国際食品規格策定プロセスを踏まえた食品衛生規制の国際化戦略に関する研究

文献情報

文献番号
201522037A
報告書区分
総括
研究課題名
国際食品規格策定プロセスを踏まえた食品衛生規制の国際化戦略に関する研究
課題番号
H26-食品-指定-007
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
豊福 肇(国立大学法人山口大学 共同獣医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 石見 佳子(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)
  • 渡邉  敬浩(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 登田 美桜(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 松尾 真紀子(東京大学公共政策大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
11,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
コーデックス委員会(以下、「Codex」という)は、消費者の健康保護と公正な食品貿易の確保を目的として、国連食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)が合同で1963年に設立した国際政府間組織である。本研究では、Codexの各部会等における過去の議論の内容、各国の立場、日本政府による対応、議論のもとになるリスク分析等の関連情報を収集、分析し、日本政府の対処方針の検討に必要な論点を科学的又は国際政治学的専門知識をもとに整理して迅速に情報提供することにより、我が国の国益、食品の取扱い等に合致したCodex規格等の策定に貢献し、さらに、国際的な考え方や動向との整合性を整理・分析し、今後国内外対応において考慮すべき事項を提言することも目的とした。
研究方法
担当する会議に参加し、議論の動向や各国の対応状況について調査した上で、コメント及び対処方針作成に必要な科学的情報の整理、解析を行う。また、国内での公開討論会等を通じCodex活動に対する認識と支持の向上を図るとともに、国内外の現状を考慮して、我が国として優先して取り組むべき分野・内容を提言するとともに、食品衛生法全体の枠組みやプロセスについて、国際的な考え方や動向との整合性を整理・分析し、今後国内及び国際対応において考慮すべき事項を提言した。
さらに、厚労省食品安全部職員が我が国の現行規制を科学的根拠に基づき国際的整合性を改善するための「食品安全行政の国際化対応研修」のあり方についても検討した。
結果と考察
 汚染物質部会で議論中である食品汚染物質のうち、議論されている規格案が我が国の現行規制と大幅に異なるものについては、規格案の根拠となったリスク評価、ワーキンググループでの議論、各国の規制状況等の背景について調査し、我が国の食品安全行政に及ぶであろう影響について検討した。する。また、食品汚染物質のCodex規格と我が国の現行規制とを照らし合わせ、整合性がとれているかどうかを整理して我が国が国際貿易を行う上で抱える問題点を指摘するとともに、今後の食品安全行政に求められる対応について考察した。
 栄養・特殊用途食品部会における検討プロセスの資料を収集し、議論の論点を明確にし、データ分析を行った。各議題について、我が国の制度との関連を明確にするとともに、栄養参照量(NRVs)については、コーデックスの食品表示のためのNRVsと日本のNRVsの比較検討を、国民健康・栄養調査の結果に基づいて実施する。NRVsに対応した年齢階級における日本人の栄養素摂取量の現状を踏まえ、コーデックスで議論されている国際的な考え方と日本の制度の整合性について検討を行った。また、部会に出席して現在の部会における栄養表示に係わるNRVsや食品の安全確保に関する議題について各国のポジション及び採択された関連原則ならびに参照量等について論点を整理する。
 分析・サンプリング部会や電子作業部会への出席や参加を通じ、承認される分析・サンプリング法や策定される指針に関する情報を収集・整理し、国内に情報提供した。また国内検査状況との比較により相違点を明らかにし、改善策を提案した。その他、CCMASの議論の全体を通じ、分析化学的及び統計学的な専門的知識を駆使して検討し、国益に叶う助言を政府に行った。 
 食品衛生部会、魚類。海産食品部会、残留動物用医薬品部会及び食品輸出入検査・認証制度部会は文書原案の根拠となったリスク評価、議事録や回付文書、ワーキンググループでの議論の追跡、各国の規制状況等の背景について調査し、関連する文献等から論点・争点の整理・分析を行った。また鍵となる参加者と直接電子的に連絡を取り続けるとともに、テクニカルアドバイザーとして実際に部会に参加し、各国の交渉担当者、議長及びCodex事務局員に直接調査・ヒアリングを行い、状況分析を適時に行い、日本の対応について助言を与えた。
 一般原則部会における議事録や回付文書、関連する文献等から論点・争点の整理・分析、日本の戦略的なCodex対応に資する情報ベースの整理分析を行ったほか、国内でシンポジウムの開催等により、国内におけるCodex活動に対する認識と支持の向上を得た。
結論
日本政府の戦略的なCodex対応に貢献し、科学的情報に基づく日本の対応と国際整合性の確保、さらには、国際対応における日本のプレゼンスの向上に資するとともに、今後国内及び国際対応において考慮すべき事項、我が国が優先して取り組むべき分野・内容を提言し、よって今後TPP合意のもと、増加が予想される輸入食品及び輸出が期待される日本の食品の安全性をより一層確保することができる。

公開日・更新日

公開日
2016-07-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201522037Z