医療機器保守点検のガイドライン策定の普及に向けた諸課題の調査研究

文献情報

文献番号
201520035A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器保守点検のガイドライン策定の普及に向けた諸課題の調査研究
課題番号
H26-医療-指定-032
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
石原 美弥(防衛医科大学校 医用工学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 加納 隆(埼玉医科大学 保健医療学部)
  • 高倉 照彦(亀田総合病院 医療技術部)
  • 中島 章夫(杏林大学 保健学部)
  • 中野 壮陛((公財)医療機器センター 医療機器産業研究所)
  • 須田 健二(杏林大学 保健学部)
  • 中村 淳史(杏林大学 保健学部)
  • 新 秀直(東京大学医学部付属病院 企画情報運営部)
  • 山田 紀昭(済生会横浜市東部病院 臨床工学部)
  • 櫛引 俊宏(防衛医科大学校 医用工学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成25年8月に総務省行政評価局から発表された「医療安全対策に関する行政評価・監視結果報告書」では、医療機関における医療機器に係る安全管理を促進する観点から、『特定機能病院において、特に安全使用に際して技術の習熟が必要と考えられる医療機器の定期的な研修の実施が徹底されるよう、立入検査において的確な指摘を行うこと。』および『特定機能病院以外の医療機関においても、特に安全使用に際して技術の習熟が必要と考えられる医療機器について、各医療機器の設置状況や使用頻度等を考慮した上で、定期的な研修を行うよう措置すること。』と述べられている。そこで本研究では2年計画の2年目として、研究班で討議を重ね、医療現場において技術の習熟が必要と考えられる医療機器の安全使用に関するガイドライン作成と普及を目指して研究を行った。
研究方法
これまでの研究結果から、医療現場において使用頻度や台数の多い輸液ポンプについて、全医療機関が共通して使用できる保守点検に関するガイドラインの整備と保守点検項目の精査に関する調査を行ってきた。医療機関を対象とした大規模アンケートおよびモデル病院からの回答結果より、医療機関において実際に輸液ポンプをベッドサイドで使用する看護師を対象として、輸液ポンプの用語や原理、構造や保守点検などの教育用資料を作成し、平成26年度にすでに本研究の成果としてウェブサイト(ナースのための輸液ポンプ 超入門編教育教材)を公開した。
本研究では、研究分担者および日本医療機器産業連合会、日本医療機器工業会、日本画像医療システム工業会(JIRA)、米国医療機器・IVD工業会(AMDD)および欧州ビジネス協会在日欧州(連合)商工会議所のオブザーバーが出席する研究班会議において定期的に討議を行い、保守点検ガイドラインを作成する医療機器候補を選定、関連学会や団体などから公表されている指針やガイドラインを調査し、共通項目や相違点の確認を行い、各医療機器の安全使用に関するガイドライン(案)を作成した。
また、作成したガイドライン(案)を医療機関でダウンロードできるように、本研究のウェブサイトを開設した。
結果と考察
総務省行政評価局から発表された「医療安全対策に関する行政評価・監視結果報告書」および本研究班のこれまでの研究実績から、安全使用に関するガイドラインを作成する医療機器を、医用テレメータ、麻酔器、輸液ポンプ、透析用監視装置、人工心肺装置、人工呼吸器に選定した。
各医療機器の安全使用に関するガイドライン(案)は、I.ガイドラインの使用方法、II.各医療機器の特徴、III.概観図、IV.使用に関する研修、V.保守点検に関する事項、VI.不具合などが発生した場合の対応、VII.医療機器の使用に関して特に法令上遵守すべき事項、VIII.参考文献、IX.添付資料(日常点検表、定期点検表、教材など)の項目を、全ての医療機器ガイドライン(案)において共通して構成した。各ガイドライン(案)の最初にフローチャートを示し、医療現場の方々に理解しやすい構成とした。
作成した各ガイドライン(案)は全ての医療機関で使用できるように、本研究班で開設したウェブサイト(医療機器の安全使用に関するガイドラインダウンロードと研究成果公表サイト)からダウンロードできる。
各医療機関で独自に作成しているマニュアル等がある場合には、本ガイドライン(案)の内容から不足している内容を確認し、不足内容を取り入れ、さらに安全性の高い独自マニュアル等を作成する一助となることを期待している。一方で、まだマニュアルなどを作成していない医療機関においては、本ガイドライン(案)に記載されている内容を中心にして、実際に使用する機種の取扱説明書や添付文書等を参照いただき、臨床現場のニーズにあったマニュアル等を作成する一助となることを期待している。
結論
本研究成果である全ての医療機関が共通して使用できる医療機器の安全使用に関するガイドライン策定とその普及のためのウェブサイト公開は、総務省行政評価局からの所見に厚生労働省が対応する際、直接的に活用することができる。この総務省からの勧告(平成25年8月)に対する改善措置状況について、平成27年11月に厚生労働省からの回答(2回目のフォローアップ)に本研究成果が記載されていることは特筆すべき点である。
今後はさらに、策定するガイドライン及び教育用ウェブサイトが医療機関において広く活用されることにより、医療機器の適正使用と保守点検に対する医療従事者の理解が促進され、医療法施行規則第1条の11第2項第3号「医療機器に係る安全管理のための体制の確保に係る措置」の目的である良質な医療を提供する体制の確立と、医療の安全に関する厚生労働行政の施策へ直接的に貢献できる。

