肝疾患患者を対象とした相談支援システムの構築、運用、評価に関する研究

文献情報

文献番号
201619005A
報告書区分
総括
研究課題名
肝疾患患者を対象とした相談支援システムの構築、運用、評価に関する研究
課題番号
H26-肝政-指定-004
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 古田 清(独立行政法人国立病院機構 まつもと医療センター松本病院 内科)
  • 中牟田 誠(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器内科)
  • 三田 英治(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器科)
  • 高野 弘嗣(独立行政法人国立病院機構 呉医療センター 消化器内科)
  • 肱岡 泰三(独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター 消化器科)
  • 室 豊吉(独立行政法人国立病院機構 大分医療センター 消化器科)
  • 小松 達司(独立行政法人国立病院機構 横浜医療センター 臨床研究部)
  • 正木 尚彦(国立国際医療研究センター病院 中央検査部門)
  • 太田 肇(独立行政法人国立病院機構 金沢医療センター 消化器科)
  • 佐藤 丈顕(独立行政法人国立病院機構 小倉医療センター 肝臓病センター)
  • 勝島 慎二(独立行政法人国立病院機構 京都医療センター 消化器内科)
  • 島田 昌明(独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター 消化器科)
  • 杉 和洋(独立行政法人国立病院機構 熊本医療センター 消化器内科)
  • 二上 敏樹(独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 臨床研究部)
  • 吉澤 要(独立行政法人国立病院機構 信州上田医療センター 肝臓内科)
  • 中尾 一彦(国立大学法人長崎大学 医学部 消化器内科)
  • 矢野 博久(国立大学法人久留米大学 医学部 病理学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
41,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 肝疾患患者を対象とした相談支援システムの構築、運用、評価に関する研究をおこなうことで、完成度の高い肝疾患患者を対象とした相談支援システム(アプリケーション)を構築し、主に肝疾患患者相談支援を実施している肝疾患連携拠点病院や専門医療施設に本システムを配布することで、肝疾患患者の悩みの軽減、QOLの向上を目指すことを目的とする。
研究方法
 平成23年-25年の3年間に実施した病態別の患者の実態把握のための調査および肝炎患者の病態に即した相談に対応できる相談員育成のための研修プログラム策定に関する研究班で集積された6,331名の患者アンケート調査結果と1,454名の肝疾患患者の自由記述を、それぞれデータマイニング解析、テキストマイニング解析をおこなうことで、肝疾患患者を対象とした相談支援システム(アプリケーション)のプロトタイプを構築する。
 C型肝炎の新規抗ウイルス治療法(シメプレビルを用いた3剤療法、インターフェロンフリー内服治療法)の治療効果、患者QOLを評価する為に、患者登録をおこなう。
結果と考察
1.肝疾患患者を対象とした相談支援システム(アプリケーション)のプロトタイプを構築した。
2.C型慢性肝炎、肝硬変に対するDAAs(Direct Acting Antivirals)治療法の評価
ウイルス駆除率は、シメプレビル3剤併用治療導入530症例で76.8%、アスナプレビル/ダクラタスビル併用内服2剤治療導入1,063例で89.5%、ソフォスブビル/リバビリン併用内服2剤治療導入907症例では95.9%、ハーボニー(ソフォスブビル/レディパスビル合剤)治療導入1927症例では99.3%であった。
3.DAAs治療導入症例の高LDL血症
SVR後の問題点としてPost SVR syndrome(高LDL血症、HBVの再活性化、発癌)という概念を提起した。DAAs治療中の高LDL血症にはDAAsの種類とHCVコア蛋白量の変化が関係すること(PlosOne 2016)、SVR後の発癌予測にM2BPGiが有用であること(PlosOne2015)、を報告した。
結論
 平成23年-25年の3年間に実施した病態別の患者の実態把握のための調査および肝炎患者の病態に即した相談に対応できる相談員育成のための研修プログラム策定に関する研究班で集積された6,331名の患者アンケート調査結果と1,454名の肝疾患患者の自由記述を、それぞれデータマイニング解析、テキストマイニング解析をおこなうことで、肝疾患患者を対象とした相談支援システム(アプリケーション)のプロトタイプを構築した。
 各施設での倫理委員会承認後、本システムを実際に用いて患者相談、支援をおこないながら、本システムを評価するとともに改良を重ねた。
 C型肝炎の新規抗ウイルス治療法(シメプレビル3剤併用治療、アスナプレビル/ダクラタスビル併用内服2剤治療、フォスブビル/リバビリン併用内服2剤治療、ハーボニー(ソフォスブビル/レディパスビル合剤)治療)の治療効果、患者QOLを評価する為に患者登録をおこない、効果判定をおこなったところ、ソフォスブビル/リバビリン併用内服2剤治療導入例では95.9%、ハーボニー(ソフォスブビル/レディパスビル合剤)治療導入例では99.3%の高いウイルス駆除率であった。

