文献情報
文献番号
201615005A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症地域包括ケア実現を目指した地域社会創生のための研究
課題番号
H28-認知症-一般-003
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
神崎 恒一(杏林大学 医学部高齢医学)
研究分担者(所属機関)
- 山口 晴保(群馬大学 大学院保健学研究科)
- 櫻井 孝(国立長寿医療研究センター もの忘れセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症政策研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
3,770,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は認知症の人の意思が尊重され、住み慣れた地域でできる限り長く暮らしていける社会を実現すること、認知症高齢者にやさしい地域を作ることを大目的としている。今年度は、①認知症の病期(軽度、中等度、重度)に応じた適時・適切な医療・介護等の提供するための生活支援策(ケアパス)を構築する、②認知症への理解を深めるための普及・啓発を推進する、③認知症高齢者にやさしいまちを作るために何が必要かを市民に問うためのアンケート調査を行う、④家族教室の効果を検証するなど、認知症の地域包括ケア社会実現のための具体的な仕組み作りを推進することを目的とした。
研究方法
1. 認知症の病期分類(軽度、中等度、重度)に基づく適時・適切な医療・介護等を提供するための生活支援策(ケアパス)の作成。
2. 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進。その際、市民を対象に、“認知症にやさしいまち”作りのために何が必要かを、自分の家族が認知症になった場合と自分が認知症になった場合の2通りの内容でアンケート調査を行った。
3. 認知症のひと本人、家族介護者を対象として医療・介護等の介入(家族教室、認知症カフェ、サロン、介護者広場、家族の会等)を行い、その効果を本人のQOLや家族の介護負担度等客観的な指標を用いて評価する。
4. 家族教室の効果測定(RCT study)randomized control studyで検証する。
5. 前橋市認知症初期集中支援事業ならびに老年病研究所附属病院認知症疾患医療センターもの忘れ外来通院患者を対象に、DBDスケール(28項目版)による行動障害の評価のデータを後ろ向きに検討した。
2. 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進。その際、市民を対象に、“認知症にやさしいまち”作りのために何が必要かを、自分の家族が認知症になった場合と自分が認知症になった場合の2通りの内容でアンケート調査を行った。
3. 認知症のひと本人、家族介護者を対象として医療・介護等の介入(家族教室、認知症カフェ、サロン、介護者広場、家族の会等)を行い、その効果を本人のQOLや家族の介護負担度等客観的な指標を用いて評価する。
4. 家族教室の効果測定(RCT study)randomized control studyで検証する。
5. 前橋市認知症初期集中支援事業ならびに老年病研究所附属病院認知症疾患医療センターもの忘れ外来通院患者を対象に、DBDスケール(28項目版)による行動障害の評価のデータを後ろ向きに検討した。
結果と考察
今年度は、①東京都三鷹市、武蔵野市において、認知症の病期に基づく医療・介護・福祉サービスの具体的な提供策を示すために認知症ケアパスの作成、②“認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進”と“認知症にやさしいまち”を作るために何が必要かを市民目線で考えるためのアンケート調査を実施した。①認知症ケアパスには、認知症の病期に応じた各地域の医療・介護・福祉支援サービスが具体的に、マップとともに示されており、その中には「H24-認知症-一般-002」で構築した、かかりつけ医・専門医療機関・在宅相談機関の3者による病・診・介護の連携体制のほか、認知症相談窓口、介護者広場、オレンジカフェ、家族交流の場、認知症・介護学習の場など“認知症の人やその家族の視点の重視”、“認知症の人の介護者への支援”策も盛り込まれている。②“認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進”活動として、三鷹市で“認知症にやしいまち三鷹”啓発事業を平成28年に2回行った。1回は講演会形式、もう1回はシンポジウムとワークショップ形式をとった。同時に、市民を対象に、自分の家族が認知症になった場合と自分が認知症になった場合でまちに何が必要か、のアンケート調査を実施した(回答者数105名)。その結果、自分の家族が認知症になった場合は、医療体制の充実、相談できる場所がはっきりわかることを必要と考えており、自分が認知症になった場合は、“元気なうちに自分の意思を伝えておく仕組み作り”、“介護や生活支援のためのサービスがどこで受けられるかわかるようにすること”、“世の中の見守り体制が充実すること”の必要性の高さがうかがわれた。このような結果は府中市で行ったアンケート(回答者数141名)でも同様であった。今後、地域資源がどの程度活用され、それがはたして認知症の人やその家族に役立っているかを検証することと併せて上記アンケート結果をもとに“認知症にやさしいまち”作りを推進していく予定である。
結論
今年度は、①東京都三鷹市、武蔵野市で認知症の病期に基づく医療・介護・福祉サービスの具体的な提供策を示すために認知症ケアパス冊子を作成した。②“認知症にやさしいまち”を作るために何が必要かを市民目線で考えるために、住民を対象にアンケート調査を行った結果、自分の家族が認知症になった場合と自分が認知症になった場合でまちに何が必要かの意識の違いを明らかにすることができた。今後、地域資源がどの程度活用されていて、それが認知症の人やその家族に役立っているかを検証し、アンケート結果をもとに“認知症にやさしいまち”作りを推進していく予定である。
公開日・更新日
公開日
2018-02-21
更新日
-