乳幼児突然死症候群(SIDS)を含む睡眠中の乳幼児死亡を予防するための効果的な施策に関する研究

文献情報

文献番号
201707006A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児突然死症候群(SIDS)を含む睡眠中の乳幼児死亡を予防するための効果的な施策に関する研究
課題番号
H29-健やか-一般-001
研究年度
平成29(2017)年度
研究代表者(所属機関)
戸苅 創(学校法人金城学院)
研究分担者(所属機関)
  • 高嶋 幸男(学校法人国際医療福祉大学)
  • 市川 光太郎(地方独立行政法人北九州市立八幡病院)
  • 加藤 稲子(三重大学大学院医学系研究科)
  • 中川 聡(独立行政法人国立成育医療研究センター)
  • 山中 龍宏(産業技術総合研究所人工知能研究センター)
  • 成田 正明(三重大学)
  • 大澤 資樹(東海大学医学部)
  • 柳井 広之(岡山大学病院)
  • 平野慎也(大阪府立病院機構大阪母子医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 成育疾患克服等次世代育成基盤研究
研究開始年度
平成29(2017)年度
研究終了予定年度
令和1(2019)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(戸苅)NICHDと、AAPによるSTSキャンペーンについて、米国での専門家の意見を会議にて収集する
(高嶋)ヒトやモデル動物を用いて突然死の神経ネットワークの機序解明と予防法を調査研究する
(市川)一般家庭での健康乳児の睡眠環境の現状に関して疫学的因子を中心に検討する
(加藤)米国でリスク因子とされている添い寝について日本においても取り入れやすいものかどうかを検討する
(中川)保育施設での乳児の突然死の状況について検討する
(山中)3軸の加速度センサを体に取り付けることで,子どもの体動や体位を計測することが可能かを検討する
(成田)先天的因子が生後のSIDS発症にどの程度普遍的に存在しているか、PRA及びLPSを用いた実験により検討する
(大澤)問診・チェックリストの回収システムを確立し、法医学からどの程度の情報を提供できるのかを調べる
(柳井)SIDSの病理解剖が行われた施設の地域分布と施設の特性を調査する
(平野)原因不明の早期新生児死亡症例について死因および病態が解明できるのかを検討する
研究方法
(戸苅)ネイプルズにて、米国キャンペーン製作者を入れた以下のメンバーにて会議を開催した Kelly, Corwin, Moon, Hauck, McEntire, Shapiro
(高嶋)剖検例を用いた脳病理学的研究の知見をまとめ、突然死の素因と発生要因を分析し予防策を追求した
(市川)北九州市立八幡病院小児救急センターに受診した乳幼児の保護者に対してアンケート調査を行った
(加藤)生後7ヶ月以降の乳児を対象に、乳児健診に来院した乳児とその保護者を対象に無記名のアンケートを実施した
(中川)教育・保育施設等における事故報告集計から、死亡症例を抽出し、死因、死亡場所等を検討した
(山中)寝返りができるようになっている子どもの胸の中央と肩部にセンサーを取り付け、体動データを取得した
(成田)PRS投与母体及びPRS非投与母体仔ラットにLPSを投与し、24時間後の生存率、体重等を計測した
(大澤)法医学における情報源は主に警察と母子手帳であるが、乳幼児急死46症例で回答が可能であった
(柳井)日本病理剖検輯報に登録された剖検例からSIDS剖検例を抽出し,都道府県名等を過去10年にわたって調査した
(平野)突然死を含む、臨床診断がつかなかった原因不明の早期新生児死亡症例について可能な対応を検討した
結果と考察
(戸苅)米国のキャンペーンの経験から、我が国に適応する内容の指摘が得られた
(高嶋)呼吸調節や覚醒反応の低下が判明し、SIDSにおける多神経伝達ネットワークの異常が示唆された
(市川)対象乳児の栄養法:おしゃぶり:夜寝かせる部屋:うつ伏せを見つけた時の対応等について結果が得られた
(加藤)生後2-3ヶ月頃までは母親の隣または近くに寝かし、月齢が進むにつれて添い寝をするという環境がみられた
(中川)教育・保育施設等での死亡例は13例で、うち7例が乳児(0歳児)で、その実態環境が得られた
(山中)軸加速度センサで子どもの体位・体動を計測することが可能であることがわかった
(成田)ウイルス感染歴を有する妊娠ラットにPRSを投与した群、即ち妊娠中のウイルス感染モデル群で有意に低下していた
(大澤)予防接種後の急死例の剖検所見としてはリンパ節腫大を伴う肺炎を呈していた
(柳井)SIDSの病理解剖症例の分布は地域差があり,SIDSに対する取扱いの違いが考えられた
(平野)CPCを通じて、臨床医と病理医で詳細に検討することが病態解明に重要であった
結論
(戸苅)国際会議より、とりわけ寝かせ方に関するキャンペーンは、我が国に適した形で、検討することが必要である
(高嶋)SIDS例の脳幹の神経伝達物質や受容体の増加や低下で多神経伝達ネットワークの異常が示唆された
(市川)おしゃぶり、指しゃぶりは過半数がしておらず、発達に伴い、添い寝をしはじめることが予想された
(加藤)乳児を母親または両親と同じ部屋に寝かせ、月齢が進むにつれて、大人用ベッドまたは布団に寝かせることが予想された
(中川)わが国での、保育施設での乳児の突然死は、死亡時の月齢が通常のSIDS症例よりも高月齢であった
(山中)3軸加速度センサーで、子どもが仰向けか、うつ伏せかの判別が可能であった
(成田)動物実験にて先天的なウイルス感染を有する状態では、生後の細菌感染に脆弱であることが示唆された
(大澤)ワクチン接種後の健康被害については、法医学的検討が介入できるものと思われた
(柳井)SIDSの病理解剖症例の分布は地域差があり,SIDSに対する取扱いの違いを反映していた
(平野)臨床情報と剖検診断を詳細に検討することが病態解明に有用で、乳児突然死症例にも応用できると考えられた

公開日・更新日

公開日
2018-11-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2018-11-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201707006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
8,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,686,784円
人件費・謝金 1,277,374円
旅費 2,574,718円
その他 461,204円
間接経費 2,400,000円
合計 10,400,080円

備考

備考
差異は80円。
自己資金77円と預金利息3円、合計80円

公開日・更新日

公開日
2018-11-01
更新日
-