公開日・更新日

公開日
2017-10-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-10-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201619005B
報告書区分
総合
研究課題名
肝疾患患者を対象とした相談支援システムの構築、運用、評価に関する研究
課題番号
H26-肝政-指定-004
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 古田 清(独立行政法人国立病院機構 まつもと医療センター松本病院 内科)
  • 中牟田 誠(独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 消化器内科)
  • 三田 英治(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器科)
  • 高野 弘嗣(独立行政法人国立病院機構 呉医療センター 消化器内科)
  • 肱岡 泰三(独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター 消化器科)
  • 室 豊吉(独立行政法人国立病院機構 大分医療センター 消化器科)
  • 小松 達司(独立行政法人国立病院機構 横浜医療センター 臨床研究部)
  • 正木 尚彦(国立国際医療研究センター病院 中央検査部門)
  • 太田 肇(独立行政法人国立病院機構 金沢医療センター 消化器科)
  • 佐藤 丈顕(独立行政法人国立病院機構 小倉医療センター 肝臓病センター)
  • 勝島 慎二(独立行政法人国立病院機構 京都医療センター 消化器内科)
  • 島田 昌明(独立行政法人国立病院機構 名古屋医療センター 消化器科)
  • 杉 和洋(独立行政法人国立病院機構 熊本医療センター 消化器内科)
  • 二上 敏樹(独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 臨床研究部)
  • 吉澤 要(独立行政法人国立病院機構 信州上田医療センター 肝臓内科)
  • 中尾 一彦(国立大学法人長崎大学 医学部 消化器内科)
  • 矢野 博久(国立大学法人久留米大学 医学部 病理学講座)
  • 上司 裕史(独立行政法人国立病院機構 東京病院 臨床研究部)
  • 米田 俊貴(独立行政法人国立病院機構 京都医療センター 消化器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 肝疾患患者を対象とした相談支援システムの構築、運用、評価に関する研究をおこなうことで、完成度の高い肝疾患患者を対象とした相談支援システム(アプリケーション)を構築し、主に肝疾患患者相談支援を実施している肝疾患連携拠点病院や専門医療施設に本システムを配布することで、肝疾患患者の悩みの軽減、QOLの向上を目指すことを目的とする。
研究方法
 平成23年-25年の3年間に実施した病態別の患者の実態把握のための調査および肝炎患者の病態に即した相談に対応できる相談員育成のための研修プログラム策定に関する研究班で集積された6,331名の患者アンケート調査結果と1,454名の肝疾患患者の自由記述を、それぞれデータマイニング解析、テキストマイニング解析をおこなうことで、肝疾患患者を対象とした相談支援システム(アプリケーション)のプロトタイプを構築する。
 C型肝炎の新規抗ウイルス治療法(シメプレビルを用いた3剤療法、インターフェロンフリー内服治療法)の治療効果、患者QOLを評価する為に、患者登録をおこなう。
結果と考察
1.肝疾患患者を対象とした相談支援システム(アプリケーション)のプロトタイプを構築した。
2.C型慢性肝炎、肝硬変に対するDAAs(Direct Acting Antivirals)治療法の評価
 ウイルス駆除率は、シメプレビル3剤併用治療導入530症例で76.8%、アスナプレビル/ダクラタスビル併用内服2剤治療導入1,063例で89.5%、ソフォスブビル/リバビリン併用内服2剤治療導入907症例では95.9%、ハーボニー(ソフォスブビル/レディパスビル合剤)治療導入1927症例では99.3%であった。
3.RAVs(Resistance-Associated Variants)
 C型慢性肝炎患者145例を対象にNS5AのRAVsの頻度を検討したところ、L31M 6.2%、Y93H 21.4%であった。
4.肝癌発生リスクマーカーとしてのWFA+-M2BP
 肝線維化に関連する新たな糖鎖マーカーであるWFA+-M2BPが、C型慢性肝炎患者の肝癌発生リスクマーカーとなりうることを明らかにした(Hepatology 2014)。
5.DAAs治療導入症例の高LDL血症
 SVR後の問題点としてPost SVR syndrome(高LDL血症、HBVの再活性化、発癌)という概念を提起した。DAAs治療中の高LDL血症にはDAAsの種類とHCVコア蛋白量の変化が関係すること(PlosOne 2016)、SVR後の発癌予測にM2BPGiが有用であること(PlosOne2015)、を報告した。
結論
 平成23年-25年の3年間に実施した病態別の患者の実態把握のための調査および肝炎患者の病態に即した相談に対応できる相談員育成のための研修プログラム策定に関する研究班で集積された6,331名の患者アンケート調査結果と1,454名の肝疾患患者の自由記述を、それぞれデータマイニング解析、テキストマイニング解析をおこなうことで、肝疾患患者を対象とした相談支援システム(アプリケーション)のプロトタイプを構築した。
 各施設での倫理委員会承認後、本システムを実際に用いて患者相談、支援をおこないながら、本システムを評価するとともに改良を重ねた。
 C型肝炎の新規抗ウイルス治療法(シメプレビル3剤併用治療、アスナプレビル/ダクラタスビル併用内服2剤治療、フォスブビル/リバビリン併用内服2剤治療、ハーボニー(ソフォスブビル/レディパスビル合剤)治療)の治療効果、患者QOLを評価する為に患者登録をおこない、効果判定をおこなったところ、ソフォスブビル/リバビリン併用内服2剤治療導入例では95.9%、ハーボニー(ソフォスブビル/レディパスビル合剤)治療導入例では99.3%の高いウイルス駆除率であった。

