文献情報
文献番号
201807001A
報告書区分
総括
研究課題名
母子の健康改善のための母子保健情報利活用に関する研究
課題番号
H28-健やか-一般-001
研究年度
平成30(2018)年度
研究代表者(所属機関)
山縣 然太朗(山梨大学 大学院総合研究部 医学域 基礎医学系 社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 永光 信一郎(久留米大学 医学部)
- 松浦 賢長(福岡県立大学 看護学部)
- 山崎 嘉久(あいち小児保健医療総合センター)
- 松田 義雄(独立行政法人 地域医療機能推進機構 三島総合病院)
- 市川 香織(東京情報大学 看護学部)
- 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部)
- 菅原 準一(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
- 上原 里程(京都府立医科大学 大学院医学研究科地域保健医療疫学)
- 須藤 茉衣子(国立成育医療研究センター研究所)
- 近藤 尚己(東京大学大学院 医学系研究科)
- 吉田 穂波(神奈川県立保健福祉大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
10,985,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交替
森 臨太郎(平成28年4月1日~平成30年11月25日)→須藤 茉衣子(平成30年11月26日以降)
所属機関異動
研究分担者 上原 里程
埼玉県立大学(平成29年4月1日~平成30年12月31日)→京都府立医科大学(平成31年1月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、健やか親子21(第2次)の課題である母子保健領域における格差の是正及び母子保健情報の利活用の推進のために、乳幼児健康診査(以下、乳幼児健診)を中心とした市町村事業のデータの利活用システムの構築と母子保健情報利活用のガイドライン・マニュアルを作成することである。
研究方法
研究内容は次の6点である。
1.母子保健情報利活用の推進のための環境整備に関する研究
2.妊娠届出から乳幼児健診の情報の入力システムの構築
3.母子保健領域における予防、健康増進の視点からのデータベースの構築とシステマティック・レビュー
4.健やか親子21(第2次)に関わる自治体等の取り組みのデータベースの構築運営
5.乳幼児健診の個別データ分析
6.母子保健情報利活用のためのガイドラインの作成
1.母子保健情報利活用の推進のための環境整備に関する研究
2.妊娠届出から乳幼児健診の情報の入力システムの構築
3.母子保健領域における予防、健康増進の視点からのデータベースの構築とシステマティック・レビュー
4.健やか親子21(第2次)に関わる自治体等の取り組みのデータベースの構築運営
5.乳幼児健診の個別データ分析
6.母子保健情報利活用のためのガイドラインの作成
結果と考察
1.母子保健情報利活用の推進のための環境整備に関する研究
妊産婦を取り巻く環境については、妊産婦への継続的な支援のための産後ケア事業について産後ケアの普及と連携についての研究を進めた。また、自治体の環境整備については「健やか親子21(第2次)」では県型保健所の役割が明記され、環境整備の指標として設定されている5つの指標に焦点を当て、県型保健所の市町村への支援活動と市町村における「健やか親子21(第2次)」の指標のうち5つの指標との関係を検討した。
2.妊娠届出から乳幼児健診の情報の入力システムの構築
モデル地区によるシステムの構築と検証について、妊娠届出時から乳幼児健診時の情報を産科医療機関と自治体とで共有し、連携して母子を支援していくシステムのモデルとして大阪と東京で実施した。宮城県では県内産科医療機関を対象とした母子保健との連携状況調査、県内全市町村を対象とした妊娠届時の情報収集状況調査を基に詳細解析を行い、福岡県では妊娠届出時から思春期まで全ての親子の母子保健情報を集積していく方式を市町村にて構築するにあたっての課題を抽出するための介入研究を行った。そして、上記のような切れ目ない母子保健サービス提供のためには、母子保健情報の入力・集計・分析に至るプロセスが重要であり、各自治体のデータを自ら利活用できるよう分析手法マニュアルの作成と研修企画立案を行った。
3.母子保健領域における予防、健康増進の視点からのデータベースの構築とシステマティック・レビュー
コクランとキャンベルのデータベースを用いて、家庭・地域・クリニック等(学校以外)で実施された子どもの健康課題に関する介入研究のオーバービュー・レビューを行った。その結果、感染症、養育、死亡率、アレルギー疾患、行動上の問題、歯科、リプロダクティブ・ヘルス、栄養摂取、喫煙、に関する介入プログラムの内容とその効果が報告されていた。小児期における予防的介入は、生涯の健康増進にも寄与する可能性があるため、関連のエビデンス整理が今後も必要である。
4.健やか親子21(第2次)に関わる自治体等の取り組みのデータベースの構築運営
