文献情報
文献番号
201610030A
報告書区分
総括
研究課題名
稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-069
研究年度
平成28(2016)年度
研究代表者(所属機関)
天谷 雅行(慶應義塾大学 医学部 皮膚科学教室)
研究分担者(所属機関)
- 青山 裕美(川崎医科大学・皮膚科学)
- 秋山 真志(名古屋大学大学院医学系研究科・皮膚病態学)
- 池田 志斈(順天堂大学大学院医学研究科・皮膚科学・アレルギー学)
- 岩月 啓氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・皮膚科学)
- 宇谷 厚志(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・皮膚病態学)
- 黒沢 美智子(順天堂大学医学部衛生学講座・疫学)
- 澤村 大輔(弘前大学大学院医学研究科・皮膚科学)
- 清水 宏(北海道大学大学院医学研究科・皮膚科学分野)
- 下村 裕(新潟大学大学院医歯学総合研究科・皮膚科学分野)
- 鈴木 民夫(山形大学医学部皮膚科講座・皮膚科学)
- 玉井 克人(大阪大学大学院医学系研究科再生誘導医学寄附講座・再生医学)
- 照井 正(日本大学医学部・皮膚科学系皮膚科学分野)
- 橋本 隆(久留米大学皮膚細胞生物学研究所・皮膚科学)
- 秀 道広(広島大学大学院医歯薬保健学研究所・皮膚科学)
- 武藤 正彦(山口大学大学院医学系研究科・皮膚科学分野)
- 山上 淳(慶應義塾大学医学部・皮膚科)
- 小池 雄太(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・皮膚病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等政策研究(難治性疾患政策研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
18,402,000円
研究者交替、所属機関変更
● 研究者交代:平成28年度11月12日付
前)宇谷 厚志 (長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・皮膚病態学・教授)
↓
新)小池雄太(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・皮膚病態学・助教)
* 交代理由:前研究分担者・宇谷厚志が逝去したため
研究報告書(概要版)
研究目的
原因不明で治療法が確立していない難治性皮膚疾患に対する医療の基盤を強化するため、各疾患の診断基準・重症度分類基準の策定と普及、疫学調査とデータベースの作成、全国共通で国際的に通用する診療ガイドラインの開発・改訂を目的とする。
研究方法
1.各疾患群の研究
[天疱瘡] 新しい自己抗体測定法のCLEIA法を評価した。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] 類天疱瘡診療ガイドラインの策定作業を行った。
[膿疱性乾癬] 診療ガイドラインの英語版を作成するとともに、診療ガイドラインの普及と改訂の準備、患者QOL調査を行った。
[表皮水疱症] 最新情報を整理して、診療ガイドライン策定作業を進めた。また、新しい重症度判定基準の有用性・汎用性・妥当性について検討した。
[先天性魚鱗癬] 以前に疫学調査が実施された全国の46施設に依頼して、重症度調査票の記載とQOL調査を行った。
[弾性線維性仮性黄色腫] 過去の全国的疫学調査および罹患実態調査をもとにガイドラインの草稿を準備した。
[眼皮膚白皮症] 診療ガイドライン最適化のためのワーキンググループを組織し、改訂案を作成した。
[遺伝性血管性浮腫] 患者に対するアンケート調査を施行した。また、海外で使用されている患者レジストリ(RUDY)の状況を調査した。
2.共通研究課題
[症例登録と疫学解析] データベースを活用して、膿疱性乾癬における関節症合併のリスクについて、多重ロジスティックモデルを用いて分析した。
[医療情報提供と社会啓発] ホームページ掲載を継続するとともに、各疾患の患者会のサポートとともに会員からの情報収集を行った。
[生体試料蓄積] 基本的枠組みを生かしつつ、独立行政法人・医薬基盤研究所・難病研究資源バンクと提携しながら生体試料収集を継続した。
[統括的ゲノム解析] 日本人の天疱瘡患者のゲノムDNAをSNPアレイで解析し、情報公開されている日本人健常人のゲノムデータと比較した。
[天疱瘡] 新しい自己抗体測定法のCLEIA法を評価した。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] 類天疱瘡診療ガイドラインの策定作業を行った。
[膿疱性乾癬] 診療ガイドラインの英語版を作成するとともに、診療ガイドラインの普及と改訂の準備、患者QOL調査を行った。
[表皮水疱症] 最新情報を整理して、診療ガイドライン策定作業を進めた。また、新しい重症度判定基準の有用性・汎用性・妥当性について検討した。
[先天性魚鱗癬] 以前に疫学調査が実施された全国の46施設に依頼して、重症度調査票の記載とQOL調査を行った。
[弾性線維性仮性黄色腫] 過去の全国的疫学調査および罹患実態調査をもとにガイドラインの草稿を準備した。
[眼皮膚白皮症] 診療ガイドライン最適化のためのワーキンググループを組織し、改訂案を作成した。
[遺伝性血管性浮腫] 患者に対するアンケート調査を施行した。また、海外で使用されている患者レジストリ(RUDY)の状況を調査した。
