文献情報
文献番号
201809012A
報告書区分
総括
研究課題名
今後の糖尿病対策と医療提供体制の整備のための研究
課題番号
H29-循環器等-一般-004
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
門脇 孝(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 柏原 直樹(川崎医科大学)
- 小室 一成(東京大学 医学部附属病院)
- 小椋 祐一郎(名古屋市立大学)
- 大杉 満(国立国際医療研究センター)
- 岡村 智教(慶応義塾大学)
- 東 尚弘(国立がん研究センター)
- 岡田 浩一(埼玉医科大学)
- 野出 孝一(佐賀大学)
- 村田 敏規(信州大学)
- 中島 直樹(九州大学)
- 菊池 透(埼玉医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
11,793,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
糖尿病は健康日本21(第二次)に定められた主要な生活習慣病の1つであり、生活習慣病の重症化予防のために大規模データを利用する取り組みや、糖尿病の重症化予防事業などの好事例を横展開することは健康・医療戦略(平成29年)でも重視されている。5疾病・5事業及び在宅医療の医療供給体制のなかでも糖尿病は重点疾患として扱われており、今後は特に発症予防・重症化予防に重点をおいて事業が継続させる見込みである。今までも糖尿病対策事業や疫学研究などは行われてきたが、俯瞰できる形で糖尿病対策について整理されていないのが現状である。そこで、本研究では既存の糖尿病対策事業・研究のとりまとめ、糖尿病及び合併症の実態把握。糖尿病診療・医療体制の現状把握、各種療養指導士制度の連携体制の検討等を行った上で、抽出された課題の解決法の提示、関係学会間の連携促進、療養指導士制度の連携に対する提言などを行うことを目的とする。本年度は2年目であり、以下の通り研究を進めた。
研究方法
【糖尿病関連のガイドラインの比較検討と学会横断的な診療手引き作成】、【既存の糖尿病対策事業・研究事業の成果のとりまとめ】、【糖尿病及び糖尿病合併症の実態把握】、【糖尿病に対する適切な医療提供体制・医療の質指標】、【各種団体が制定している療養士等制度の調整】の5つのテーマにわけ、研究を推進した。
今年度は、全体班会議2回、各学会から推薦された実務担当者との会議4回、各療養指導士等制度の担当責任者が参加した療養指導士等担当責任者会議、47都道府県への糖尿病対策についてのアンケート調査、ICD-11に関する打ち合わせ、日本循環器学会/日本糖尿病学会合同ステートメント会議へのオブザーバー参加、医政局直轄の厚労科研・今村班と協議4回などを行い、その結果に基づき議論を行った。
今年度は、全体班会議2回、各学会から推薦された実務担当者との会議4回、各療養指導士等制度の担当責任者が参加した療養指導士等担当責任者会議、47都道府県への糖尿病対策についてのアンケート調査、ICD-11に関する打ち合わせ、日本循環器学会/日本糖尿病学会合同ステートメント会議へのオブザーバー参加、医政局直轄の厚労科研・今村班と協議4回などを行い、その結果に基づき議論を行った。
結果と考察
【1.糖尿病関連のガイドラインの比較検討と学会横断的な診療手引き作成】
ICD-11公開に際してDKD(糖尿病性腎臓病)の用語を組み入れることに貢献するとともに、 “腎臓専門医と糖尿病専門医間の紹介基準”の原案作成に貢献した。
【2.既存の糖尿病対策事業・研究事業の成果のとりまとめ】
既存の行政主導の糖尿病対策事業として、47都道府県の糖尿病対策担当部署にアンケート調査を行い、都道府県による糖尿病対策をとりまとめた。糖尿病関連の研究は、糖尿病が主体となる研究班について抽出・分類を進めた。
【3.糖尿病及び糖尿病合併症の実態把握】
NDB特別抽出データにて、糖尿病患者の検査実施率に関しては、糖尿病網膜症の検査の実施率は全国で約47%、尿検査の実施率(200床未満の施設のみ対象)について尿定性検査は全国で約67%、尿蛋白・アルブミン定量検査は全国で約19%であった。
