地域高齢者の市販弁当等の購買状況を踏まえた適切な食事の普及啓発のための研究

文献情報

文献番号
201809033A
報告書区分
総括
研究課題名
地域高齢者の市販弁当等の購買状況を踏まえた適切な食事の普及啓発のための研究
課題番号
H30-循環器等-一般-008
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
本川 佳子(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 横山友里(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
  • 奈良一寛(実践女子大学)
  • 小林知未(帝塚山学院大学)
  • 目加田優子(文教大学)
  • 鈴木友貴(小久保友貴)(愛知淑徳大学)
  • 渡邊裕(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
  • 平野浩彦(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター)
  • 吉崎貴大(東洋大学)
  • 大上安奈(東洋大学)
  • 大渕修一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
  • 粟田主一(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,824,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域高齢者の市販弁当等の購入状況を含めた食事調査による食事パターン(市販弁当等の利用頻度等)の把握:後期高齢者の急増とともに低栄養を有する者の割合が増加することが予想され、地域における適切な栄養支援を可能とする食環境整備が重要な課題である。平成24年内閣府調査によると高齢者が普段利用する食事サービスで多いのは「店で売っている弁当やお惣菜」で、利用する者の割合が4割を占め、単身や高齢夫婦世帯の増加、コンビニエンスストア等の充実も伴い、高齢期の食生活に市販弁当等が占める割合は今後も高くなると推察される。このため地域高齢者の適切な栄養支援に向けては、市販弁当等の利用状況を考慮し地域高齢者の食生活の実態に即した、食環境整備の推進を行っていく必要がある。そこで本研究は、地域高齢者の市販弁当等の購買状況を含めた食事パターンを明らかにすることを目的に都市部在住高齢者108名を対象に普段の食生活に関する自記式アンケート及び国民健康・栄養調査に準じた方法で秤量法による食事調査を行った。
地域高齢者の市販弁当等の食品分析による実態に即した栄養素等摂取量の把握:我が国では、国民健康・栄養調査が行われ、健康増進対策や生活習慣病対策に不可欠な調査となっている。しかし、国民健康・栄養調査による栄養素等摂取量は手製の料理であるか否かを問わず、食品ごとの摂取量を日本食品標準分析表の収載値を基に算出されている。市販弁当等は工場等で手製とは異なる工程で加工され、手製の場合と栄養素等の量が異なることが推察される。そこで本研究は、地域高齢者を対象に秤量法による食事調査から得られた市販弁当等の栄養素等摂取量を日本食品標準分析表による推定値、食品分析による分析値の比較検討を行った。
域高齢者に向けた適切な食事に資する普及啓発用素案の作成:本研究より得られた結果より、適切な食事に資する普及啓発用素案を作成する(2021年完成予定)。
研究方法
都市部在住高齢者108名を対象に普段の食生活に関する自記式アンケート及び国民健康・栄養調査に準じた方法で秤量法による食事調査を行った。自記式アンケートのすべての項目に回答した者は97名であり、そのうち市販等を週1回以上利用すると答えた割合は47%であった。
食事調査から得られた市販弁当等の利用件数は32件であり、それらすべての食品分析を行い、推定値を基準とした減少量、減少率を算出した。
2018年度は文献渉猟を実施し、地域高齢者における適切な栄養管理方法に関するエビデンスが不足していたことから、これを補うために、①食品摂取多様性に関連する因子の検討、②地域在住高齢者における食品摂取の多様性と睡眠の質との関連に関する研究を行った。
結果と考察
自記式アンケートのすべての項目に回答した者は97名であり、そのうち市販等を週1回以上利用すると答えた割合は47%であった。また秤量法による食事調査参加者83名のうち市販弁当等を利用していた者は22名(26%)であり、朝食に利用する者が1名、昼食に利用する者が18名、夕食に利用する者が4名であった(重複あり)。
食事調査から得られた市販弁当等の利用件数は32件であり、それらすべての食品分析を行い、推定値を基準とした減少量、減少率を算出した。
比較検討の結果、すべての栄養等摂取量について推定値と分析値で大きく乖離する栄養素は認められなかった。今後さらに食品分析を追加してデータ数を増やし、弁当・惣菜(主菜、副菜)別等、詳細に検討する必要があるが、現段階においては市販弁当等を活用した場合でも食品成分表による推定値によって実態に近い栄養素等摂取量が把握できる可能性が示唆された。
結論
地域高齢者の市販弁当等の購入状況を含めた食事調査による食事パターン(市販弁当等の利用頻度等)の把握:
地域包括ケアシステムを適切な栄養管理といった視点で支えるために、市販弁当等を活用することが食環境整備の推進や普及・啓発に大きく貢献すると考えられるが、後期高齢者において市販弁当等の利用に関する課題が明らかとなり、今後さらに地域の拡大、対象者を拡大して検討していく必要がある。
地域高齢者の市販弁当等の食品分析による実態に即した栄養素等摂取量の把握:
市販弁当等を活用した場合でも食品成分表による推定値によって実態に近い栄養素等摂取量が把握できる可能性が示唆された。
地域高齢者に向けた適切な食事に資する普及啓発用素案の作成:
①食品摂取多様性に関連する因子の検討
食品摂取の多様性の維持・向上にむけて、地域在住高齢者への、介入ポイントとして食欲や身体活動量の増加が有効である可能性が示唆された。
②地域在住高齢者における食品摂取の多様性と睡眠の質
地域在住高齢者において多様な食品を摂取する者は睡眠の質が良好であることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2020-01-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2020-01-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201809033Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,171,000円
(2)補助金確定額
10,141,000円
差引額 [(1)-(2)]
30,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,478,402円
人件費・謝金 1,547,361円
旅費 358,794円
その他 3,410,410円
間接経費 2,347,000円
合計 10,141,967円

備考

備考
分担研究者の実施する調査において、管理栄養士1名を3日間雇用する予定であったが、第三次公募であり適切な人材確保の時間がなかったため、研究代表者が所属する東京都健康長寿医療センター研究所雇用の管理栄養士によって調査支援を行ったため。

公開日・更新日

公開日
2020-02-25
更新日
-