文献情報
文献番号
201723004A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオテクノロジーを用いて得られた食品のリスク管理及び国民受容に関する研究
課題番号
H27-食品-一般-004
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
五十君 静信(東京農業大学 応用生物科学部)
研究分担者(所属機関)
- 手島 玲子(徳島文理大学 香川薬学部)
- 今村 知明(奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
- 小関 良宏(東京農工大学大学院 工学研究院生命機能科学部門)
- 太田 大策(大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科)
- 堀内 浩幸(広島大学大学院 生物圏科学研究科)
- 近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
- 中村 公亮(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
- 安達 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
多様な機能を有する遺伝子組換え(GM)食品が実用化に向けて開発され、バイオテクノロジー技術も多様化していることから、それらの安全性確認手法並びに規制のあり方、検知法について検討し、それらの方向性に必要な基礎的な知見と方法論を提供することを目的とする。また、GM食品に対する消費者の意識は、リスク認知と受容性のかい離が大きいねじれ現象が発生しているため、食糧生産技術として重要なGM・NBT技術について、消費者が正しく理解した上で判断するために有効なコミュニケーション手法を明らかにする。
研究方法
種子植物を宿主にした遺伝子組換え(GM)食品の安全性確保と安全性の確認手法に関する研究に加え、バイオテクノロジー技術を用いて開発の進んでいるモデルGM動物、ゲノム編集植物、GM微生物等を対象としてオミクス解析などによる網羅的技術(トランスクリプトーム、プロテオーム及びメタボローム)による解析結果を統合することで、安全性確認手法としての有用性について具体的な知見を検討した。H29年度はゲノム編集植物(ジャガイモ)を対象として、分担研究者がそれぞれの分析を担当し、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボローム解析を行った。GM微生物については、ヒト腸管上皮細胞への影響をトランスクリプトーム解析で調べた。
新規育種技術を用いて得られた食品の新しい検知法と評価法の開発、アレルゲン・エピトープ情報データベース更新、ゲノム編集およびGM関連の各技術の最新動向および各国の対応状況を調査し、世界的動向の最新状況を掌握し、リスクコミュニケーションにおける効果的な働きかけの内容を整理した。
新規育種技術を用いて得られた食品の新しい検知法と評価法の開発、アレルゲン・エピトープ情報データベース更新、ゲノム編集およびGM関連の各技術の最新動向および各国の対応状況を調査し、世界的動向の最新状況を掌握し、リスクコミュニケーションにおける効果的な働きかけの内容を整理した。
結果と考察
モデル微生物のヒト腸管上皮細胞への影響は、トランスクリプトーム解析により、宿主乳酸菌のみの影響及びGM乳酸菌の影響が、物質レベルで観察可能で、今後安全性評価への応用が期待できると思われた。
ゲノム編集によるSSR2 遺伝子破壊じゃがいも及び野生株じゃがいもの網羅的技術(トランスクリプトーム、プロテオーム及びメタボローム)による解析結果では、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析ではゲノム編集で安全性上問題となる変動は引き起こされていないものと思われた。メタボローム解析では、改変によるステロール生合成経路以外の代謝機能に与える影響は限定的であることを明らかにした。ゲノム編集ジャガイモでは,ゲノム編集を反映してSSR2 が触媒する代謝反応の下流の代謝物(コレステロール,ソラニジン)が減少していた。
新規育種技術を用いて得られた食品の新しい検知法と評価法の開発では、LAM-PCR法、LAMP法を検討・開発した。ゲノム編集に関連する論文等を調査し、ゲノム編集生物(植物と動物)の開発状況とCRISPR/Cas9に関する技術情報を文献およびデータベースから調査した。アレルゲン性予測解析ツールの1つであるアレルゲン・エピトープ情報データベースの更新・充実を行った。リスクコミュニケーションについては、国内消費者の調査を実施し、消費者の受容性の状況、受容性が変化するポイント(ライフイベント、年代等)を把握し、リスクコミュニケーションにおける効果的な働きかけの内容、セグメントを明らかにした。
ゲノム編集によるSSR2 遺伝子破壊じゃがいも及び野生株じゃがいもの網羅的技術(トランスクリプトーム、プロテオーム及びメタボローム)による解析結果では、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析ではゲノム編集で安全性上問題となる変動は引き起こされていないものと思われた。メタボローム解析では、改変によるステロール生合成経路以外の代謝機能に与える影響は限定的であることを明らかにした。ゲノム編集ジャガイモでは,ゲノム編集を反映してSSR2 が触媒する代謝反応の下流の代謝物(コレステロール,ソラニジン)が減少していた。
新規育種技術を用いて得られた食品の新しい検知法と評価法の開発では、LAM-PCR法、LAMP法を検討・開発した。ゲノム編集に関連する論文等を調査し、ゲノム編集生物(植物と動物)の開発状況とCRISPR/Cas9に関する技術情報を文献およびデータベースから調査した。アレルゲン性予測解析ツールの1つであるアレルゲン・エピトープ情報データベースの更新・充実を行った。リスクコミュニケーションについては、国内消費者の調査を実施し、消費者の受容性の状況、受容性が変化するポイント(ライフイベント、年代等)を把握し、リスクコミュニケーションにおける効果的な働きかけの内容、セグメントを明らかにした。
結論
多様な機能を有する遺伝子組換え食品が実用化に向けて開発され、バイオテクノロジー技術も多様化していることから、それらの安全性確認手法並びに規制のあり方、検知法について検討し、それらの方向性に必要と思われるモデル微生物、モデル動物、及びモデル植物を用いて、オミクス解析などによる網羅的技術を用いて基礎的な知見と安全性評価に係わる方法論を提供することができた。検知法の開発、アレルゲンデータベースの更新を行った。また、GM食品に対する消費者の意識は、リスク認知と受容性のかい離が大きいねじれ現象が発生しているため、食糧生産技術として重要なGM・NBT技術について、消費者が正しく理解した上で判断するために有効なコミュニケーション手法を検討した。
公開日・更新日
公開日
2018-06-21
更新日
-