行政機関や食品企業における食品防御の具体的な対策に関する研究

文献情報

文献番号
201522034A
報告書区分
総括
研究課題名
行政機関や食品企業における食品防御の具体的な対策に関する研究
課題番号
H27-食品-一般-012
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 高谷 幸(公益社団法人日本食品衛生協会)
  • 岡部 信彦(川崎市健康安全研究所)
  • 赤羽 学(公立大学法人奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
  • 鬼武 一夫(日本生活協同組合連合会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、国内外の各企業や流通段階で取られている食品への故意による毒物や異物混入に対する予防的対策の実態把握を行うとともに、保健所や地方衛研等で、的確に対処していくための対策を取りまとめることを目的とする。
研究方法
以下に示す主に5項目について、国内外の政府機関ウェブサイト、学術論文・書籍等既存の公表情報の収集整理と、検討会における生物・食品衛生等の専門家・実務家らとの討議を通じて実施した。
1)海外(主に米国)における食品防御対策に関連した法制度等状況調査
2)食品への毒物等混入事件時における保健所や行政機関における円滑な事件処理に向けての検討
3)食品への毒物等混入事件時における衛生研究所での「人体(血液・尿等)試料の検査手法」の標準化
4)食品防御ガイドラインの改善検討と故意による毒物や異物混入に対する予防的対策の検討
5)食品の市販後調査(PMM)手法の検討
結果と考察
1)平成27年度における米国の食品テロ対策は、2016年後半から2017年の円滑かつ効率的な実施に向けて、平成27年度以降の最終規則の公表予定時期や実施事項が明確化されたことが重要事項として挙げられる。また、第10回食品防御計画調査の実施は過年度施策の充実に位置づけられる。
2)平成26年末に発生した食品工場における農薬混入事件の概要を整理し、保健所における対応や行政機関の連携状況の把握、その課題と自治体での対応について整理分析を行った。
3)地方衛研に対する現地調査および大学研究室や公的研究機関、民間研究機関にアンケート調査を行い、人体試料の取り扱いに関する規定や教育訓練等の体制を調査した。過年度及び今年度の調査で、「感染性試料としての取り扱いを要する可能性」と「食品試料や環境試料とは異なる成分組成や標準品について」の2点が主な課題であることが把握できた。
4)冷凍食品工場(1箇所)、物流施設(1箇所)について施設を訪問し、日本版のCARVER+Shock手法に基づき脆弱性評価を実施した。調査の結果、今後ガイドライン改善に反映できる可能性のある内容として、1.外部との結節点における二重の施錠。(外・内の2人がICカードキーを持って立ち会わないと開けられない仕組み等。)2.通用口や非常用扉の普段使いの常態化防止 など12の項目が考えられた。
5)食品PMM手法で得られた有症状者数の時系列データを基に、将来的な有症状者数の予測を検討した結果、過去の有症状者数の時系列データのみから将来の有症状者数を予測すると、予測値は期待値に収束してしまい、精度の良い予測をすることは難しいことが明らかとなった。
結論
1)平成27年度のFDAの食品テロ対策はFSMA関係の規則等の今後の公表予定が示された。USDAの食品テロ対策は過年度施策の継続的実施となっている。
2)食品防御対策において発生後の対応については、既に各自治体での体制整備が進められているが、未然防止に係る対応については、事業者の自主的な取組に係る事項のため、業種(製造、加工、調理等)や取り扱う食品の種類、国際大会など食品を提供するイベントの規模等に応じた対策モデルなど、具体的な対応方法をわかりやすく提示する必要がある。
3)地方衛研、大学や民間検査機関の実態調査および大学研究室や公的研究機関、民間研究機関を対象にアンケート調査を実施した結果、健康危機管理事例への早期対応および安全な試験実施のため、地衛研の理化学検査担当における人体試料の取扱いについての具体的な指針等が必要であると結論付けた。
4)今年度の調査で確認できた今後ガイドライン改善に反映できる可能性のある12の項目について、研究班の中で議論を重ね、ガイドラインへの反映を検討したい。
5)過去の有症状者数の時系列データのみから将来の有症状者数を予測すると、予測値は期待値に収束してしまい、精度の良い予測をすることは難しいことが明らかとなった。今後は、将来の有症状者数を予測するために他のパラメータを組み込んだ予測モデル設計を検討していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2016-08-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201522034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,000,000円
(2)補助金確定額
8,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 694,289円
人件費・謝金 2,812,840円
旅費 782,246円
その他 3,710,625円
間接経費 0円
合計 8,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2017-11-28
更新日
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