文献情報
文献番号
201809032A
報告書区分
総括
研究課題名
新旧(1980-2020年)のライフスタイルからみた国民代表集団大規模コホート研究:NIPPON DATA80/90/2010/2020
課題番号
H30-循環器等-指定-002
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 克之(国立大学法人滋賀医科大学 社会医学講座公衆衛生学部門)
研究分担者(所属機関)
- 岡山 明(合同会社生活習慣病予防研究センター)
- 岡村 智教(慶應義塾大学医学部)
- 大久保孝義(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
- 奥田奈賀子(人間総合科学大学健康栄養学科)
- 尾島 俊之(浜松医科大学医学部健康社会医学講座)
- 門田 文(滋賀医科大学アジア疫学研究センター)
- 喜多 義邦(敦賀市立看護大学看護学部)
- 西 信雄(医薬基盤健康・栄養研究所国際栄養情報センター)
- 早川 岳人(立命館大学衣笠総合研究機構地域健康社会学研究センター)
- 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター予防健診部)
- 由田 克士(大阪市立大学大学院生活科学研究科 食・健康科学講座 公衆栄養学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国の循環器疾患等生活習慣病予防対策立案のためには、国民の代表集団を長期間追跡するコホート研究を実施し、刻々と変化する日本国民特有のライフスタイルや社会環境における生活習慣病リスク要因を明らかにする必要がある。また健康日本21(第2次)の重要課題である健康格差の是正のために、地域格差や世代間格差を抽出する必要もある。申請者らは、1980/1990/2010年国民健康栄養調査および循環器疾患基礎調査の対象集団、計約2万人のコホート研究 NIPPON DATA80/90/2010を継続してきた。国民健康栄養調査の拡大調査年である2020年に、最新のライフスタイルを反映した国民代表集団約1万人のコホート研究NIPPON DATA2020を構築し、長期追跡を開始する。NIPPON DATA80/90/2010/2020における過去40年のデータの横断解析・縦断解析、および、過去20年間の国民健康・栄養調査の推移解析により、国民の生活習慣病リスク要因の変化、地域格差・世代間格差の要因を明らかにし、生活習慣病予防のための最新の優先的課題を明らかにする。
研究方法
1) 国民健康・栄養調査の拡大調査年である2020年に、最新のライフスタイルを反映した国民代表集団約1万人のコホート研究NIPPON DATA2020を構築し、長期追跡を開始する。
2) NIPPON DATA2010コホート約3000人の毎年の生活習慣病発症調査を継続し、約10年間の脳卒中・心臓病・糖尿病発症リスク要因を明らかにする。(
3) NIPPON DATA90の29年目の生死・死因の追跡を行い、NIPPON DATA80/90の計18000人の長期追跡データから、生活習慣病の地域較差や世代間格差の要因を明らかにする。
4) NIPPON DATA80/90/2010/2020における過去40年のデータの横断解析・縦断解析、および、過去20年間の国民健康・栄養調査の推移解析により、国民の生活習慣病リスク要因の変化、地域格差・世代間格差の要因を明らかにし、生活習慣病予防のための最新の優先的課題を明らかにする。
2) NIPPON DATA2010コホート約3000人の毎年の生活習慣病発症調査を継続し、約10年間の脳卒中・心臓病・糖尿病発症リスク要因を明らかにする。(
3) NIPPON DATA90の29年目の生死・死因の追跡を行い、NIPPON DATA80/90の計18000人の長期追跡データから、生活習慣病の地域較差や世代間格差の要因を明らかにする。
4) NIPPON DATA80/90/2010/2020における過去40年のデータの横断解析・縦断解析、および、過去20年間の国民健康・栄養調査の推移解析により、国民の生活習慣病リスク要因の変化、地域格差・世代間格差の要因を明らかにし、生活習慣病予防のための最新の優先的課題を明らかにする。
結果と考察
3年計画の初年度である平成30年度は以下の結果を得た。研究は当初の計画どおり実施された。NIPPON DATA2020の実施に向けて、調査内容・方法の議論を開始した。また、NIPPON DATA2010対象者約3,000人の8年目の発症追跡調査を高い追跡率にて実施した。発症報告例について医療機関問い合わせ調査とイベント判定を継続した。NIPPON DATA90は、25年間追跡の死因が確定した。また、過去20年間の国民健康・栄養調査の推移分析についても、2次利用申請によりデータを入手し、分析を行った。
1980年から2010年までの30年間の推移解析では、過去30年間で日本人の血清コレステロール値に対する肥満の影響が減少していること(Shibata et al. J Epidemiol. 2018)、過去には強かった食事中コレステロール、飽和脂肪酸摂取量との関連が減弱していること(Okami et al. Circ J. 2019)を論文発表し、広く国民に報道された。また1980年以降36年間の高血圧有病率等の推移を明らかにし、高血圧学会の新ガイドラインに活用された。NIPPON DATA2010では、歯数と食事摂取との関連は、社会的地位が低い者でより顕著であること(Nakamura et al. Environ Health aPrev Med 2019)などの論文発表を行った。NIPPON DATA80/90の長期追跡データ解析では、植物性蛋白の摂取が循環器疾患死亡リスクを低下すること(Kurihara A, et al. J Atheroscler Thromb 2018)などの論文発表を行った。これらの研究成果はプレスリリースなどにより、国民に広く周知、啓発に用いられるように努めた。
1980年から2010年までの30年間の推移解析では、過去30年間で日本人の血清コレステロール値に対する肥満の影響が減少していること(Shibata et al. J Epidemiol. 2018)、過去には強かった食事中コレステロール、飽和脂肪酸摂取量との関連が減弱していること(Okami et al. Circ J. 2019)を論文発表し、広く国民に報道された。また1980年以降36年間の高血圧有病率等の推移を明らかにし、高血圧学会の新ガイドラインに活用された。NIPPON DATA2010では、歯数と食事摂取との関連は、社会的地位が低い者でより顕著であること(Nakamura et al. Environ Health aPrev Med 2019)などの論文発表を行った。NIPPON DATA80/90の長期追跡データ解析では、植物性蛋白の摂取が循環器疾患死亡リスクを低下すること(Kurihara A, et al. J Atheroscler Thromb 2018)などの論文発表を行った。これらの研究成果はプレスリリースなどにより、国民に広く周知、啓発に用いられるように努めた。
結論
NIPPON DATA2020の基本計画を検討した。調査実施に向けて関係機関と連携し、さらに詳細な実施計画を作成する。また、各種学会ガイドラインの作成、健康日本21推進、特定健診・特定保健指導の推進等、わが国の健康増進・生活習慣病予防対策立案への重要な提言を行う資料が得られた。今後も追跡調査、分析を続け、わが国の健康増進・生活習慣病予防対策立案のためのエビデンスの充実を図る。
公開日・更新日
公開日
2019-09-30
更新日
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