文献情報
文献番号
201820002A
報告書区分
総括
研究課題名
職域等も含めた肝炎ウイルス検査受検率向上と陽性者の効率的なフォローアップシステムの開発・実用化に向けた研究
課題番号
H29-肝政-一般-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
是永 匡紹(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター 肝炎情報センター)
研究分担者(所属機関)
- 考藤 達哉(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター )
- 江口 有一郎 (佐賀大学医学部附属病院)
- 相崎 英樹 (国立感染症研究所 )
- 榎本 大 (大阪市立大学大学院医学研究科 )
- 立道 昌幸 (東海大学医学部)
- 柳澤 裕之 (東京慈恵会医科大学医学部)
- 持田 智 (埼玉医科大学 )
- 日浅 陽一(愛媛大学大学院医学系研究科)
- 池田 房雄(岡山大学病院 )
- 酒井 明人 (富山県立中央病院 )
- 高口 浩一(香川県立中央病院)
- 的野 智光(鳥取大学医学部附属病院 )
- 日高 勲(山口大学医学部附属病院)
- 坂口 孝作(福山市民病院)
- 井上 淳(東北大学病院)
- 末次 淳(岐阜大学医学部附属病院 )
- 島井 健一郎(千葉大学医学部附属病院 )
- 山下 智省 (下関医療センター )
- 横須賀 收(船橋中央病院 )
- 板倉 潤(武蔵野赤十字病院)
- 羽入 直方(公益財団法人結核予防会 )
- 井出 達也(久留米大学医学部)
- 吉岡 健太郎(藤田医科大学)
- 石上 雅敏(名古屋大学医学部附属病院 )
- 井上 貴子(名古屋市立大学大学院医学研究科)
- 永田 賢治(宮崎大学医学部附属病院)
- 小川 浩司 ( 北海道大学病院 )
- 佐藤 秀一 (島根大学医学部附属病院 )
- 島上 哲朗 (金沢大学附属病院)
- 井上 泰輔(山梨大学大学院総合研究部 )
- 米田 政志(愛知医科大学医学部 )
- 上野 義之(山形大学医学部)
- 松本 晶博 (信州大学医学部附属病院 )
- 斉藤 聡(横浜市立大学)
- 近藤 泰輝(仙台厚生病院)
- 本田 浩一(大分大学)
- 玄田 拓哉(順天堂大学医学部附属静岡病院)
- 小林 良正(浜松医科大学)
- 寺井 崇二(新潟大学大学院)
- 柿崎 暁(群馬大学大学院)
- 廣田 健一(札幌医科大学附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
40,480,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交替
〇結核予防会
竹下隆夫(平成30年4月1日~平成30年12月25日)→羽入直方(平成30年12月26日以降)
〇山梨大学
坂本 穣(平成30年4月1日~平成30年8月13日)→井上泰輔(平成30年8月14日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
肝炎ウイルスはわが国の国民病と位置づけされながら、半数は肝炎検査を未受検のために自身が感染していることを知らず,また陽性と診断されながら継続受診をしない患者も多く存在する。ウイルス治療が経口剤で可能になった今、受検・受診・受療/継続受診(=フォローアップ)より推進していく必要があり、簡便でかつ検査医療機関、自治体、保険者の状況にあわせたフォローアップシステム(Fs)の確立が必要である。平成26年度から3年間「効率的な肝炎ウイルス検査陽性者Fsの構築のための研究」班で様々な取り組みを行い、受検・受診率は上昇することが明らかになった一方で、 Fsに同意しながらも調査に回答しない陽性者が50%以上存在する、効果的なリーフレットでも受療率上昇は10~15%程度、電子カルテアラート受検勧奨に反応しない医師が20~40%存在する、健診機関のfollow upでは不十分等が問題点として抽出され、その対策を立案し介入し、効果検証をすることを目的とする。
研究方法
(1) 職域肝炎ウイルス検査受検率向上と陽性者Fsの開発
(2) 院内非専門医からの陽性者Fsの拡充や問題点の解決
(3) 院外非専門医から陽性者紹介に関わる問題点の抽出とFsの開発
(4) 自治体が行う肝炎ウイルス検診・検査陽性者Fsの実態と問題点の抽出・改善
(5) 肝疾患連携拠点病院における仕事と治療の両立支援モデルの確立
→上記5つの課題に対して問題点の抽出から介入案を立案し社会実証による成功事例を、肝炎情報センターが有する肝疾患連携拠点病院ネットワークを利用することで、自治体・病院・健診機関・保険者に対してマニュアル等を作成し、それぞれの事情に対応した汎用性の高いFsの実用化を目指す。
(2) 院内非専門医からの陽性者Fsの拡充や問題点の解決
