文献情報
文献番号
201621013A
報告書区分
総括
研究課題名
粉じん作業における除じん装置の有効性の検討
課題番号
H28-労働-一般-007
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
明星 敏彦(産業医科大学 産業生態科学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 大藪 貴子(産業医科大学 産業生態科学研究所)
- 筒井 隆夫(産業医科大学 産業生態科学研究所)
- 村田 克(早稲田大学 理工学術院)
- 名古屋俊士(早稲田大学 理工学術院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
有機溶剤中毒予防規則などでは有効な発散源対策があり、かつ作業環境測定結果が第一管理区分であれば局所排気装置がないことも承認されている。しかし、粉じん障害防止規則については有害物の除害装置の原理が異なることから別に有効な発散源対策の有効性を検討する必要がある。
本研究では、粉じん障害予防規則11条第4項の「移動式の局所排気装置又は別表第2第7項に掲げる特定粉じん発生源に設ける局所排気装置であって、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置を付設したものにあっては、」排出口は、屋外に設けられなくてもよいことに着目して、この除じん装置の作業現場での性能を評価し、作業環境の現状を把握する。
さらにろ過除じん方式除じん装置のろ材の捕集性能を実験室で検証する。除じん装置のろ材に応用することで初期捕集性能を推定する。またこのろ材が組みこまれた除じん装置の実際の性能を測定して有効性について検討する。本研究ではこれらの除じん装置の有効性についてのエビデンスを得ることを目的とする。
本研究では、粉じん障害予防規則11条第4項の「移動式の局所排気装置又は別表第2第7項に掲げる特定粉じん発生源に設ける局所排気装置であって、ろ過除じん方式又は電気除じん方式による除じん装置を付設したものにあっては、」排出口は、屋外に設けられなくてもよいことに着目して、この除じん装置の作業現場での性能を評価し、作業環境の現状を把握する。
さらにろ過除じん方式除じん装置のろ材の捕集性能を実験室で検証する。除じん装置のろ材に応用することで初期捕集性能を推定する。またこのろ材が組みこまれた除じん装置の実際の性能を測定して有効性について検討する。本研究ではこれらの除じん装置の有効性についてのエビデンスを得ることを目的とする。
研究方法
実際に使用されている小型のろ過除じん方式の除じん装置について、除じん装置前後の粉じん濃度、作業環境中の粉じん濃度、作業者の曝露濃度を測定するためそれぞれ光散乱型粉じん計に分粒装置を取り付けてデータを連続測定することで相互関係を把握した。またハイボリウムエアサンプラを用いて現場の粉じんの質量濃度換算係数を求めて質量濃度を得た。環境中の粉じん粒子の成分についても走査型電子顕微鏡のEDX分析を行った。
小型の除じん装置について日本粉体工業技術協会が招集しているISO/TC142/WG5国内委員会にオブザーバー参加し、さらに製造事業所を訪問して情報収集を行った。
小型の除じん装置について日本粉体工業技術協会が招集しているISO/TC142/WG5国内委員会にオブザーバー参加し、さらに製造事業所を訪問して情報収集を行った。
結果と考察
窯業や溶接の作業場において実際に使用されている小型のろ過除じん方式の除じん装置について、吸引前後の粉じん濃度、作業環境の状況、作業者の曝露状況を測定して、粉じんの現状を把握し、さらに粉じん濃度は光散乱型粉じん計を複数使用し、データを連続測定することで、測定点の相互関係を把握した。また現場の粉じんの質量濃度換算係数を求めて質量濃度を得た。環境中の粉じん粒子の成分についても分析した。
除じん装置の入口・出口の粉じん濃度を測定して比(PM2.5粒子通過率)を求めた。除じん装置の管理を良好に実施している場合は、粉じんの平均通過率は3.6%や1.6%で良好であった。しかし、除じん装置は粉じん堆積とともに流量も捕集性能も変化し、目安となる適当な定量的指標がないため管理の方策は現状では目視であり、除じん装置管理者の経験に依存していることがわかった。
除じん装置の入口・出口の粉じん濃度を測定して比(PM2.5粒子通過率)を求めた。除じん装置の管理を良好に実施している場合は、粉じんの平均通過率は3.6%や1.6%で良好であった。しかし、除じん装置は粉じん堆積とともに流量も捕集性能も変化し、目安となる適当な定量的指標がないため管理の方策は現状では目視であり、除じん装置管理者の経験に依存していることがわかった。
結論
1)除じん装置に関する情報収集による現状分析
ISOのワーキンググループにおいて送風機内蔵型のパルスジェット方式ろ過式除じん装置の性能評価方法について捕集効率が低い粉じん堆積の少ない初期の状況については短時間ということで対象としていない。
2)測定装置の検討結果
呼吸域の粉じん濃度は、研磨作業も溶接も定置の粉じん計(1~1.5mくらいの距離)に比べ高い値を示した。この濃度は除じん装置入口濃度と比べて同じレベル(測定2)や低いレベル(測定3)であった。
3)作業環境で使用されている集塵装置の性能測定
除じん装置の前後でPM2.5サイクロンを取り付けた粉じん計で濃度を測定して濃度比(PM2.5粒子通過率)を求めた。除じん装置の管理を良好に実施している場合は、除じん装置の平均通過率は3.6%や1.6%で良好であった。除じん装置は粉じん堆積とともに流量も捕集性能も変化し、目安となる適当な定量的指標がないため管理の方策は、現状では目視であり、除じん装置管理者の経験に依存している。
ISOのワーキンググループにおいて送風機内蔵型のパルスジェット方式ろ過式除じん装置の性能評価方法について捕集効率が低い粉じん堆積の少ない初期の状況については短時間ということで対象としていない。
2)測定装置の検討結果
呼吸域の粉じん濃度は、研磨作業も溶接も定置の粉じん計(1~1.5mくらいの距離)に比べ高い値を示した。この濃度は除じん装置入口濃度と比べて同じレベル(測定2)や低いレベル(測定3)であった。
3)作業環境で使用されている集塵装置の性能測定
除じん装置の前後でPM2.5サイクロンを取り付けた粉じん計で濃度を測定して濃度比(PM2.5粒子通過率)を求めた。除じん装置の管理を良好に実施している場合は、除じん装置の平均通過率は3.6%や1.6%で良好であった。除じん装置は粉じん堆積とともに流量も捕集性能も変化し、目安となる適当な定量的指標がないため管理の方策は、現状では目視であり、除じん装置管理者の経験に依存している。
公開日・更新日
公開日
2017-05-24
更新日
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