公開日・更新日

公開日
2017-10-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-10-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201619005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 本研究において、肝疾患患者を対象とした相談支援システムを構築した。本システムを用いると、相談対応者は次の4項目が可能である。①相談内容の記録・検索・編集することができ、利用者内で意見交換もできる、②全国ベースで患者の相談事項・関心事の動向がタイムリーに分かる。③相談対応の模範事例が参照できる。④患者さんに寄り添いながら、個々の肝疾患患者の背景を推定できる。今後は全国の肝疾患診療連携拠点病院や本システムを希望する医療機関での運用を予定している。
臨床的観点からの成果
 肝疾患患者相談支援システムを開発した。このシステム運用により肝疾患患者の悩みの軽減、QOLの向上が期待できる。C型慢性肝炎に対する抗ウイルス剤(DAAs治療)のウイルス排除効果、LDL上昇関連因子(治療の種類とHCVコア蛋白量変化)、肝線維化関連糖鎖マーカーのM2BPGiは治療前でなく治療後の肝癌発生リスクマーカーである、等を明らかにした。SVR後の問題点としてPost SVR syndrome(高LDL血症、HBVの再活性化、発癌)という概念を提起した。
ガイドライン等の開発
特に無し。
その他行政的観点からの成果
特に無し。
その他のインパクト
特に無し。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
85件
その他論文(和文)
16件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
47件
学会発表(国際学会等)
14件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Yamasaki K, Yatsuhashi H et al.
Elevated serum levels of WFA+ -M2BP predict the development of hepatocellular carcinoma in hepatitis C patients.
Hepatology , 60 (5) , 1563-1570  (2014)
原著論文2
Sasaki R, Yatsuhashi H et al.
Serum Wisteria Floribunda Agglutinin-Positive Mac-2 Binding Protein Values Predict the Development of Hepatocellular Carcinoma among Patients with Chronic Hepatitis C after Sustained Virological Response.
PLoS One , 10 (6) , e0129053-  (2015)

公開日・更新日

公開日
2018-03-20
更新日
2019-09-27

収支報告書

文献番号
201619005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
48,945,000円
(2)補助金確定額
48,945,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 12,370,060円
人件費・謝金 539,782円
旅費 4,212,721円
その他 23,877,437円
間接経費 7,945,000円
合計 48,945,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-05-02
更新日
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