全国の自治体から「健やか親子21(第2次)」に関する母子保健事業が登録されている「取り組みのデータベース」に関しては多くの自治体から登録があった。しかし、本データベースの意義や活用方法が十分理解されていない可能性が考えられることから、日常業務へより一層活かしてもらえるよう努めていく必要がある。また今年度は、本データベースに登録されている事業から一定の基準を設けて選抜した事業を掲載する「セレクト2018」を作成した。
5.乳幼児健診の個別データ分析
個別データを用いての分析は、愛知県、静岡県、福岡県、そして、全国データを用いて実施した。乳幼児健診で得られる個別データでの分析は、各地域や全国の母子の状況を詳細に示すことができる。研究者による分析だけでなく、実際にデータを収集し状況を一番よく知っている現場の方々自身にもより活用されていくよう、利活用の重要性を伝えていくことが必要と考える。
6.母子保健情報利活用のためのガイドラインの作成
上記1~5の研究結果を踏まえ、自治体が自治体での母子保健情報を利活用して、母子保健活動の充実を図ることに寄与することを目的としたガイドライン「母子保健活動における情報利活用ガイドライン-データヘルス時代の母子保健活動の道標-」を作成した。
妊産婦を取り巻く環境については、妊産婦への継続的な支援のための産後ケア事業について産後ケアの普及と連携についての研究を進めた。また、自治体の環境整備については「健やか親子21(第2次)」では県型保健所の役割が明記され、環境整備の指標として設定されている5つの指標に焦点を当て、県型保健所の市町村への支援活動と市町村における「健やか親子21(第2次)」の指標のうち5つの指標との関係を検討した。
2.妊娠届出から乳幼児健診の情報の入力システムの構築
モデル地区によるシステムの構築と検証について、妊娠届出時から乳幼児健診時の情報を産科医療機関と自治体とで共有し、連携して母子を支援していくシステムのモデルとして大阪と東京で実施した。宮城県では県内産科医療機関を対象とした母子保健との連携状況調査、県内全市町村を対象とした妊娠届時の情報収集状況調査を基に詳細解析を行い、福岡県では妊娠届出時から思春期まで全ての親子の母子保健情報を集積していく方式を市町村にて構築するにあたっての課題を抽出するための介入研究を行った。そして、上記のような切れ目ない母子保健サービス提供のためには、母子保健情報の入力・集計・分析に至るプロセスが重要であり、各自治体のデータを自ら利活用できるよう分析手法マニュアルの作成と研修企画立案を行った。
3.母子保健領域における予防、健康増進の視点からのデータベースの構築とシステマティック・レビュー
コクランとキャンベルのデータベースを用いて、家庭・地域・クリニック等(学校以外)で実施された子どもの健康課題に関する介入研究のオーバービュー・レビューを行った。その結果、感染症、養育、死亡率、アレルギー疾患、行動上の問題、歯科、リプロダクティブ・ヘルス、栄養摂取、喫煙、に関する介入プログラムの内容とその効果が報告されていた。小児期における予防的介入は、生涯の健康増進にも寄与する可能性があるため、関連のエビデンス整理が今後も必要である。
4.健やか親子21(第2次)に関わる自治体等の取り組みのデータベースの構築運営
全国の自治体から「健やか親子21(第2次)」に関する母子保健事業が登録されている「取り組みのデータベース」に関しては多くの自治体から登録があった。しかし、本データベースの意義や活用方法が十分理解されていない可能性が考えられることから、日常業務へより一層活かしてもらえるよう努めていく必要がある。また今年度は、本データベースに登録されている事業から一定の基準を設けて選抜した事業を掲載する「セレクト2018」を作成した。
5.乳幼児健診の個別データ分析
個別データを用いての分析は、愛知県、静岡県、福岡県、そして、全国データを用いて実施した。乳幼児健診で得られる個別データでの分析は、各地域や全国の母子の状況を詳細に示すことができる。研究者による分析だけでなく、実際にデータを収集し状況を一番よく知っている現場の方々自身にもより活用されていくよう、利活用の重要性を伝えていくことが必要と考える。
6.母子保健情報利活用のためのガイドラインの作成
上記1~5の研究結果を踏まえ、自治体が自治体での母子保健情報を利活用して、母子保健活動の充実を図ることに寄与することを目的としたガイドライン「母子保健活動における情報利活用ガイドライン-データヘルス時代の母子保健活動の道標-」を作成した。
結論
母子保健情報の利活用推進のため、モデル地区での検証や、各地域で乳幼児健診時の情報を用いた研究を進めた。また各自治体が自らのデータを自分たちで分析することの意義と技術の普及のため、研修会を開催し、意見集約し、今後の研修会企画の立案を行った。さらに、システマティック・レビューの結果や研修会参加者等の意見を参考に、「母子保健活動における情報利活用ガイドライン-データヘルス時代の母子保健活動の道標-」を作成した。
公開日・更新日
公開日
2019-07-01
更新日
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