(3) 院外非専門医から陽性者紹介に関わる問題点の抽出とFsの開発
(4) 自治体が行う肝炎ウイルス検診・検査陽性者Fsの実態と問題点の抽出・改善
(5) 肝疾患連携拠点病院における仕事と治療の両立支援モデルの確立
→上記5つの課題に対して問題点の抽出から介入案を立案し社会実証による成功事例を、肝炎情報センターが有する肝疾患連携拠点病院ネットワークを利用することで、自治体・病院・健診機関・保険者に対してマニュアル等を作成し、それぞれの事情に対応した汎用性の高いFsの実用化を目指す。
結果と考察
(1) 協会けんぽF支部で612円の自己負担で肝炎ウイルス検査可能なことを一目でわかる受検勧奨ちらし健診受検者に配布するだけで、10倍に受検数が増加、一部の健診施設で無料にすると更に30倍増加し、他4支部で同様な取り組み行い2~10倍受検率が向上した。また保険者の保健師がレセプトで受診確認を行い、非受診者に受診勧奨を行うことこでB型肝炎で50%、C型肝炎で67%が受診確認が可能となっただけでなく、肝がんが3例存在した。
(2) 拠点病院においても非専門医、特に内科以外における肝炎最新知識の認知度が低いことが判明した。院内医療安全講習会で肝炎ウイルスに対する説明を実施し紹介数が増加した。その一方でHCV抗体陽性者のウイルス陰性率の上昇、高齢化に伴う他疾患の合併により必ずしても受療率は低いことも明らかになった。
(3) 院外非専門医が紹介を躊躇する理由として、非専門医情報不足、簡便な紹介状が抽出され、簡便ば紹介状を用いることで紹介数が1.6倍と上昇し各施設で利用されつつある。
(4) 多くの地域で陽性者フォローアップ事業を開始しているが、その同意の取得時期・方法が自治体によって異なり同意率に著しく差を認めた。事業方法の均てん化が必要である一方で、さいたま市、堺市といった人口・陽性者の多い政令市でも、研究班のFsを取り入れ成功している地域も明らかにあった。今後のFs参加者数増加に対する対応が必要である。
(5) 4つの拠点病院で先行的に、産業保健総合支援センター・労働局・労災病院の連携を開始した。肝疾患相談支援センターの相談業務を、他疾患に広げている可能性が考えられた。
(2) 拠点病院においても非専門医、特に内科以外における肝炎最新知識の認知度が低いことが判明した。院内医療安全講習会で肝炎ウイルスに対する説明を実施し紹介数が増加した。その一方でHCV抗体陽性者のウイルス陰性率の上昇、高齢化に伴う他疾患の合併により必ずしても受療率は低いことも明らかになった。
(3) 院外非専門医が紹介を躊躇する理由として、非専門医情報不足、簡便な紹介状が抽出され、簡便ば紹介状を用いることで紹介数が1.6倍と上昇し各施設で利用されつつある。
(4) 多くの地域で陽性者フォローアップ事業を開始しているが、その同意の取得時期・方法が自治体によって異なり同意率に著しく差を認めた。事業方法の均てん化が必要である一方で、さいたま市、堺市といった人口・陽性者の多い政令市でも、研究班のFsを取り入れ成功している地域も明らかにあった。今後のFs参加者数増加に対する対応が必要である。
(5) 4つの拠点病院で先行的に、産業保健総合支援センター・労働局・労災病院の連携を開始した。肝疾患相談支援センターの相談業務を、他疾患に広げている可能性が考えられた。
結論
1) 来年度は更に5支部(10支部)で水平展開を開始する。更にレセプトから専門医受検確認を行い、再勧奨を行うことで50%以上が受診することが明らかになった。
(2)(3)治療の進歩により、肝炎ウイルス治療は入院で行われず、最新知識が欠如している可能性もあり、医療安全研修会等で周知徹底、更なる専門医情報・結果説明を喚起するリーフレット作成し、その受診率向上を認めるも、他学会との連携も必要である。
(4) 同意書、結果説明、紹介先が同時に記入可能な問診票を作成することで同意数を増加させ、follow up数を増加させること重要である。同意者数増加に対するシステム開発を行う必要がある。
(5) 両立支援が可能な相談支援体制の充実化を行い、誰もが仕事に対する相談出来る体制を構築する。
(2)(3)治療の進歩により、肝炎ウイルス治療は入院で行われず、最新知識が欠如している可能性もあり、医療安全研修会等で周知徹底、更なる専門医情報・結果説明を喚起するリーフレット作成し、その受診率向上を認めるも、他学会との連携も必要である。
(4) 同意書、結果説明、紹介先が同時に記入可能な問診票を作成することで同意数を増加させ、follow up数を増加させること重要である。同意者数増加に対するシステム開発を行う必要がある。
(5) 両立支援が可能な相談支援体制の充実化を行い、誰もが仕事に対する相談出来る体制を構築する。
公開日・更新日
公開日
2019-09-20
更新日
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