公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201520035B
報告書区分
総合
研究課題名
医療機器保守点検のガイドライン策定の普及に向けた諸課題の調査研究
課題番号
H26-医療-指定-032
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
石原 美弥(防衛医科大学校 医用工学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 加納 隆(埼玉医科大学 保健医療学部)
  • 高倉 照彦(亀田総合病院 医療技術部)
  • 中島 章夫(杏林大学 保健学部)
  • 中野 壮陛((公財)医療機器センター 医療機器産業研究所)
  • 須田 健二(杏林大学 保健学部)
  • 中村 淳史(杏林大学 保健学部)
  • 新 秀直(東京大学医学部付属病院 企画情報運営部)
  • 山田 紀昭(済生会横浜市東部病院 臨床工学部)
  • 櫛引 俊宏(防衛医科大学校 医用工学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成25年8月に総務省行政評価局から発表された「医療安全対策に関する行政評価・監視結果報告書」では、医療機関における医療機器に係る安全管理を促進する観点から、『特定機能病院において、特に安全使用に際して技術の習熟が必要と考えられる医療機器の定期的な研修の実施が徹底されるよう、立入検査において的確な指摘を行うこと。』および『特定機能病院以外の医療機関においても、特に安全使用に際して技術の習熟が必要と考えられる医療機器について、各医療機器の設置状況や使用頻度等を考慮した上で、定期的な研修を行うよう措置すること。』と述べられている。そこで本研究では、研究班で討議を重ね、医療現場において技術の習熟が必要と考えられる医療機器の安全使用に関するガイドライン作成と普及を目指して研究を行った。
研究方法
医療機関において実際に輸液ポンプをベッドサイドで使用する看護師を対象として、輸液ポンプの用語や原理、構造や保守点検などの教育用資料を作成し、平成26年度に本研究の成果として「ナースのための輸液ポンプ 超入門編教育教材」のウェブサイトを開設し、作成した教育用資料をダウンロードできるようにした。さらに、研究分担者および日本医療機器産業連合会、日本医療機器工業会、日本画像医療システム工業会(JIRA)、米国医療機器・IVD工業会(AMDD)および欧州ビジネス協会在日欧州(連合)商工会議所のオブザーバーが出席する研究班会議において定期的に討議を行い、保守点検ガイドラインを作成する医療機器候補を選定した。関連学会や団体などから公表されている指針やガイドラインを調査し、共通項目や相違点の確認を行い、各医療機器の安全使用に関するガイドライン(案)を作成した。作成した各ガイドライン(案)は全ての医療機関で使用できるように、本研究班で開設したウェブサイトからダウンロードできるようにした。
結果と考察
本研究1年目は、「ナースのための輸液ポンプ 超入門編教育教材」のウェブサイトを公開し、作成した教育資料「1) 教育実施前の理解度チェック問題・解答、2) 本教育用資料の目標、3) 輸液ポンプとは、4) 輸液ポンプの一般的な名称とその機能、5) 事故事例から学ぶ「使用前点検」、6) 教育実施後の習熟度チェック問題・解答」をダウンロードできるようにした。
本研究2年目は、総務省行政評価局から発表された「医療安全対策に関する行政評価・監視結果報告書」および本研究班のこれまでの研究実績から、安全使用に関するガイドラインを作成する医療機器を、医用テレメータ、麻酔器、輸液ポンプ、透析用監視装置、人工心肺装置、人工呼吸器に選定した。各医療機器の安全使用に関するガイドライン(案)は、I.ガイドラインの使用方法、II.各医療機器の特徴、III.概観図、IV.使用に関する研修、V.保守点検に関する事項、VI.不具合などが発生した場合の対応、VII.医療機器の使用に関して特に法令上遵守すべき事項、VIII.参考文献、IX.添付資料(日常点検表、定期点検表、教材など)の項目を、全ての医療機器のガイドライン(案)において共通して構成した。各ガイドライン(案)の最初にフローチャートを示し、医療現場の方々に理解しやすい構成とした。全ての医療機関で使用できるように、本研究班で開設したウェブサイトにてダウンロードできるようにした。
結論
本研究成果である全ての医療機関が共通して使用できる医療機器の安全使用に関するガイドライン策定とその普及のためのウェブサイト公開は、総務省行政評価局からの所見に厚生労働省が対応する際、直接的に活用することができる。この総務省からの勧告(平成25年8月)に対する改善措置状況について、平成27年11月に厚生労働省からの回答(2回目のフォローアップ)に本研究成果が記載されていることは特筆すべき点である。
今後はさらに、策定するガイドライン及び教育用ウェブサイトが医療機関において広く活用されることにより、医療機器の適正使用と保守点検に対する医療従事者の理解が促進され、医療法施行規則第1条の11第2項第3号「医療機器に係る安全管理のための体制の確保に係る措置」の目的である良質な医療を提供する体制の確立と、医療の安全に関する厚生労働行政の施策へ直接的に貢献できる。

公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-12-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201520035C

収支報告書

文献番号
201520035Z