自己免疫疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201610040A
報告書区分
総括
研究課題名
自己免疫疾患に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-083
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
住田 孝之(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 一彦(国立大学法人東京大学大学院 医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
  • 上阪 等(国立大学法人東京医科歯科大学 膠原病・リウマチ内科)
  • 竹内 勤(慶應義塾大学 医学部リウマチ内科学)
  • 田中 良哉(国立大学法人産業医科大学 医学部第1内科学講座)
  • 渥美 達也(国立大学法人北海道大学大学院 医学研究科免疫・代謝内科学分野)
  • 山田 亮(国立大学法人京都大学大学院 医学研究科統計遺伝学)
  • 天野 浩文(順天堂大学 医学部膠原病リウマチ内科)
  • 石井 智徳(東北大学病院 臨床研究推進センター)
  • 三森 経世(国立大学法人京都大学大学院 医学研究科内科学講座臨床免疫学)
  • 神田 隆(国立大学法人山口大学大学院 医学系研究科システム統御医学系専攻 脳・神経病態制御医学領域神経内科学分野)
  • 藤本 学(国立大学法人筑波大学医学医療系 皮膚科)
  • 砂田 芳秀(国立大学法人川崎医科大学 医学部神経内科学)
  • 川口 鎮司(国立大学法人東京女子医科大学 リウマチ科・膠原病内科)
  • 室 慶直(国立大学法人名古屋大学大学院 医学系研究科皮膚結合組織病態学分野)
  • 太田 晶子(埼玉医科大学 医学部社会医学)
  • 神人 正寿(国立大学法人熊本大学大学院 生命科学研究部 皮膚科学)
  • 川上 純(国立大学法人長崎大学大学院 医歯薬総合研究科 先進予防医学共同専攻 先進予防医学講座)
  • 佐野 統(兵庫医科大学 内科学講座 リウマチ・膠原病科)
  • 坪田 一男(慶應義塾大学 眼科)
  • 斎藤 一郎(鶴見大学 歯学部病理学講座)
  • 中村 誠司(国立大学法人九州大学大学院 歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野)
  • 高村 悦子(東京女子医科大学 眼科)
  • 田中 真生(国立大学法人京都大学大学院 医学研究科 リウマチ性疾患制御学講座)
  • 坪井 洋人(国立大学法人筑波大学 医学医療系内科(膠原病・リウマチ・アレルギー))
  • 三村 俊英(埼玉医科大学 リウマチ膠原病科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
20,325,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 自己免疫疾患診療の標準化、医療の質の向上・患者のQOLの改善を目指すために、1)実践的かつ国際的視野に立った診断基準の検定・改訂、2)重症度分類の確立、3)臨床調査個人票案の提唱、4)臨床現場で活用できる診療ガイドラインの作成を目的とする。自己免疫疾患の医療の向上、患者のQOLの改善を目指すために必要不可欠な研究プロジェクトである
研究方法
1)SLE:(1)国際診断基準の検定:SLEに関するACR基準およびNIH基準に関して検定した。SLEに関するACR基準を満たすSLE症例300例以上と非SLE症例300例以上に関して、28名の膠原病専門医により検定した。(2)診療ガイドライン作成:Mindsの基づくClinical Question(CQ)の抽出し、systemic review(SR)を行うことで、エビデンスに基づく診療ガイドライン作成を進めた。
