文献情報
文献番号
201723034A
報告書区分
総括
研究課題名
小規模事業者等におけるHACCP導入支援に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H29-食品-指定-015
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
五十君 静信(東京農業大学 応用生物科学部)
研究分担者(所属機関)
- 朝倉 宏(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
- 窪田 邦宏(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
12,179,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」では、今後の制度のあり方としてフードチェーンを構成する食品の製造・加工、調理、販売等を行う全ての食品等事業者を対象として、HACCPによる衛生管理の手法を取り入れ、我が国の食品の安全性の更なる向上を図ることが示された。一方、現状を考慮し、基準Aとして、コーデックスHACCPの7原則を用件とするものと、基準Bとして、小規模事業者や一定の業種等を対象とした一般衛生管理を基本として、事業者の実情を踏まえた手引書等を参考に必要に応じて重要管理点を設けて管理するなど、弾力的な取扱いを可能とするものとしている。このような弾力的運用は、既にHACCPを導入している米国やEUでも採用されており、我が国がこのような弾力的運用を採用し実行するためには我が国の食品衛生の実情に合わせた検討が必要であり、本研究班の目的はその基礎となる科学的知見の収集、整理、提供等を行うことである。
研究方法
研究班では、特に重要と思われる①食品業種毎(飲食店等)における手引書の模擬的実行性の検証、②食品業種毎の製造過程における検証手法の検討、殺菌剤の有効性の検討③食品業種毎の海外における制度の運用状況の調査の3つの項目について研究を行った。これらの研究を通じ、厚生労働省に製造工程における検証手法、原材料の汚染を踏まえた衛生管理目標、海外における制度の運用状況、HACCPに係る運用状況の調査、分析結果などを提案した。
製造過程における検証手法の検討では、小規模事業者等はHACCPが効果的に運用されているのかを検証するための簡便な手法の開発が必要であるが、飲食店等の製造過程の検証手法に中心温を測定する等の手法は現実的ではない。その代替手法の検討として、模擬キッチンを利用して、ハンバーグ加熱工程を実例として、現場で実用可能な検証手法について検討を行った。
市販カット野菜製品の衛生状況を把握するため、複数の事業者により製造加工された当該製品を対象として、衛生指標菌を直接塗抹法により定量検出した。また、当該製品の製造加工施設を視察し、採材及び衛生的な運用に係る情報の提供を事業者に求め、了承を得た。
海外の運用状況の調査では、米国、EU等における小規模事業者に対するHACCPに係る制度の運用状況について実態調査、分析・評価を行った。米国における小規模事業者へのHACCP指導に同行することで弾力的運用等に関する調査を行い、日本の小規模事業者への指導における弾力的運用に活用可能な部分の分析・評価を行った。
これらの検討内容について、情報収集とその整理、それぞれの事例検討から得られた今後必要と思われる科学的知見の整理を行った。
製造過程における検証手法の検討では、小規模事業者等はHACCPが効果的に運用されているのかを検証するための簡便な手法の開発が必要であるが、飲食店等の製造過程の検証手法に中心温を測定する等の手法は現実的ではない。その代替手法の検討として、模擬キッチンを利用して、ハンバーグ加熱工程を実例として、現場で実用可能な検証手法について検討を行った。
市販カット野菜製品の衛生状況を把握するため、複数の事業者により製造加工された当該製品を対象として、衛生指標菌を直接塗抹法により定量検出した。また、当該製品の製造加工施設を視察し、採材及び衛生的な運用に係る情報の提供を事業者に求め、了承を得た。
海外の運用状況の調査では、米国、EU等における小規模事業者に対するHACCPに係る制度の運用状況について実態調査、分析・評価を行った。米国における小規模事業者へのHACCP指導に同行することで弾力的運用等に関する調査を行い、日本の小規模事業者への指導における弾力的運用に活用可能な部分の分析・評価を行った。
これらの検討内容について、情報収集とその整理、それぞれの事例検討から得られた今後必要と思われる科学的知見の整理を行った。
結果と考察
飲食店等の手引書案については、その実行性について模擬キッチンを用いて検証した。また製造過程の検証手法の検討では、調理工程で食材の中心温のモニタリングを行うことは困難であることから、模擬キッチンを用いてハンバーグ加熱工程を例として検討を行った。調理中に、生じる肉汁が、赤色から透明色に変化することを観察することが、食品の中心温とどのように相関するかを検証し、実用的なモニタリング方法とその科学的根拠を提供した。
消費量が増加傾向を示す中食の材料として汎用される、カット野菜を対象として、複数の加工製造施設由来の検体を入手し、製品や原材料の別により、衛生指標菌の検出菌数が大きく異なることを明らかにしている。特に、複数の原材料から成る本製品で大腸菌群等の検出割合が高いことが見出され、当該食品の衛生指標菌としての大腸菌(β-D-glucronidase産生大腸菌)を用いる有意性が示された。
海外のHACCPの弾力的運用状況の調査では、米国における現地調査により、米国2州の4郡における小規模事業者への食品衛生監視指導の運用実態が確認された。
消費量が増加傾向を示す中食の材料として汎用される、カット野菜を対象として、複数の加工製造施設由来の検体を入手し、製品や原材料の別により、衛生指標菌の検出菌数が大きく異なることを明らかにしている。特に、複数の原材料から成る本製品で大腸菌群等の検出割合が高いことが見出され、当該食品の衛生指標菌としての大腸菌(β-D-glucronidase産生大腸菌)を用いる有意性が示された。
海外のHACCPの弾力的運用状況の調査では、米国における現地調査により、米国2州の4郡における小規模事業者への食品衛生監視指導の運用実態が確認された。
結論
HACCPの制度化にあたっては、小規模事業者や一定の業種等を対象とした一般衛生管理を基本として、事業者の実情を踏まえた手引書等を参考に必要に応じて重要管理点を設けて管理するなど、弾力的な取扱いを可能とするものとしている。
このような弾力的運用は、既にHACCPを導入している米国やEUでも採用されており、我が国がこのような弾力的運用を採用し実行するためには我が国の食品衛生の実情に合わせた検討が必要であり、本研究班ではその基礎となる科学的知見の収集、整理、提供等を行った。
このような弾力的運用は、既にHACCPを導入している米国やEUでも採用されており、我が国がこのような弾力的運用を採用し実行するためには我が国の食品衛生の実情に合わせた検討が必要であり、本研究班ではその基礎となる科学的知見の収集、整理、提供等を行った。
公開日・更新日
公開日
2018-10-03
更新日
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