文献情報
文献番号
201520036A
報告書区分
総括
研究課題名
電子化した処方箋の標準化様式の整備と運用に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-医療-指定-033
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
- 大原 信(筑波大学附属病院 医療情報部)
- 土屋 文人(国際医療福祉大学 薬学部)
- 田中 勝弥(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
6,920,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
処方せんの電子化に向けて、医療機関および調剤薬局、さらには患者の間で送受される情報の標準化は必須である。本研究では、従来の標準的記述規格に対し改良を行い、処方情報・調剤情報の電子的な標準記述規格を提案し規格を公表する。また標準用法の拡張、注射への対応、不均等投与と投与日指定などスケジュール用法への対応方法を策定する。
研究方法
以下の方法で実施した。1)処方箋の電子記述様式、メッセージ交換方式等の標準化、2)実証テスト用ソフトウエアの開発とそれによる検証。3)「処方オーダリングシステム用標準用法マスタ」を注射用法やスケジュール用法等への拡張開発、4)医薬品標準コードをベースとした一般名による記載を考慮したコードセットの検討
結果と考察
(1)処方箋の電子記述様式、メッセージ交換方式等の標準化
昨年度までは電子署名方式としてEnveloped Signatureを採用した。この場合、医師が署名した範囲、薬剤師が署名した範囲、のそれぞれが完成されたXML解釈上不明瞭であることが分かった。文書構造の見直し、署名方式の再検討の結果、電子署名方式をDetached Signatureとし、文書構造についても再検討を行い、改めて全体構造が再定義された。
(2)「処方オーダリングシステム用標準用法マスタ」の注射用法やスケジュール用法等への拡張
「処方オーダリングシステム用標準用法マスタ」を注射に対応するための標準用法の拡張、1日内の不均等服薬とスケジュール服薬についても用法コード記述方法の方針が策定できた。
(3)前2項に準拠するデータの生成、および調剤レセプトコンピュータでの取り込み実証実験が実施された。
①処方箋の電子記録様式(HL7CDAR2)から「JAHIS 院外処方せん2次元シンボル記録条件規約 Ver1.1」へ変換
②「処方オーダ標準用法マスタ」で定義されている用法コードを解析し、用法名称を生成する機能
③調剤レセプトコンピュータでの取り込みソフトの開発
以上のソフト開発では、電子処方データを二次元バーコード標準データに変換後に調剤システムに取り込むため、医事会計計算に必要な用法補足コメントとしてテキスト化された情報を別途調剤システムに入力する必要があった。
また、SS-MIX2標準化ストレージの全患者について、すべて読み出せないように設定した上で、トランザクションストレージに処方オーダが新規登録された患者のうち、あらかじめ設定した患者条件とデータ種別条件に合致する患者データだけについてアクセスパーミッションを許可する設定に変更するシステムを開発した。これにより、オーダが出た患者以外の患者データをSS-MIX2から読み出せないように自動的にアクセスロックをかけ、安全に必要な処方オーダだけの電子処方を生成することができる基盤的ソフトが開発できた。
4)医薬品標準コードをベースとした一般名による記載を考慮したコード体系について
保険局が公表している一般名コードにHOT9の末尾を「90」で対応させることが可能であることが確かめられた。
昨年度までは電子署名方式としてEnveloped Signatureを採用した。この場合、医師が署名した範囲、薬剤師が署名した範囲、のそれぞれが完成されたXML解釈上不明瞭であることが分かった。文書構造の見直し、署名方式の再検討の結果、電子署名方式をDetached Signatureとし、文書構造についても再検討を行い、改めて全体構造が再定義された。
(2)「処方オーダリングシステム用標準用法マスタ」の注射用法やスケジュール用法等への拡張
「処方オーダリングシステム用標準用法マスタ」を注射に対応するための標準用法の拡張、1日内の不均等服薬とスケジュール服薬についても用法コード記述方法の方針が策定できた。
(3)前2項に準拠するデータの生成、および調剤レセプトコンピュータでの取り込み実証実験が実施された。
①処方箋の電子記録様式(HL7CDAR2)から「JAHIS 院外処方せん2次元シンボル記録条件規約 Ver1.1」へ変換
②「処方オーダ標準用法マスタ」で定義されている用法コードを解析し、用法名称を生成する機能
③調剤レセプトコンピュータでの取り込みソフトの開発
以上のソフト開発では、電子処方データを二次元バーコード標準データに変換後に調剤システムに取り込むため、医事会計計算に必要な用法補足コメントとしてテキスト化された情報を別途調剤システムに入力する必要があった。
また、SS-MIX2標準化ストレージの全患者について、すべて読み出せないように設定した上で、トランザクションストレージに処方オーダが新規登録された患者のうち、あらかじめ設定した患者条件とデータ種別条件に合致する患者データだけについてアクセスパーミッションを許可する設定に変更するシステムを開発した。これにより、オーダが出た患者以外の患者データをSS-MIX2から読み出せないように自動的にアクセスロックをかけ、安全に必要な処方オーダだけの電子処方を生成することができる基盤的ソフトが開発できた。
4)医薬品標準コードをベースとした一般名による記載を考慮したコード体系について
保険局が公表している一般名コードにHOT9の末尾を「90」で対応させることが可能であることが確かめられた。
結論
1)「電子的処方指示・調剤実施情報提供書CDA記述仕様」が完成した。今後、業界団体専門チームによる詳細チェックとパブコメを経て公表する。
2)1日内の不均等服薬とスケジュール服薬についても用法コード記述方法の方針が策定でき、「処方・注射オーダ標準用法規格」と改名して日本医療情報学会を通じて公開した。またHELICS標準指針への申請を行い審査中である。
3)「処方オーダシステム→SS-MIX2標準化ストレージ→電子処方せん規格データ→薬局での2次元バーコードへの変換→調剤レセコンで取り込み」という一連のデータ処理の流れが既存のシステムの必要最小限の改修で実現可能であることを実証した。
4)医薬品標準コードをベースとして一般名による記載を考慮したコード体系を検討した。保険局が公表している最新版の一般名マスタでは内用薬・外用薬を併せて1009の一般名コードが示されているが、HOT9の末尾を「90」で対応させることがこれらに可能であることが確かめられた。また過去のデータで正確な調剤情報が戻せない場合の対応として、HOT9の末尾を「99」で対応させることには、実運用を考えると様々な問題はあるものの、応急の対応策の一つとしてのルールとすることについては「可能」と判断された。
2)1日内の不均等服薬とスケジュール服薬についても用法コード記述方法の方針が策定でき、「処方・注射オーダ標準用法規格」と改名して日本医療情報学会を通じて公開した。またHELICS標準指針への申請を行い審査中である。
3)「処方オーダシステム→SS-MIX2標準化ストレージ→電子処方せん規格データ→薬局での2次元バーコードへの変換→調剤レセコンで取り込み」という一連のデータ処理の流れが既存のシステムの必要最小限の改修で実現可能であることを実証した。
4)医薬品標準コードをベースとして一般名による記載を考慮したコード体系を検討した。保険局が公表している最新版の一般名マスタでは内用薬・外用薬を併せて1009の一般名コードが示されているが、HOT9の末尾を「90」で対応させることがこれらに可能であることが確かめられた。また過去のデータで正確な調剤情報が戻せない場合の対応として、HOT9の末尾を「99」で対応させることには、実運用を考えると様々な問題はあるものの、応急の対応策の一つとしてのルールとすることについては「可能」と判断された。
公開日・更新日
公開日
2018-06-05
更新日
-