国民健康・栄養調査にて、糖尿病の有病率は年齢の影響が大きく、年齢調整の結果、特に「糖尿病の可能性を否定できない者」では平成19年と平成28年の2時点にてほぼ横ばいになることがわかった。
1型糖尿病に関する検討にて、日本国内では1型糖尿病の有病者数の大きな地域差は見られず、全ての地域において人口1万人あたりでは10人未満(7.7人~9.7人)であった。
【4.糖尿病に対する適切な医療提供体制・医療の質指標】
47都道府県を対象としたアンケート調査において、糖尿病対策を所管する部署は複数に分かれており、糖尿病対策を統括する部署がある方が積極的に糖尿病対策を進められていることが示唆された。また、糖尿病対策に係る現状把握のための指標の選定状況やデータソースは、都道府県ごとに大きく異なっていた。
また、小児期発症1型糖尿病の治療向上のためには、治療技術の進歩に対応すること、綿密なインスリン治療を行うことなどが重要と考えられた。
【5.各種団体が制定している療養士等制度の調整】
“日本糖尿病療養指導士制度”“高血圧・循環器病予防療養指導士制度”“腎臓病療養指導士制度”“生活習慣病改善指導士制度”の責任者が参加する療養指導士等制度担当責任者会議を開催し、各制度が今後何らかの形で連携する方針につき合意が得られた。
ICD-11公開に際してDKD(糖尿病性腎臓病)の用語を組み入れることに貢献するとともに、 “腎臓専門医と糖尿病専門医間の紹介基準”の原案作成に貢献した。
【2.既存の糖尿病対策事業・研究事業の成果のとりまとめ】
既存の行政主導の糖尿病対策事業として、47都道府県の糖尿病対策担当部署にアンケート調査を行い、都道府県による糖尿病対策をとりまとめた。糖尿病関連の研究は、糖尿病が主体となる研究班について抽出・分類を進めた。
【3.糖尿病及び糖尿病合併症の実態把握】
NDB特別抽出データにて、糖尿病患者の検査実施率に関しては、糖尿病網膜症の検査の実施率は全国で約47%、尿検査の実施率(200床未満の施設のみ対象)について尿定性検査は全国で約67%、尿蛋白・アルブミン定量検査は全国で約19%であった。
国民健康・栄養調査にて、糖尿病の有病率は年齢の影響が大きく、年齢調整の結果、特に「糖尿病の可能性を否定できない者」では平成19年と平成28年の2時点にてほぼ横ばいになることがわかった。
1型糖尿病に関する検討にて、日本国内では1型糖尿病の有病者数の大きな地域差は見られず、全ての地域において人口1万人あたりでは10人未満(7.7人~9.7人)であった。
【4.糖尿病に対する適切な医療提供体制・医療の質指標】
47都道府県を対象としたアンケート調査において、糖尿病対策を所管する部署は複数に分かれており、糖尿病対策を統括する部署がある方が積極的に糖尿病対策を進められていることが示唆された。また、糖尿病対策に係る現状把握のための指標の選定状況やデータソースは、都道府県ごとに大きく異なっていた。
また、小児期発症1型糖尿病の治療向上のためには、治療技術の進歩に対応すること、綿密なインスリン治療を行うことなどが重要と考えられた。
【5.各種団体が制定している療養士等制度の調整】
“日本糖尿病療養指導士制度”“高血圧・循環器病予防療養指導士制度”“腎臓病療養指導士制度”“生活習慣病改善指導士制度”の責任者が参加する療養指導士等制度担当責任者会議を開催し、各制度が今後何らかの形で連携する方針につき合意が得られた。
結論
【糖尿病関連のガイドラインの比較検討と学会横断的な診療手引き作成】、【既存の糖尿病対策事業・研究事業の成果のとりまとめ】、【糖尿病及び糖尿病合併症の実態把握】、【糖尿病に対する適切な医療提供体制・医療の質指標】、【各種団体が制定している療養士等制度の調整】の5つのテーマをわけ、研究を推進した。本年度はICD-11公開に際してDKD(糖尿病性腎臓病)の用語を組み入れることや、“腎臓専門医と糖尿病専門医間の紹介基準”の原案作成などに貢献した。来年度も5つのテーマを進めることで、我が国の糖尿病対策の医療政策に資する成果を目指す。
公開日・更新日
公開日
2019-10-02
更新日
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