医療等IDの導入を前提とした医療情報を患者自身が管理可能な基盤に関する制度・技術の検討

文献情報

文献番号
201620042A
報告書区分
総括
研究課題名
医療等IDの導入を前提とした医療情報を患者自身が管理可能な基盤に関する制度・技術の検討
課題番号
H28-医療-指定-022
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
山本 隆一(一般財団法人医療情報システム開発センター 理事長室)
研究分担者(所属機関)
  • 樋口 範雄(東京大学大学院法学政治学研究科)
  • 中島 直樹(九州大学病院メディカルインフォメーションセンター)
  • 田中 勝弥(東京大学医学部附属病院企画情報運営部)
  • 吉田 真弓(一般財団法人医療情報システム開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は現在整備の議論が行われている医療等IDについての活用方策やユースケースを明らかにし、その一つしてのお薬手帳、かかりつけ連携手帳、生活習慣病手帳などが電子化され、患者等がみずからの医療情報を管理・活用することが具体的な政策目標となっていることを踏まえ、患者等のプライバシーの確保と情報の利活用においてより高次のバランスが求められることから、その為の制度整備および、整備されるべき技術基盤の要件を明らかにすることにある。
研究方法
本年度は医療等IDが未だ議論が終結していないことから、検討状況の概況をレビューするともに、現状の同意に関する状況を地域医療連携やPHRについてインタビュー調査ならびにWEBアンケート調査を山本と吉田が実施し、詳細は吉田の分担研究報告書に示す。また、国際的な標準化動向としてISO TS17975をレビューするとともに海外の状況を調査したが、田中の分担研究報告書に示す。米国の同意とプライバシーリスクへの対応を調査し、樋口の分担研究報告書に示す。さらに大学病院における医療等IDの導入の影響を調査したが、中島の分担研究報告書に示す。また研究代表者が有識者として制定に関与した世界医師会の台北宣言も調査をおこなった。さらに「ひとを対象とする医学系研究に関する倫理指針」のレビューも行った。
結果と考察
田中、吉田、樋口の研究を含め、IDが導入され、医療情報の利用が高度化した場合、あるいは電子化された情報が大量に蓄積された場合の利活用に関する同意および本人関与のあり方は、我が国はもちろんのこと、諸外国でも確立されているとは言えないのが現状と考えられる。ISO TS17975も同意のあり方の類型化は試みられているが、比較的表面的あるいは形式的な分類であり、世界医師会の台北宣言をすべて実現できるようなものではない。台北宣言でも具体的な方法に言及があるわけではなく、その方法を公表する、にとどめている。 医療等IDが現時点では方向性は確定していないが、どのような方式であれ実装・運用されれば、様々な意味で情報の利活用が進むことは間違いなく、それまでに国民と医療・介護関係事業者、あるいは研究者との間で意識のずれがおこらないような同意のあり方を整理する必要があると考えられる。この整理自体本研究の目的の一つでるが、現時点では明確な整理は未達成で、次年度につなげたい。
結論
本研究の目的は現在整備の議論が行われている医療等IDについての活用方策やユースケースを明らかにし、その一つしてのお薬手帳、かかりつけ連携手帳、生活習慣病手帳などが電子化され、患者等がみずからの医療情報を管理・活用することが具体的な政策目標となっていることを踏まえ、患者等のプライバシーの確保と情報の利活用においてより高次のバランスが求められることから、その為の制度整備および、整備されるべき技術基盤の要件を明らかにすることにある。医療等IDの検討状況を概観し、課題を挙げ、実装・運用されることを前提として医療・健康情報の利活用が高度化した場合の同意のあり方について、インタビュー・WEBアンケート調査、ISO TS17975のレビューと各国の同意のあり方についての調査、米国における同意とプライバシーリスクへの対応状況の調査、大規模な大学病院における医療等IDの導入による影響調査を行い、ひとを対象とする医学系研究に関する倫理指針および世界医師会の台北宣言をレビューして、同意のあり方の論点を整理した。次年度はこの論点整理を元に医療等IDの導入を前提とする医療情報の利活用における同意と本人関与について整理し、提言をまとめたい。

公開日・更新日

公開日
2018-06-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201620042Z