臨床効果データベースの連携及び効率的運用のための研究

文献情報

文献番号
201520025A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床効果データベースの連携及び効率的運用のための研究
課題番号
H27-医療-一般-011
研究年度
平成27(2015)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 裕(放射線医学総合研究所)
  • 植木 浩二郎(東京大学大学院医学系研究科)
  • 岡田 美保子(川崎医療福祉大学)
  • 織田 順(東京医科医科大学)
  • 柏原 直樹(川崎医科大学)
  • 興梠 貴英(自治医科大学)
  • 斎藤 能彦(奈良県立医科大学)
  • 澤 智博(帝京大学)
  • 中島 直樹(九州大学)
  • 宮田 裕章(東京大学)
  • 美代 賢吾(国立国際医療研究センター)
  • 山本 隆一(東京大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成27(2015)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省臨床効果DB事業のDB、NCD、AMED糖尿病DB(J-DREAMS)事業など複数の臨床症例DBにおいて、その構築基準、登録項目、運用方法、利活用と結果公表方針など、個々の事業において目的に応じた合理的な多様性があることを前提に、これらの臨床DBについて、(1)複数DBを活用して複数疾患領域にまたがる利活用(以下、DB連携という)を必要に応じて将来的に可能とすること、(2)同一症例を複数事業主体の複数DBに別々に重複登録しなければならない状況を極力減らすこと、を目的とし、課題を整理し提言を行う。
研究方法
(1) DB連携を行う場合に必須となるDB構築上の特性や課題の整理:
7事業を対象にデータベース項目情報を収集し、共通項目、非共通項目を分類し、共通項目における相違点の整理を行った。調査にあたっては各DB事業に関わる各分担研究者が資料にもとづきプレゼンし研究班で整理したほか、いくつかの事業では研究代表者がヒアリングすることにより実施した。
(2) DB連携を実現するための技術提案として、将来的に導入されることを想定した個人識別IDから計算されたハッシュ値等の同一症例識別力がありかつ匿名性のある(患者特定力がない)レコードの生成方法の検討、およびそれにもとづくデータベース連携の手法の議論を行った。データベース連携の1手法としてデータ仮想化技術の検討をDataSpiderServista(アプレッソ社)により行った。
(3)重複登録を減らすためのDB事業の運用方法の検討:多目的臨床症例登録システムMCDRSを例に、事業間の重複登録を避ける手法の検討を行い、併せてMCDRSの改良を行った。
(4)改正個人情報保護法の観点から、各DB事業の継続における課題の検討を議論した。
結果と考察
(1) 各DB事業の概要や考え方を把握できる資料を各分担者が作成した。また議論をもとに、7事業を比較できるFACTシートを作成した。今後、新規の臨床データベースを構築する事業では、かならずこの資料集を参照して共通性を持たせることが可能な点においては共通化していくことが望まれる。データ収集項目の共通性について検討したが、生活習慣や既往歴については共通性が意外に少なかった。これはまだ構築途上のデータベース事業も多く、項目が確定しないDBもあったことも理由である。しかし一方で、検体検査項目については表2に示すように共通項目も比較的多かった。2事業以上で収集される検体検査項目は37項目あった。こうした共通性(ニーズ)の高い項目は匿名化IDをつけて共通にすべての医療機関がひとつのDBにプールしておき、二次利用時にそこから収集するといった方法も考えられる。
匿名化手法については健康医療等IDが普及するまでの間の施設間照合の手法として、カナ氏名、生年月日、血液型、性別、を組み合わせてハッシュ化したもの、また保険者番号と被保険者番号を組み合わせてハッシュ化したものなど、NDBで実施されているような手法も取り込み、3ないし5個程度の複数のハッシュ値を常に生成して管理しておくことがよいという意見も出された。
結論
1)7データベース事業を概観し比較検討できる資料の作成ができた。新規の臨床データベースを構築する事業では、この資料を参照してシステム構成的に共通性を持たせることが可能な点においては共通化していくことが望まれる。2事業以上で収集される検体検査項目は37項目あった。こうした共通性(ニーズ)の高い項目は匿名化IDをつけて共通にすべての医療機関がひとつのDBにプールしておき、二次利用時にそこから収集するといった方法も考えられる。2)MCDRSを使用するDB事業が4事業あり、医療機関側のSS-MIX2データ収集設備やVPNネットワーク環境は共用可能となると考えられる。新規の臨床データベースを構築する事業においては、既存事業に参加している医療機関かどうかをチェックし、その場合には既存事業と調整して設備や環境を共用することが望まれる。そのためには、そのコーディネートをする組織があるほうがスムーズであろう。また、こうしたDB事業固有の設備を医療機関側に導入する事業においては、当該事業に参加している病院の一覧が1サイト上で内覧可能になることが必要である。
3)今後のデータベース間の連結解析を想定すると、個人識別情報から共通方式でハッシュ化する値を複数組み管理できるように最初から構築しておくべきであり、具体的なハッシュ化方法は共通の方式を策定すべきである。

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201520025C

収支報告書

文献番号
201520025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
29,900,000円
(2)補助金確定額
29,899,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 11,957,363円
人件費・謝金 2,270,517円
旅費 1,637,048円
その他 7,135,039円
間接経費 6,900,000円
合計 29,899,967円

備考

備考
支出合計の千円以下端数967円を自己負担したため。

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
-