飲酒や喫煙等の実態調査と生活習慣病予防のための減酒の効果的な介入方法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201809016A
報告書区分
総括
研究課題名
飲酒や喫煙等の実態調査と生活習慣病予防のための減酒の効果的な介入方法の開発に関する研究
課題番号
H29-循環器等-一般-008
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
尾崎 米厚(鳥取大学 医学部 社会医学講座 環境予防医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 兼板 佳孝(日本大学 医学部 社会医学系 公衆衛生学分野)
  • 神田 秀幸(島根大学 医学部 環境保健医学講座)
  • 樋口 進(独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター )
  • 井谷 修(日本大学 医学部 社会医学系 公衆衛生学分野)
  • 地家 真紀 (池田 真紀)(日本大学 医学部 社会医学系 公衆衛生学分野)
  • 大塚 雄一郎(日本大学 医学部 社会医学系 公衆衛生学分野)
  • 吉本 尚(筑波大学 医学医療系 地域医療教育学)
  • 金城 文 (田原 文)(鳥取大学 医学部 社会医学講座 環境予防医学分野)
  • 真栄里 仁(独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター )
  • 美濃部 るり子(独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター )
  • 桑原 祐樹(鳥取大学 医学部 社会医学講座 環境予防医学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)わが国の中高生の飲酒及び喫煙行動とその関連要因を明らかにし、実態と課題を明らかにすること。健康日本21(第2次)の評価指標を提出すること。中高生の生活習慣に関する新たな課題を明らかにすること。2)成人の飲酒行動に関する全国調査の実施に関わり、わが国の成人の飲酒行動の現状と課題を明らかにすること。3)地域保健または職域保健で活用可能な生活習慣病のリスクを高める飲酒を減らすための簡易介入方法を開発し、その効果を地域介入研究の手法を用いて検証する。本研究では、文献レビューによりエビデンスが検証されたBIプログラムを収集し、わが国のBIの見直しを行い、その際忙しい現場で採用可能な短縮版の作成も行う。業所を対象とした保健指導現場での通常版と短縮版の介入効果を検証する無作為化比較試験を実施する。また若年者の問題飲酒行動である機会大量飲酒(ビンジ飲酒)への介入効果を検証するために大学生を対象とした無作為化比較試験も実施する。これらを通して、介入ツールを開発する。
研究方法
年度当初は、平成29年度末に納品された中高生の喫煙及び飲酒行動の全国調査のデータクリーニングを行い、全国集計、協力校別の集計と協力校への結果還元を実施した。8月末に厚生労働記者クラブで結果公表のための記者会見を開催し、調査結果を広く周知した。5月には成人の飲酒行動に関する全国調査の結果が納品され、集計解析を実施し、調査主体のAED研究班に結果を報告した。一方平成30年度初めから減酒支援ツールの作成、ベースライン、半年後、1年度の調査票作成を行い、倫理審査申請書を作成・提出し、倫理審査を経て7月に承認された。鳥取県の協会けんぽの傘下の中小企業従業員を対象に協会けんぽの保健師・栄養士による減酒支援を開始するための、交渉、説明、研修会を繰り返したが同意取得等がネックとなり介入開始が先送りになった。比較的規模の大きい鳥取県及び島根県の事業所、自治体職員等を対象にAUDIT実施後の減酒支援を研究代表者・分担者および大学で雇用した保健師・看護師により実施することとした。AUDITの実施は平成30年度11月から、減酒支援は、12月から始めた。
結果と考察
1)平成29年度(1年目)に実施した中高生の喫煙及び飲酒行動に関する全国調査の結果を集計し、協力校へ集計結果を還元するとともに厚生労働記者クラブでマスコミにむけて全国集計結果を公表した。喫煙率、飲酒率は減少傾向を続けていた。一方、ネットの過剰使用をする者の割合が急増していた。加熱式たばこ、電子たばこの経験率、使用率を初めて調査し、少なからず使用者がいることが判明した。ネットの過剰使用が大きく報道され、次いで加熱式・電子たばこについての結果が報道された。2)成人の飲酒行動を調査する研究班へ助言し、調査内容に反映してもらった。集計、解析を引き受けて実施した。成人の加熱式たばこ、電子たばこの使用頻度も調べた。3)国内外のエビデンスの収集をもとに、減酒支援の介入ツールを作成した。無作為比較試験(ランダムに介入群と対照群に割り付け)のデザインで減酒支援の効果測定をするための研究を開始した。評価のためのベースライン、半年後、1年後調査票の作成、倫理審査、介入体制の整備、同意取得のための説明文書やツール作成を行った。約2000名にスクリーニング検査のAUDITを実施し、約400名の対象者を抽出し、同意取得、割り付け結果による介入(対照群、通常減酒支援(約15分)、短縮版(約5分))を開始した。現在約70名の同意取得・割り付けに従った介入を実施した。今後若者のビンジ飲酒(機会大量飲酒)を減らすための指導方法の開発も行うため、介入ツールの作成、大学生を対象とした指導の開始予定である。
結論
2017年度末に実施した、中高生の飲酒及び喫煙行動に関する全国調査のデータを解析し、2018年に結果を公表した。2018年初頭に実施された成人の飲酒行動に関する全国調査の結果を集計、解析し、実施元の研究班へ結果を報告した。事業所職員に対する減酒支援の介入研究(無作為化比較試験)の実施のための準備をし、対象者のリクルートを開始した。研究手順の決定、ベースライン・半年後・1年後アンケートの作成、倫理審査用書類作成と倫理審査受審、対象事業所確保のための交渉を行い、製造業、役所職員等を対象に研究に先立ちAUDIT(アルコール使用障害スクリーニングテスト)を実施し、減酒支援該当者を抽出し、研究へのリクルートを開始した。AUDIT実施者数は約1600、減酒支援該当者数は約400であった。研究参加の承諾者数は現状では、約70である。研究の過程で新たな課題だと判明した若者のビンジ飲酒(機会大量飲酒)を減らすための介入研究も同時並行して進めることとした。大学生を対象者とした無作為化比較試験を開始した。

公開日・更新日

公開日
2019-08-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201809016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,300,000円
(2)補助金確定額
14,300,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,213,486円
人件費・謝金 2,362,457円
旅費 644,470円
その他 4,779,587円
間接経費 3,300,000円
合計 14,300,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2020-02-05
更新日
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