乳幼児用食品におけるカビ毒汚染のリスク評価に関する研究

文献情報

文献番号
201522045A
報告書区分
総括
研究課題名
乳幼児用食品におけるカビ毒汚染のリスク評価に関する研究
課題番号
H26-食品-若手-010
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
吉成 知也(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部第四室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
2,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究課題は、平成26年~27年度の2年間にわたって、①「乳幼児用食品を対象としたカビ毒一斉同時分析法の開発」、②「①の方法を用いたカビ毒汚染実態調査」の2項目の達成を目標とする。26年度に市販の乳幼児用食品90検体を対象に12種のカビ毒の汚染実態調査を行った結果、乳幼児用食品を汚染する主要なカビ毒はフザリウム菌由来のフモニシンとトリコテセン系カビ毒であり、またコーンと小麦を原料とする食品において検出頻度・濃度が高い傾向にあることが明らかになった。この結果を受け、今年度はコーン菓子、コーンスープ及び小麦菓子を対象とした12種のカビ毒一斉同時定量分析法を開発し、さらにその一斉分析法を用いて乳幼児用食品中の12種のカビ毒の定量分析を行った。
研究方法
2種のイムノアフィニティーカラムを組み合わせることにより、アフラトキシン類4種、オクラトキシンA、フモニシンB類3種、デオキシニバレノール、T-2トキシン、HT-2トキシン、ゼアラレノンの計12種のカビ毒を3種の食品から同時に精製し、LC-MS/MSによる一斉定量を行う方法を考案した。
結果と考察
添加回収試験の結果、デオキシニバレノールの回収率が60~70%であったものの、その他の11種のカビ毒については回収率が100%前後と良好な結果が得られた。また、自然汚染検体を用いた検討の結果、一斉分析法による定量値は個別に分析した場合と同程度であった。開発した一斉同時分析法を用いて、コーン菓子7件、コーンスープ6件、小麦菓子17件、の合計30件について、汚染調査を行った。アフラトキシン類4種、オクラトキシンA 、T-2トキシンとHT-2トキシンについては、いずれの検体においても検出されなかった。フモニシンB類3種については、コーン菓子のみで検出され、最高濃度(B1、B2、B3の合算値)は23.2ug/kgであった。DONについては、コーン菓子と小麦菓子から検出され、最高濃度はコーン菓子における22.4ug/kg であった。ゼアラレノンはコーン菓子とコーンスープから検出されたが、汚染濃度は非常に低かった。
結論
以上の結果より、27年度においては乳幼児用食品におけるカビ毒汚染を効率良く調査するための一斉分析法の開発と、我が国に流通する乳幼児用食品中のカビ毒の汚染実態を明らかにすることに成功した。

公開日・更新日

公開日
2016-07-06
更新日
-

文献情報

文献番号
201522045B
報告書区分
総合
研究課題名
乳幼児用食品におけるカビ毒汚染のリスク評価に関する研究
課題番号
H26-食品-若手-010
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
吉成 知也(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部第四室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究課題は、2014~2015年度の2年間にわたって、①「乳幼児用食品を対象としたカビ毒一斉同時分析法の開発」、②「①の方法を用いたカビ毒汚染実態調査」の2項目の達成を目標とした。
研究方法
2014年度にはアフラトキシン類4種、オクラトキシンA、フモニシンB類3種、デオキシニバレノール、T-2トキシン、HT-2トキシン、ゼアラレノンの計12種のカビ毒について、それぞれを個別に定量する分析法を6種のカテゴリーに分けた乳幼児用食品について開発した。
結果と考察
添加回収試験によって性能を評価後、市販の乳幼児用食品90検体を対象にカビ毒の汚染実態調査を行った結果、乳幼児用食品を汚染する主要なカビ毒はフザリウム菌由来のフモニシンとトリコテセン系カビ毒であり、またトウモロコシと小麦を原料とする食品において検出頻度・濃度が高い傾向にあることが明らかになった。この結果を受け、2015年度にはコーン菓子、コーンスープ及び小麦菓子の3種の食品を対象とした12種のカビ毒一斉同時定量分析法の開発を試みた。2種のイムノアフィニティーカラムを組み合わせることにより、12種のカビ毒を3種の食品から同時に精製し、LC-MS/MSによる一斉定量を行う方法を考案し、添加回収試験と自然汚染検体を用いた検討の結果、実態調査に用いることが出来る性能を有すると判断した。この一斉分析法を用いて30検体の乳幼児用食品中の12種のカビ毒の定量分析を行い、2年間でトータル120検体の実態調査を行った。
乳幼児用食品についてCodex規格が設定されており、かつ食品安全委員会によって耐容摂取量(1ug/kg体重/日)が提唱されているデオキシニバレノールについて、モンテカルロシュミレーションを用いた曝露量推定を行った。その結果、80パーセンタイル以下のDONの摂取量は0ng/体重kg/日で、99.5パーセンタイルにおいては880ng/体重kg/日であった。以上の結果より、我が国に流通する乳幼児用食品中のDONに対して早急な規制を行う必要性はないと考えられた。
結論
以上の結果より、本研究が目標とした2項目は達成され、乳幼児用食品に対する基準値策定の必要性の判断をする上で重要な科学的根拠を提供することに成功した。

公開日・更新日

公開日
2016-07-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201522045C

成果

専門的・学術的観点からの成果
計120検体の乳幼児用食品におけるカビ毒の汚染実態を調査した。その結果、コーン菓子、コーンスープ及び小麦菓子といったトウモロコシや小麦を原料とした食品群において、フモニシン類やトリコテセン類といったフザリウム属真菌により生産されるカビ毒汚染が生じている実態が明らかとなった。さらにその3種の食品群について、効率の良いカビ毒汚染実態調査を実施するために、12種のカビ毒一斉分析法を開発した。添加回収試験と自然汚染検体を用いた検討により、開発した一斉分析法は実態調査に使用できる性能を有すると判断した。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
EUにおけるフモニシン及びデオキシニバレノールの基準値や、コーデックス食品汚染部会で設定され
たデオキシニバレノールの最大基準値を始めとして、乳幼児用食品に含まれるカビ毒については、
他の食品よりも厳しい基準値を設定する動きが国際的な流れとなっている。このような国際的動向を
受け、我が国においても乳幼児用食品の基準値を設定する必要性を議論する機運が高まっており、本
研究の成果は議論に必須な科学的根拠となり得る。
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-06-10
更新日
2020-10-02

収支報告書

文献番号
201522045Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,250,000円
(2)補助金確定額
2,250,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,139,780円
人件費・謝金 0円
旅費 95,360円
その他 15,292円
間接経費 0円
合計 2,250,432円

備考

備考
振り込み手数料の計算を間違えたため

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
-