介護予防を推進する地域づくりを戦略的に進めるための研究

文献情報

文献番号
201614006A
報告書区分
総括
研究課題名
介護予防を推進する地域づくりを戦略的に進めるための研究
課題番号
H28-長寿-一般-002
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 克則(千葉大学 予防医学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 斉藤 雅茂(日本福祉大学 社会福祉学部)
  • 堀井 聡子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 佐々木 由理(千葉大学 予防医学センター)
  • 辻 大士(千葉大学 予防医学センター)
  • 亀田 義人(千葉大学 予防医学センター)
  • 近藤 尚己(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 岡田 栄作(浜松医科大学 医学部)
  • 菖蒲川 由郷(新潟大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 谷 友香子(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 三澤 仁平(日本大学 医学部)
  • 横道 洋司(山梨大学大学院 社会医学講座)
  • 相田 潤(東北大学大学院 歯学研究科)
  • 伊藤 美智予(認知症介護研究・研修センター)
  • 白井 こころ(琉球大学 法文学部)
  • 林 尊弘(名古屋大学 未来社会創造機構)
  • 花里 真道(千葉大学 予防医学センター)
  • 鈴木 規道(千葉大学 予防医学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
平成28(2016)年度
研究終了予定年度
平成30(2018)年度
研究費
6,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成22年度厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)「介護保険の総合的政策評価ベンチマーク・システムの開発」(H22-長寿-指定-008)で,平成22年(2010年)に31自治体の11万人,厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)「介護予防を推進する地域づくりを戦略的に進めるための研究」(H25-長寿-一般-003)で,平成25年(2013年)に30市町村の14万人弱の高齢者データを収集し,介護予防の政策立案,効果検証などに使えるベンチマーク・システムを開発してきた.これを発展させ,地域別に健康状態や社会資源等をアセスメントし,ニーズや課題を把握し,根拠に基づく戦略的な地域づくりによる介護予防を推進するためのエビデンスづくりと,介護予防の効果検証をするツールやシステムを開発・改良することが目的である.
研究方法
Ⅰ.介護予防に関わるリスクの実証的観察研究:2010年,2013年調査データなどを用い,死亡や要介護認定後の期間,IADL低下,口腔機能低下,閉じこもり,うつなどの要介護リスクおよび緩和要因を解明する縦断分析,横断分析,マルチレベル分析などを行った.Ⅱ.介入研究:愛知県武豊町において,「憩いのサロン」を増やす地域づくり型介護予防の効果を検証するため,サロン参加頻度別のIADL低下および認知症自立度Ⅰ以上を伴う要介護認定の発生についての縦断分析を行った.Ⅲ.市町村支援に向けた研究:地域づくり型の介護予防を進めようとしている市町村支援の手がかりを得るため,自治体(職員)向けの支援内容について検討した.Ⅳ.地域診断指標の研究:主観的幸福感尺度や緑地の多さを地域診断指標として用いるための基礎的検討を行った.Ⅴ.大規模調査:大規模調査の方法を開発し,実際にデータを収集し,実現可能性(feasibility)を検証した.
結果と考察
Ⅰ.介護予防に関わるリスクの実証的観察研究:死亡や要介護期間,IADLや口腔機能,閉じこもり,うつなどに関わるリスク要因として、一人で食事をする孤食、子ども期の生活水準、虐待などの逆境体験なども重要であることが明らかになった.多くの要因を調整後にも,社会への不参加などの健康の社会的決定要因がリスクと考えられること,個人レベル要因を調整後にも,その地域の社会参加割合が高いことや所得格差が小さいことや地域の治安などの要因が,介護予防に望ましい地域要因であることなどが明らかになった.Ⅱ.介入研究:武豊町における追跡期間を延ばし、サロンへの参加回数が多い群で要介護認定が抑制されることに加え,新たなIADL低下が少なく,7年間の認知機能低下が少ないことが明らかになった.Ⅲ.市町村支援に向けた研究:新たに、東海市や常滑市、松戸市など異なる市町村においても,地域づくりの事例と手順などの蓄積ができた.Ⅳ.地域診断指標の研究:いくつか試作した幸福感指標の中で,HRの小ささの点などからは「主観的幸福感8点以上の者の割合」がやや良いと思われた.新たに開発した要支援・要介護リスク得点も地域診断指標として使えると考えられる.Ⅴ.大規模調査:JAGES2016年調査として,39市町村の約20万人の高齢者から調査票を回収でき大規模調査の方法論を確立できた.
結論
根拠に基づく戦略的な地域づくりによる介護予防を推進するための個人レベルと地域レベルにおけるリスク要因と緩和要因に関するエビデンスや地域づくり事例とその効果検証事例が得られた。そのような取り組みを他地域に広げるため、地域別に健康状態や社会資源等をアセスメントし,ニーズや課題を把握するための指標の妥当性などの検討をし,それを反映したJAGES HEART(Health Equity Assessment and Response Tool)2016年版への改良を進めるとともに、それに搭載するためのデータ収集のための調査方法のfeasibilityの検証ができたことから、手法はほぼ確立できたと考える.

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201614006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
8,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 273,974円
人件費・謝金 2,262,078円
旅費 884,728円
その他 2,733,220円
間接経費 1,846,000円
合計 8,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
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