要救護者・救急隊・医療機関でシームレスな多言語緊急度判断支援ツールの開発普及研究

文献情報

文献番号
201620003A
報告書区分
総括
研究課題名
要救護者・救急隊・医療機関でシームレスな多言語緊急度判断支援ツールの開発普及研究
課題番号
H27-医療-一般-003
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
吉澤 穣治(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 嶋津 岳士(大阪大学  医学部)
  • 溝端 康光(大阪市立大学 医学部 )
  • 本多 満(東邦大学 医学部)
  • 武田 聡(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 松藤 凡(聖路加国際病院 小児外科)
  • 飯島 正紀(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 井上 信明(国立国際医療研究センター 国際医療協力局)
  • 六車 崇(横浜市立大学 医学部)
  • 世良 俊樹(東京医科歯科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成27年度の研究において、これまでに公開されている多くの緊急度判定支援ツールについて、内容を分析・評価した。そして、緊急度判定支援ツール作成に必要な標準的な判定基準を作成して、これを多言語化した。これを基に平成28年度は、緊急度判定支援ツールとして、アンドロイドでもiPhoneでも使用可能なアプリケーションを作成して、公開することを主目的とした。
また、国民自らが緊急度を判定するには限界があるため、電話による緊急度の相談事業である#7119や#8000事業の拡大・普及が進められている。しかし、これらの相談は、多くの聴覚・視覚障害者などが利用するには不都合な点が多々存在する。そこで、これまでに行われてこなかった視覚・聴覚障害者に対する緊急度判定支援についての調査を実施して、課題を抽出することをを研究目的とした。
研究方法
(緊急度判定支援ツールの作成)緊急度判定基準に基づき、成人・高齢者と小児に分けた緊急度判断支援ツールを作成した。主訴は成人10項目、小児13項目について検討した。MYSOSというアプリケーションを作成し、これを多言語化した。
(聴覚・視覚障害者が利用できる緊急度判定支援ツール)東京と京都の聴覚障害者団体を通じて、200人の聴覚障害者に調査依頼書兼回答用紙を配布して、現状について調査した。当初、視覚障害者に関しても調査対象と考えていたが、関係団体との調整に時間を要したため、今年度の調査研究を見送った。
(大阪府における小児用緊急度判定・救急医療サービス提供アプリケーションシステムに関する研究)緊急度判定の結果、医療機関受診が必要となった場合に、直近の医療機関を案内できるアプリケーションが必要となる。この機能を備えたアプリケーションの開発について大阪府での仕組みを検討した。
結果と考察
#7119や#8000事業に寄せられる電話相談の中で、相談頻度の高い主訴を成人10、小児13種類検討し、緊急度判定基準を作成した。これを基に、国民自らが使用する緊急度判定支援ツールを作成して10ヶ国語への翻訳を行った。このツールはアンドロイド・iPhone両者で使用が可能であるMYSOSというアプリケーションで国民へ公開した。
(聴覚・視覚障害者が利用できる緊急度判定支援ツール)
回答数178人(回答率89%)緊急度の判断に困ったことがある人が48%であった。テレビ電話を使って、医療機関の受診が必要かを相談できるようなサービスが必要と回答した人が80%であった。
(大阪府における小児用緊急度判定・救急医療サービス提供アプリケーションシステムに関する研究) 2016年末までに7,780件がダウンロードされ、利用回数は延べ11,560回にのぼり、11,560回のうち「119番要請」や「医療機関の情報提供」など必要なサービスを提供したのは4,979回であった。

結論
①緊急度判定支援ツールの判定基準に基づき、日本語・英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語・韓国語・中国語(2種類)の計10か国語の緊急度判定支援ツールを作成し、公開した。
②#7119や#8000事業において電話リレーシステムなどを導入することによって、聴覚障害者からの問い合わせにも対応できるシステム構築の検討が必要である。
③夜間や休日に受診可能な医療機関情報がリアルタイムに案内できるシステムの開発が今後の課題である。

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2021-11-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201620003B
報告書区分
総合
研究課題名
要救護者・救急隊・医療機関でシームレスな多言語緊急度判断支援ツールの開発普及研究
課題番号
H27-医療-一般-003
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
吉澤 穣治(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201620003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
緊急度判断支援ツールは様々な基準で作成されていたが、本研究によって緊急度判定支援基準作りが実施できた。この緊急度判断基準をもとに、緊急度判定支援ツールを無料でダウンロード可能なアプリケーションとして公開することができた。この活用を促すことによって、多くの国民に利用普及できるものと考えられる。さらに10か国語対応としたので、多くの在日外国人やオリンピック時の対策にも有効活用が期待できる。

臨床的観点からの成果
これまでの緊急度判定が救急車を呼ぶ・呼ばないを基準としたものであったが、地域によっては、救急車を呼ぶよりも自力で医療機関を受診する方が速い場合もあり、今回の基準は医療機関の受診の必要性の有無を基準にしたもので、救急行政以外の各救急病院における電話での受診案内でも活用できるものである。
外国人が救急外来を受診した際のトリアージに、この多言語アプリケーションを活用することで、より正確なトリアージが可能となる。
ガイドライン等の開発
緊急度判定基準はガイドラインに匹敵する基準となる。
その他行政的観点からの成果
聴覚障害者が緊急度判断支援を活用できるようにするための、電話リレーシステムを利用した相談体制の必要性が示唆され、今後の政策の基礎資料を提供することができた。聴覚障害者でも利用可能な電話相談システムの構築の必要性が、調査結果から得られ、今後の政策立案の根拠となりうる。
その他のインパクト
2017年1月11日 朝日新聞掲載:「子どもの急病相談電話のビッグデータ化」が平成29年度から開始されるが、ここで用いられる緊急度判定基準として本研究で作成した基準を用いる予定である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2019-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201620003Z