文献情報
文献番号
201522003A
報告書区分
総括
研究課題名
食品用器具・容器包装等に含有される化学物質の分析に関する研究
課題番号
H25-食品-一般-003
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
六鹿 元雄(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
- 阿部 裕(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
8,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食品用器具・容器包装、おもちゃ及び洗浄剤(以下、「器具・容器包装等」)の安全性は、食品衛生法の規格基準により担保されているが、器具・容器包装等の多様化、新規材質の開発、再生材料の使用、諸外国からの輸入品の増加等により多くの課題が生じている。また近年、食品の安全性に対する関心が高まり、食品の試験及び分析に求められる信頼性の確保も重要な課題となっている。そこで、器具・容器包装等の安全性に対する信頼性の確保を目的として、規格試験法の性能評価に関する研究、市販製品に残存する化学物質に関する研究及び合成樹脂製器具・容器包装の製造に関する自主管理ガイドライン案の作成を行った。
研究方法
規格試験の性能評価に関する研究では、食品衛生法における公定法、並びにその代替試験法について、衛生研究所、登録検査機関等により試験室間共同実験を実施し、性能評価を行った。市販製品に残存する化学物質に関する研究では、協力研究者より研究課題を募り、市販製品に残存する化学物質の分析法の開発等を行った。合成樹脂製器具容器包装の製造に関する自主管理ガイドライン案の作成では、国内や諸外国の状況などを調査し、我が国の状況に適したガイドライン案を作成した。
結果と考察
規格試験法の性能評価に関する研究では、器具・容器包装の蒸発残留物試験についての性能評価として、公的な衛生研究所など合計23機関において試験室間共同試験を実施した。その結果、蒸発乾固の操作を水浴上で行った公定法と主にホットプレート上で行った公定法変法では、性能に差はなくほぼ同等であった。従って、蒸発残留物試験の蒸発乾固は、公定法で規定されている水浴上ではなくホットプレート上で行っても、蒸発乾固前に加熱装置から下ろすならば試験結果にほとんど影響がないと考えられた。また、公定法において浸出用液として使用されているヘプタンと、代替溶媒として検討されているイソオクタン及び95%エタノールによる性能の差を比較したところ、両者に差はなくほぼ同等であった。従って、イソオクタン及び95%エタノールは、ヘプタンの代替溶媒として規格試験法に適用可能と判断された。しかし、いずれの場合においても揮散または変化しやすい成分を多く含む試験溶液の場合は、細かな蒸発乾固や乾燥の操作の違いにより蒸発残留物量に差が生じてしまい十分な性能が得られない可能性があった。
市販製品に残存する化学物質に関する研究では、植物油総溶出量試験法の改良法についての性能評価、揮発性物質試験におけるスチレンのメモリー現象に関する検討、カプロラクタム試験におけるピーク形状改善のためのGC条件の検討、ラミネートフィルムに含まれる残留有機溶剤の分析、特定芳香族アミン5種による細胞形質転換活性の検討を実施した。植物油総溶出量試験法の改良法についての性能評価では、一部の性能パラメーターの値が目標値を満たさなかったが、改良法のもととなったEN 1186-2の方法と比較すると性能パラメーターは格段に向上していた。揮発性物質試験におけるスチレンのメモリー現象に関する検討では、メモリー現象の発生状況や原因を追究し、メモリー現象の低減化を図るための対策案について検討した。カプロラクタム試験におけるピーク形状改善のためのGC条件の検討では、カプロラクタムのピーク割れ改善のためGC条件を種々検討し、ピーク割れ発生時の対応策についても検討した。ラミネートフィルムに含まれる残留有機溶剤の分析では、ラミネートフィルム製の容器包装に残留する可能性がある30種類の有機溶剤について一斉分析法を確立し、市販されているラミネートフィルム製の食品包装袋42試料について残留有機溶剤を定量した。特定芳香族アミン5種による細胞形質転換活性の検討では、5種の特定芳香族アミンについて発がんプロモーション活性の有無を検討するとともに、発がんイニシエーション活性の有無を既報の遺伝毒性試験結果と比較した。
合成樹脂製器具・容器包装の製造に関する自主管理ガイドライン案の作成では、国内外の法規制等、民間の国際規格、業界団体の自主基準等を精査し、国内の状況に適した「器具及び容器包装の製造に関する自主管理ガイドライン案(合成樹脂製の器具・容器包装に関する基本的な考え方と取り組み内容)」を作成した。本ガイドライン案では、器具もしくは容器包装に関係する食品等事業者に対し、製品の製造または使用において自主的な管理を行うための基本的な考え方を記し、人員、施設・設備の管理、サプライチェーンを通じた情報伝達、安全な製品の設計と品質確認、健康被害発生時の対応策の整備の4つの観点に着目した取り組み内容を示した。
市販製品に残存する化学物質に関する研究では、植物油総溶出量試験法の改良法についての性能評価、揮発性物質試験におけるスチレンのメモリー現象に関する検討、カプロラクタム試験におけるピーク形状改善のためのGC条件の検討、ラミネートフィルムに含まれる残留有機溶剤の分析、特定芳香族アミン5種による細胞形質転換活性の検討を実施した。植物油総溶出量試験法の改良法についての性能評価では、一部の性能パラメーターの値が目標値を満たさなかったが、改良法のもととなったEN 1186-2の方法と比較すると性能パラメーターは格段に向上していた。揮発性物質試験におけるスチレンのメモリー現象に関する検討では、メモリー現象の発生状況や原因を追究し、メモリー現象の低減化を図るための対策案について検討した。カプロラクタム試験におけるピーク形状改善のためのGC条件の検討では、カプロラクタムのピーク割れ改善のためGC条件を種々検討し、ピーク割れ発生時の対応策についても検討した。ラミネートフィルムに含まれる残留有機溶剤の分析では、ラミネートフィルム製の容器包装に残留する可能性がある30種類の有機溶剤について一斉分析法を確立し、市販されているラミネートフィルム製の食品包装袋42試料について残留有機溶剤を定量した。特定芳香族アミン5種による細胞形質転換活性の検討では、5種の特定芳香族アミンについて発がんプロモーション活性の有無を検討するとともに、発がんイニシエーション活性の有無を既報の遺伝毒性試験結果と比較した。
合成樹脂製器具・容器包装の製造に関する自主管理ガイドライン案の作成では、国内外の法規制等、民間の国際規格、業界団体の自主基準等を精査し、国内の状況に適した「器具及び容器包装の製造に関する自主管理ガイドライン案(合成樹脂製の器具・容器包装に関する基本的な考え方と取り組み内容)」を作成した。本ガイドライン案では、器具もしくは容器包装に関係する食品等事業者に対し、製品の製造または使用において自主的な管理を行うための基本的な考え方を記し、人員、施設・設備の管理、サプライチェーンを通じた情報伝達、安全な製品の設計と品質確認、健康被害発生時の対応策の整備の4つの観点に着目した取り組み内容を示した。
結論
以上の研究成果は、我が国の器具・容器包装等の安全性に対する信頼性確保及び向上と食品衛生行政の発展に大きく貢献するものと考える。
公開日・更新日
公開日
2016-07-06
更新日
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