循環器疾患・糖尿病等生活習慣病を予防するための情報通信技術を活用した保健指導プログラム及びその実践のための手引きの作成と検証

文献情報

文献番号
201809029A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器疾患・糖尿病等生活習慣病を予防するための情報通信技術を活用した保健指導プログラム及びその実践のための手引きの作成と検証
課題番号
H30-循環器等-一般-007
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
春山 早苗(自治医科大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 田村 須賀子(富山大学 大学院医学薬学研究部)
  • 小谷 和彦(自治医科大学 医学部)
  • 由田 克士(大阪市立大学 大学院生活科学研究科)
  • 中田 由夫(筑波大学 体育系)
  • 淺田 義和(自治医科大学 医学部情報センター)
  • 廣江 貴則(自治医科大学 大学院看護学研究科)
  • 江角 伸吾(自治医科大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
4,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、血圧高値、脂質異常、血糖高値等の脳・心血管疾患危険因子保有者に対する情報通信技術(以下、ICT)を活用した保健指導プログラムを作成・検証するとともに、その実践のための手引きを作成することである。3か年計画の1年目にあたる本年度は、ICTを活用した効果的な保健指導プログラム案の検討(分担研究1、2)、ICTを活用した保健指導を実施する際の要件等の整理(分担研究3)、食生活改善指導及び運動指導の業務従事者に対する現存の研修教材の課題の整理(分担研究4、5)、研修教材に対する食生活改善指導従事者のニーズ把握(分担研究4)を目的とした。
研究方法
分担研究1:医中誌及びPubMedにより「遠隔保健指導」「「ICT + health guidance」等を検索語として、2000年以降の文献1,253件を抽出し、生活習慣病予防に関連しない、アウトカムがない等の文献を除外し、38件を分析した。
分担研究2:ネットワークサンプリングにより、産業保健領域の保健師及び管理栄養士等である、ICTを初回面接で活用の2機関3名、初回面接以外で活用の3機関4名を対象に半構造的インタビューを実施。また、ICT活用保健指導を検討中の保健師等10人を対象にフォーカスグループを実施。
分担研究3:国内外のICT活用保健医療の既存ガイドライン等から、ICT活用における重要点及び課題を抽出。
分担研究4:既存の「食生活改善指導担当者テキスト」の執筆者へのヒアリング及び全国健康保険協会の本部と支部の全特定保健指導担当者(保健師、管理栄養士、計764人)を対象に、無記名自記式質問紙調査を実施(回収数(率)734(96.1%))。
分担研究5:既存の「運動指導担当者研修テキスト」(追補版)の課題抽出
結果と考察
分担研究1:活用されていたICTツールはスマートフォンアプリケーションが最も多く、次いでウェブサイト、電子メールの順。ICT活用目的が、利便性は約2割、行動変容は1件を除く全てであり、後者の支援目的は『振り返り・(セルフ)モニタリング』が最多で、次いで『記録』、『知識の提供』、『情報共有』の順。アウトカムは体重・血圧・血糖等の脳・心血管疾患危険因子の改善又は非劣性が8割、自己管理の知識・意欲・行動等の改善又は非劣性が約6割。
分担研究2: ICT活用目的はコスト削減と利便性で、遠隔地勤務の被保険者、被扶養者、リピーターを対象に試行。また、対面保健指導と差がなく質を維持できるという評価から補完的方法として位置付け、ICT活用保健指導に向かない対象者特性を見極める必要性が主張された。
分担研究3:要件として「保健指導実施者」「利用者」「保健指導実施環境・情報通信環境」「保健指導実施のための情報通信機材」「保健指導を開始するための手順・本人確認」「記録方法・記録管理」「経費・費用」「その他」の8項目に分類した。
分担研究4:「食生活改善指導担当者テキスト」は回答者の半数以上で全く認知されていなかった。テキストの『栄養指導』及び『運動の基礎科学』分野の各項目のうち、「国民の食生活(主に外食・中食、欠食)における課題」、「労働(就業状況)に対応した栄養教育の目的」、「単身生活者の特徴とそれらに応じた栄養教育の内容」等の7項目は、半数以上がとても重要としていた。また、追加・充実すべき内容として、時間栄養学、栄養サプリメント、糖質制限食等があげられた。
分担研究5:「運動指導担当者研修テキスト」(追補版)の課題として、過度に安全性に配慮していること、内容が多岐にわたり過ぎていること、過度な知識と能力を求めていること、があげられた。
結論
ICT活用保健指導プログラムのターゲットは、遠隔地や分散事業所勤務の被保険者、被扶養者、リピーター、特定保健指導未利用者が考えられる。また、効果的な保健指導プログラムとして、利便性向上を目的としたテレビ電話によるプログラム、『記録』の負担軽減及び記録情報の可視化によるセルフモニタリング支援強化のためのICT活用プログラム、生体情報等の『情報共有』をし、適時にフィードバック等を行う自己管理行動の継続支援強化のためのICT活用プログラムが考えられ、今後は、これらが対面で行う保健指導と同等以上の効果が得られるかを検証していく必要がある。
また、手引きは、本研究結果の要件を考慮し、併せて要件のチェックリスト及び同意書のフォーマット案の追加並びに本人確認の方法の充実をし作成していく。
さらに、本年度の研究結果を踏まえて、「食生活改善指導担当者研修テキスト」の具体的な改訂内容及びICT活用も考慮した運動指導担当者向けの新たな研修教材を検討していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2019-09-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2019-09-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201809029Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,000,000円
(2)補助金確定額
6,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,180,194円
人件費・謝金 620,278円
旅費 427,623円
その他 1,387,905円
間接経費 1,384,000円
合計 6,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-02-12
更新日
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