2)PM/DM:(1)国際分類基準の検定:新しい診断基準の提唱をするために、PM/DM群410例、comparator群412例の診断を行い、IMACS分類基準の外的妥当性を検討した。(2)治療ガイドライン英語版の作成:すでに作成した治療ガイドラインの英語版の作成を試みた。
3)SS:(1)診療ガイドラインの作成:専門家による組織を構成し、Mindsに基づきCQを抽出し、SRによるエビデンスを検証し、診療ガイドライン作成を試みた。(2)ACR-EULAR基準の検証:2016年に発表されたACR-EULAR基準に関して、日本人SS患者を対象として、感度、特異度に関して検証した。
4)ASD:(1)診療ガイドラインの作成:専門家による組織を構成し、Mindsに基づきCQを抽出し、SRによるエビデンスを検証し、診療ガイドラインの作成を試みた。
結果と考察
1)SLE:(1)国際診断基準の検定:結果の統計解析では、SLICC分類基準はACR分類基準に比べて、特異度は同等であったが、感度が有意に高かった。症例シナリオを用い専門医が診断した検討結果でも、SLICC分類基準がACR分類基準よりわずかに感度が高いという結果となった。(2)診療ガイドライン作成:5個のCQを抽出し、SRを進め、診療ガイドライン作成を進めている。
2)PM/DM:(1)国際分類基準の検定:筋生検なし症例では、感度88.1%、特異度95.1%、筋生検あり症例では、感度90.4%、特異度56.9%であった。IMCCPが示したデータでは、筋生検なし症例では、感度87%、特異度82%、筋生検あり症例では、感度93%、特異度88%であり、これらと比較して、筋生検あり症例の特異度が低く、その他はほぼ同等であった。これまでの厚生省診断基準の感度72.0%、特異度87.1%やBohan and Peter基準の感度76.8%、特異度87.6%と比べて、筋生検ありの特異度を除けば良好であった。(2)治療ガイドライン英語版を作成した。
3)SS:(1)診療ガイドラインの作成:38個の CQを抽出し、SRを進め、診療ガイドラインを作成した。(2)ACR-EULAR基準(2016年)の検証:日本人シェーグレン症候群患者を対象とした解析結果、ACR-EULAR基準の感度、特異度はそれぞれ95.4%、72.1%であり、旧厚労省改訂基準は、82.1%、90.9%であった。AECG基準とACR基準の感度、特異度は上記2つの基準の中間であった。よって、ACR-EULAR基準は感度が最も高く、旧厚労省改訂基準は特異度が最も高いことが判明した。
4)ASD:(1)診療ガイドラインの作成:25個のCQを抽出し、SRを進め、診療ガイドラインを作成した。
結論
1)SLE:ACR基準とNIH基準に関して、日本人SLE患者を対象として解析し、公表準備中。重症度分類、臨床調査個人票に関しては検証中。H28年度をゴールとして診療ガイドラインの作成をスタートしたが、完成はH29年度となる予想である。
2)PM/DM:IMCCPの国際分類基準の検定結果に基づき、日本での採用に関してさらに検討する。ADMの診断が可能な診断基準に改訂した。重症度分類、臨床調査個人票に関しては検証中。Mindsに沿った治療ガイドラインを作成し公表、出版した。英語版に関しては、H29年度に、承認した3学会の国際誌に同時掲載する予定である。
3)SS:旧厚労省改訂基準を日本の診断基準とした。重症度分類および臨床調査個人票に関して検証中である。診療ガイドラインを作成し、2学会の承認を得た。ACR-EUALR(2016年)基準の検定も終了した。
4)ASD:診断基準の改訂に関する議論を進めた。作成した重症度分類および臨床調査個人票を検証中である。診療ガイドラインを作成し、2学会の承認を得た。

