「健康食品」の安全性・有効性情報データベースを活用した健康食品の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
201522039A
報告書区分
総括
研究課題名
「健康食品」の安全性・有効性情報データベースを活用した健康食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H27-食品-指定-014
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
梅垣 敬三(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 千葉 剛(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所情報センター)
  • 山田 浩(静岡県立大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
11,230,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康効果や保健効果を標榜した健康食品の流通が国内外で拡大している。平成27年度からは科学的根拠があれば消費者庁に届出することにより、事業者責任で機能性表示ができる機能性表示食品の制度が始まった。錠剤、カプセル等の健康食品は、過剰摂取による健康被害発生が懸念される。そこで本研究は、申請者らがこれまで運用してきた「健康食品」の安全性・有効性情報(HFNET)データベースを活用して、健康食品の安全性確保への対応をさらに発展させることを目的に、1)「健康食品」の安全性・有効性情報(HFNet)データベースのさらなる拡充、2)健康食品の安全性確認法の検討、3)有害事象が医療機関や消費者等から保健所へ報告されるに当たっての支障に関する検討を行った。
研究方法
「健康食品」の安全性・有効性情報(HFNet)データベースの拡充では、国内外の健康食品関連の論文を収集してデータに追加した。また、新たな情報提供法として、FacebookとTwitterによる情報提供、情報にアクセスしにくい人への情報伝達の対応としてリーフレット等を試作した。健康食品の安全性確認法の検討では、健康食品に関する有害事象を消費者から短期間に積極的に収集する方法として、全国的なインターネット調査の活用を検討した。なお、本年度は有害事象(体調不調)として下痢に焦点を絞って調査を実施した。医療機関や消費者等から有害事象が保健所へ報告されるに当たっての支障に関する検討では、健康食品との関連が疑われる健康被害を受けた際の対応について、消費者および医師・薬剤師へのアンケート調査(紙媒体とインターネット調査)を行った。
結果と考察
「健康食品」の安全性・有効性情報(HFNet)データベースの拡充では、データ追加を継続的に行い、迅速な提供に努めた。その結果、HFNetへのアクセス数は約16,000件/日が維持できた。新たにFacebookとTwitterによる情報提供も追加したことから、これまで以上の情報提供ができていると考えられた。情報にアクセスしにくい人への情報伝達の対応として、本年は幼児のサプリメント利用の要点をまとめたリーフレットや健康食品の基礎知識をまとめたクリアファイルを試作した。健康食品の安全性確認法として実施した全国的なインターネット調査では、過去1年以内にサプリメント摂取との関連が疑われる下痢の事例が、2週間以内に1,295人分収集でき、症状の中には医療機関を受診した事例があること、利用製品としてはハーブ関連が多いことを明らかにした。医療機関関係者や消費者が健康被害情報を保健所へ報告するに当たっての支障に関する調査では、消費者および医師・薬剤師の中で有害事例を保健所へ報告した経験を持つ者が少数であること、その理由として「原因と断定できなかった」「どの症状で報告すべきかわからない」などが関係することを明らかにした。保健所を介して厚生労働省へより多くの被害報告が集約されるためには、既に開発した因果関係評価手法の利活用と共に、報告フォーマットの作成や報告手段について、消費者および医療関係者に具体的に周知することが必要と考えられた。
結論
健康食品は消費者の自己判断で利用されており、その製品選択と利用の判断に資する科学的根拠に基づく安全性や有効性の情報を「健康食品」の安全性・有効性情報(HFNet)にデータベースとして蓄積し、継続的に提供することは、粗悪製品の選択や製品の乱用防止につながる。従って、HFNetの掲載情報を充実させ、その内容は国民にできるだけ参照される取り組みを行うことが重要である。一方、健康食品による健康被害が発生しても、それに気づかずに被害が拡大する可能性があるため、軽微な被害であっても、できるだけ被害事例が集約できる取り組みが必要である。本研究で実施している被害情報の収集や因果関係評価法の利活用に関する研究は、健康食品が関係した潜在的な健康被害の把握に寄与できると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2016-07-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-07-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
201522039Z