有健康食品を検体とし,LC-MS にて分析した.「非医リストの見直しに関する研究」では,非医薬品リストの植物由来のリストについて,主に含有成分の種類とその毒性,市場流通実態,健康被害情報,食経験等を調べた.
結果と考察
我が国の専ら医薬品リストに例示される成分であるかどうか,依頼のあった成分本質について文献調査等を行い,パスチャカについては,男性ホルモン様作用が知られていることから医薬品の成分本質ワーキンググループでの議論が重要と考えられた.他方,ED治療薬類似化合物については専ら医薬品に指定すべき成分本質と判断されるべきと考察された.
カツアバ製品の有害性評価のため,1製品のアルカリ画分について成分分画を行い,クマリン誘導体の 1 つであるbraylinを単離した.
コウトウスギ(紅豆杉)は,組織形態学的手法を用いて商品の使用部位を特定し得ることが分かった.
リュウキュウガキについて,成分検討を行い,3種のカウレン誘導体といくつかのフラボンの配糖体を単離した.
ハクシュウ及びイヨウイケマの市場品を用いてTLC分析を行い,種々の分析条件で検討した結果,EtOAc/H2O/MeOH/酢酸(200:10:10:3)を展開溶媒とし,UV照射(254 nm)で検出することで比較的分離のよいデータが得られた.
健康食品中からの単離が報告されている新規 ED 治療薬類縁体について文献調査を行った結果,2017 年以降,日本,韓国,台湾,シンガポールの4カ国から,計 9 化合物が報告されており,その内訳は,7 化合物が sildenafil 誘導体,残り 2 化合物は, tadalafil誘導体であった.
センナ茎およびハネセンナ含有健康食品について定量分析を行った結果,前者においては全てのサンプルからSennosideが検出され,後者においては42製品中37製品からSennosideが検出された.また,ハネセンナ含有健康食品のうち4検体から1日あたりの摂取量が医療用医薬品の最低服用量で摂取される量を上回る量のSennosideが検出された.
食品衛生法改正に伴う指定成分制度の構築と連動して,非医リストの内容について調査検討し,専ら医薬品リストへの移行を考慮するべき品目を見出した.
カツアバ製品の有害性評価のため,1製品のアルカリ画分について成分分画を行い,クマリン誘導体の 1 つであるbraylinを単離した.
コウトウスギ(紅豆杉)は,組織形態学的手法を用いて商品の使用部位を特定し得ることが分かった.
リュウキュウガキについて,成分検討を行い,3種のカウレン誘導体といくつかのフラボンの配糖体を単離した.
ハクシュウ及びイヨウイケマの市場品を用いてTLC分析を行い,種々の分析条件で検討した結果,EtOAc/H2O/MeOH/酢酸(200:10:10:3)を展開溶媒とし,UV照射(254 nm)で検出することで比較的分離のよいデータが得られた.
健康食品中からの単離が報告されている新規 ED 治療薬類縁体について文献調査を行った結果,2017 年以降,日本,韓国,台湾,シンガポールの4カ国から,計 9 化合物が報告されており,その内訳は,7 化合物が sildenafil 誘導体,残り 2 化合物は, tadalafil誘導体であった.
センナ茎およびハネセンナ含有健康食品について定量分析を行った結果,前者においては全てのサンプルからSennosideが検出され,後者においては42製品中37製品からSennosideが検出された.また,ハネセンナ含有健康食品のうち4検体から1日あたりの摂取量が医療用医薬品の最低服用量で摂取される量を上回る量のSennosideが検出された.
食品衛生法改正に伴う指定成分制度の構築と連動して,非医リストの内容について調査検討し,専ら医薬品リストへの移行を考慮するべき品目を見出した.
結論
新規に「専ら医薬品」であるかどうか判断が求められた品目について,医薬食品局監視指導・麻薬対策課長が招集する「医薬品の成分本質に関するワーキンググループ」のための調査を遂行するとともに,既存の専ら医薬品リスト並びに,非医薬品リストの様々な項目について,同課の依頼に基づき検討を行った.
コウトウスギにおいて組織形態学的手法を用いた鑑別法,ハクシュウとイヨウイケマにおいてTLCによる判別法を構築した.
コウトウスギにおいて組織形態学的手法を用いた鑑別法,ハクシュウとイヨウイケマにおいてTLCによる判別法を構築した.
公開日・更新日
公開日
2019-06-27
更新日
-