2.共通研究課題
[症例登録と疫学解析] データベースを活用して、膿疱性乾癬における関節症合併のリスクについて、多重ロジスティックモデルを用いて分析した。
[医療情報提供と社会啓発] ホームページ掲載を継続するとともに、各疾患の患者会のサポートとともに会員からの情報収集を行った。
[生体試料蓄積] 基本的枠組みを生かしつつ、独立行政法人・医薬基盤研究所・難病研究資源バンクと提携しながら生体試料収集を継続した。
[統括的ゲノム解析] 日本人の天疱瘡患者のゲノムDNAをSNPアレイで解析し、情報公開されている日本人健常人のゲノムデータと比較した。
結果と考察
1.各疾患群の研究
[天疱瘡] CLEIA法による抗体価は、臨床症状スコアの動きに一致して変動することが示され、その有用性が示された。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] 水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、後天性表皮水疱症を包含した診療ガイドラインを作成し、2017年2月に日本皮膚科学会理事会にて承認された。
[膿疱性乾癬] 生物学的製剤、顆粒球・単球吸着療法などが組み入れられて改訂された診療ガイドラインの導入による患者QOLの変化を観察した。
[表皮水疱症] 35項目のQ&Aを基にした診療ガイドラインを作成した。また、実際の症例から、重症度スコアの妥当性を検証した。
[先天性魚鱗癬] 全国疫学調査の結果、魚鱗癬重症度最終スコアの平均は45.0点(±20.4)であった。さらにQOL調査と診療ガイドラインの準備が進められた。
[弾性線維性仮性黄色腫] 全国の罹患実態が詳細に把握できたことで、海外の症例に比較して、日本の患者では重症度が有意に低いことが示された。
[眼皮膚白皮症] 生命予後、視力障害をキーワードにして診断基準、病型診断、重症度基準を作成し、2017年2月に日本皮膚科学会雑誌に補遺として発表した。
[遺伝性血管性浮腫] アンケートの結果、約70%の患者が自己注射を希望していることが判明した。
2.共通研究課題
[症例登録と疫学解析] 膿疱性乾癬発症4年後の関節症合併リスクについての解析結果では、尋常性乾癬の既往あり、全身性の紅斑および膿疱形成、白血球10000(/mm3)以上、赤沈(mm/60分)50以上、CRP(mg/dl)7.0以上、RA陽性のオッズ比が高かったが有意ではなかった。
[医療情報提供と社会啓発]「天疱瘡・類天疱瘡友の会」に参加するとともに、ホームページの情報更新を行った。
[生体試料蓄積] 生体試料(DNA)の集積が進んでおり、原因遺伝子が同定されているものについては、当該遺伝子の変異情報も付与するように努めた。
[統括的ゲノム解析] 天疱瘡患者からのゲノムDNAの解析から、疾患感受性遺伝子の候補が複数同定された。
[天疱瘡] CLEIA法による抗体価は、臨床症状スコアの動きに一致して変動することが示され、その有用性が示された。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] 水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、後天性表皮水疱症を包含した診療ガイドラインを作成し、2017年2月に日本皮膚科学会理事会にて承認された。
[膿疱性乾癬] 生物学的製剤、顆粒球・単球吸着療法などが組み入れられて改訂された診療ガイドラインの導入による患者QOLの変化を観察した。
[表皮水疱症] 35項目のQ&Aを基にした診療ガイドラインを作成した。また、実際の症例から、重症度スコアの妥当性を検証した。
[先天性魚鱗癬] 全国疫学調査の結果、魚鱗癬重症度最終スコアの平均は45.0点(±20.4)であった。さらにQOL調査と診療ガイドラインの準備が進められた。
[弾性線維性仮性黄色腫] 全国の罹患実態が詳細に把握できたことで、海外の症例に比較して、日本の患者では重症度が有意に低いことが示された。
[眼皮膚白皮症] 生命予後、視力障害をキーワードにして診断基準、病型診断、重症度基準を作成し、2017年2月に日本皮膚科学会雑誌に補遺として発表した。
[遺伝性血管性浮腫] アンケートの結果、約70%の患者が自己注射を希望していることが判明した。
2.共通研究課題
[症例登録と疫学解析] 膿疱性乾癬発症4年後の関節症合併リスクについての解析結果では、尋常性乾癬の既往あり、全身性の紅斑および膿疱形成、白血球10000(/mm3)以上、赤沈(mm/60分)50以上、CRP(mg/dl)7.0以上、RA陽性のオッズ比が高かったが有意ではなかった。
[医療情報提供と社会啓発]「天疱瘡・類天疱瘡友の会」に参加するとともに、ホームページの情報更新を行った。
[生体試料蓄積] 生体試料(DNA)の集積が進んでおり、原因遺伝子が同定されているものについては、当該遺伝子の変異情報も付与するように努めた。
[統括的ゲノム解析] 天疱瘡患者からのゲノムDNAの解析から、疾患感受性遺伝子の候補が複数同定された。
結論
各疾患グループと横断グループが協調しながら研究が進められた。新しい難病政策の施行に伴い、本研究班の対象疾患で2015年7月から拡大された指定難病(類天疱瘡、先天性魚鱗癬、弾性線維性仮性黄色腫、眼皮膚白皮症)における診断基準と重症度判断基準の整備と検証、ガイドラインの作成と準備が主要な成果となった。既存の指定難病(天疱瘡、表皮水疱症、膿疱性乾癬)においても、より客観性の高い重症度判定基準が導入され、臨床調査個人票の見直しに貢献できた。
公開日・更新日
公開日
2017-06-06
更新日
-