公開日・更新日

公開日
2017-04-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-04-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201610040B
報告書区分
総合
研究課題名
自己免疫疾患に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-083
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
住田 孝之(国立大学法人筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 一彦(国立大学法人東京大学大学院 医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学 )
  • 上阪 等(国立大学法人東京医科歯科大学 膠原病・リウマチ内科 )
  • 竹内 勤(慶應義塾大学 医学部リウマチ内科学)
  • 田中 良哉(国立大学法人産業医科大学 医学部第1内科学講座)
  • 渥美 達也(国立大学法人北海道大学大学院 医学研究科免疫・代謝内科学分野)
  • 三森 明夫(国立国際医療研究センター 膠原病科 )
  • 山田 亮(国立大学法人京都大学大学院 医学研究科統計遺伝学)
  • 天野 浩文(順天堂大学 医学部膠原病リウマチ内科)
  • 石井 智徳(東北大学病院 臨床研究推進センター )
  • 三森 経世(国立大学法人京都大学大学院 医学研究科内科学講座臨床免疫学)
  • 神田 隆(国立大学法人山口大学大学院 医学系研究科システム統御医学系専攻 脳・神経病態制御医学領域神経内科学分野 )
  • 藤本 学 (国立大学法人筑波大学医学医療系 皮膚科 )
  • 砂田 芳秀(国立大学法人川崎医科大学 医学部神経内科学)
  • 川口 鎮司(国立大学法人東京女子医科大学 リウマチ科・膠原病内科 )
  • 室 慶直(国立大学法人名古屋大学大学院 医学系研究科皮膚結合組織病態学分野 )
  • 太田 晶子(埼玉医科大学 医学部社会医学)
  • 神人 正寿(国立大学法人熊本大学大学院 生命科学研究部 皮膚科学)
  • 川上 純(国立大学法人長崎大学大学院 医歯薬総合研究科 先進予防医学共同専攻 先進予防医学講座 )
  • 佐野 統(兵庫医科大学 内科学講座 リウマチ・膠原病科)
  • 坪田 一男(慶應義塾大学 眼科)
  • 斎藤 一郎(鶴見大学 歯学部病理学講座)
  • 中村 誠司(国立大学法人九州大学大学院 歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野 )
  • 高村 悦子(東京女子医科大学 眼科)
  • 田中 真生(国立大学法人京都大学大学院 医学研究科 リウマチ性疾患制御学講座 )
  • 坪井 洋人(国立大学法人筑波大学 医学医療系内科(膠原病・リウマチ・アレルギー) )
  • 三村 俊英 (埼玉医科大学 リウマチ膠原病科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、自己免疫疾患診療の標準化、医療の質の向上・患者のQOLの改善を目指すために、1)実践的かつ国際的視野に立った診断基準の検定・改訂、2)重症度分類の確立、3)臨床調査個人票案の提唱、4)臨床現場で活用できる診療ガイドラインの作成を目的とする。自己免疫疾患の医療の向上、患者のQOLの改善を目指すために必要不可欠な研究プロジェクトである。
研究方法
(1)SLE分科会は、山本研究分担者をリーダーとして日本リウマチ学会専門医から構成され、上記研究プロジェクト1)~4)などを施行する。(2)PM/DM分科会では、上阪研究分担者を軸に日本リウマチ学会専門医、神経内科や皮膚科の専門医から構成され、上記研究プロジェクト1)~4)などを目指す。(3)SS分科会では住田が中心に日本リウマチ学会専門医、眼科医や歯科口腔外科専門医から構成され、上記研究プロジェクト1)~4)などを推進する。(4)ASD分科会においては、住田、三村研究分担者が中心となり小児科医や日本リウマチ学会専門医が参加した。
結果と考察
(1)国際分類基準の検定:1)SLE 結果の統計解析では、SLICC分類基準はACR分類基準に比べて、特異度は同等であったが、感度が有意に高かった。症例シナリオを用い専門医が診断した検討結果でも、SLICC分類基準がACR分類基準よりわずかに感度が高いという結果となった。現在、論文作成し投稿中である。2)PM/DM これまでの厚生省診断基準の感度72.0%、特異度87.1%やBohan and Peter基準の感度76.8%、特異度87.6%と比べて、筋生検ありの特異度を除けば良好であった。(2)重症度分類の作成:それぞれの疾患で作成し、引き続き検証中。(3)臨床調査個人票を作成し、実際に使用されてい。(4)診療ガイドラインの作成:1)SLEはH29年度完成予定。2)PM/DMは日本語英語版ともに完成済み。3)SSは完成しH29年4月に出版。4)ASDも完成し、関連学会の承認済み。
結論
SLE、PM/DM、SS、ASDの4疾患に関して、作成あるいは検証した「診断基準」や「重症度分類」は臨床調査個人票において使用されている。PM/DM、SS、ASDの3疾患に関する診療ガイドラインは、医療の現場における診療スタンダードとして活用されよう。さらに、英語版の発刊により世界のスタンダードを目指すことができよう。

公開日・更新日

公開日
2017-05-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-04-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201610040C

収支報告書

文献番号
201610040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
23,952,000円
(2)補助金確定額
23,952,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 15,738,918円
人件費・謝金 922,929円
旅費 2,375,728円
その他 1,302,928円
間接経費 3,627,000円
合計 23,967,503円

備考

備考
自己資金 15,502円 利息 1円

公開日・更新日

公開日
2018-02-15
更新日
-